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騙されたのは誰だ?

作者: でんでろ3

「夕食はカニとお寿司の食べ放題ですって? 楽しみね」

「本当だねー」

汗を拭き拭き、太った男が答えた。

「でも、あなたは、ほどほどにね」

女が、ちょっと意地悪く言った。


「なんか、最近、極秘でグルメ雑誌が、この辺の旅館を取材してるらしいですよ」

この旅館に7年居るのに未だに一番下っ端の通称「茶坊主」が言った。

「へぇ、で、どんな奴らだ?」

「なんか、太った男と女の2人組だそうです」

「そうか。一応、気を付けるか。なんせ、ウチは……」


その日、その旅館に1組の男女がやってきた。

「おい、そいつら、まさか、例のグルメ雑誌の取材じゃないだろうな」

「いや、女の方は、別に、太ってませんよ」

「そうか。じゃあ、いつも通りのメニューで行こう」


「はーい、こちら、お夕食となりまーすっ!」

「あれ? カニは1パイだけ?」

「はいっ!」

「えっ? でも、『夕食はカニとお寿司の食べ放題』って」

「はいっ! カニは1パイ。お寿司は食べ放題となっております」

「ひ、ひどいっ!」

「もうっ! じゃあ、お寿司を食べまくってやる」

「はい、どうぞ、どうぞ。ただし、お寿司は、ご覧の通り、かっぱ巻きのみでございます」

「なんだって? ひどすぎるっ! これは、我々の雑誌に書かせてもらおう」

「えぇっ! じゃあ、あなた方は?」

「グルメ雑誌の取材で参りました」

「だって、噂じゃあ、太った男と女の2人組って……」

「そんな噂が広まっているのか」

「まぁ、でも、間違ってはいないわね」

「そうだね。『太った男』と」

「『女』の2人組ですものね」


            (おしまい)

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