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バス
日々を後ろ向きに過ごす、捻くれ学生の日常
「ただいま」
やっと家に帰ることができ、私は深く安堵した。
今日は春休み前、最後の登校日だった。
暖かな陽の光、満開の桜、眠りから覚めた鳥達が春の到来を告げるかのように一斉に鳴いていた。
そんな中、私は春の陽気を打ち消すかのように陰鬱な気を纏っていた。
ここ数日、ある考えが私の頭の中で渦巻いていた。集団生活で人見知りな私は、この先生きていけないのではないか、私の生きる意味ってなんだろう、などだ。
正直、生きる上でそんなこと考えってしょうがないということは分かっている。しかし、止まらない。止められない。止めることが怖い。将来が怖い。何もしたくない。そんなことを考えていると、バスが止まり、ドアが開く音がした。
「お降りの際は、荷物をお忘れにならないよう気をつけてください」
目元に墨で書いたような薄暗い隈をつくった運転手が、やつれた声で言った。
私は運転手を横目に見ながら、「この人も疲れているんだな」と思い、心で少し安堵した。




