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冬の童話祭2026

キラキラ光って僕の大好きな物

作者: 来留美

 僕には大好きな物があるんだ。

 キラキラ光って綺麗な丸い物。

 僕が触ろうとする前に丸い物は形を変えて、キラキラ光らなくなる。


 光らなくなる前に触りたいのに、いつ現れるのか分からない。

 現れるのをじっと待つけれど、現れてくれない。


 今日も現れるのを待つのに疲れて、ウトウトとしていた。

 そんな時、大好きな物が現れた。


 すぐに近寄ったけれど、やっぱり形を変えてキラキラ光らなくなった。

 悔しすぎて、何かに当たりたくなる。


 僕はそんなことを繰り返し続けた。




 ある日僕は、本当に疲れてベッドに横になっていた。

 そんな時、僕の大好きな物が現れた。


 でも、それはキラキラ光って丸い形だったけれど、僕には綺麗には見えない。

 今までとは全く違う。


 僕の友達の目から現れる大好きな物。

 いつもと同じなのに。

 いつものようにキラキラ光ってほしいのに。


 僕は友達に言う。

 いつものキラキラ光る僕の大好きな物を見せてって。


 すると友達はいつもの顔をしてくれた。

 そっか、その顔じゃないから綺麗に見えなかったんだ。


 僕の大好きな友達の顔と、キラキラ光る僕の大好きな物。

 それが揃えば、必ず綺麗なはず。


 ほらっ、現れた。

 キラキラ光って僕の大好きな物。


 手に取りたくて手を伸ばすけれど、全然届かない。

 すると友達が顔を近付けた。


 そのキラキラ光る僕の大好きな物は、僕の頭に落ちてきた。

 何度も僕の頭に落ちてきた。

 それはもう、綺麗で僕は幸せだった。


 幸せだよって僕が言うと友達も幸せだって言ってくれた。

 僕は眠くて目を閉じようとした時、友達が言ったんだ。


「ありがとう。これからも笑顔を忘れないからね」


 友達のその顔は笑顔だって分かった。

 でもキラキラ光る僕の大好きな物が何と呼ぶのか分からない。


 僕は眠いのを我慢して友達のキラキラ光る僕の大好きな物に触ろうとするけれど、すぐに形を変えて光らなくなる。


「ナミダなんて流してちゃダメだよね」


 友達はナミダを手で取ってしまう。

 僕の大好きな物がなくなった。

 そう思ったのに。

 友達の笑顔がそこにあるだけなのに、、、。


 僕、友達の笑顔が大好きだったんだ。

 友達の、キラキラした目で笑う顔が大好きだったんだ。


 友達が好きな人と結婚をする時。

 友達に赤ちゃんができた時。

 友達と僕が出逢った時。


 ありがとう、笑顔を見せてくれて。

 そう言いたくて声を出す。

 友達に伝わっていればいいけれど。


 僕は最後の力を振り絞って友達に伝える。

 ずっとキラキラ笑顔でいてよ。

 僕がいなくなっても。


「ニャー」 

お読みいただき、誠にありがとうございます。


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