第3話 初めまして♡
「ハーリー・カーライル様にご挨拶申し上げます!私は本日からハーリー様のお世話を担当いたしますメイドのアイラ・フォーサイスです!よろしくお願いします!」
私はハーリー様の部屋を開けると元気に挨拶をした。
「…」
あれ?ハーリー様の声が聞こえない。
部屋を間違えた?
「ちょっと!ふーちゃん、ハーリー様いる?この部屋であってる?」
私は右肩にのっている妖精に話しかけた。
フェアリーから名前を取って、ふーちゃんと名付けた私の相棒だ。
《ええ、ベッドに横たわって窓の外を眺めているわ。私たちのことはまるっきり無視ね。感じが悪い男》
「こら!ハーリー様を悪く言ってはいけません!って…どうせ聞こえてないか」
妖精は私には見えるし会話もできるのに、人間には見えないし声も聞こえないらしい。
「まあ、初めはこんなものでしょう!ハーリー様はお辛い目にあったんだから人に心を閉ざして当然よ!それより、掃除道具はどこ?さっきから埃っぽくて鼻が痒くなってきたんだけど!部屋は散らかってるの?」
《かなり悲惨ね。これじゃあ指示を出す私も大変だわ…褒美はたんまりもらうからね?》
「もちろんよ!王子殿下からお給金はたっくさーんもらえるって聞いたんだから!さっお仕事しましょ?」
私はふーちゃんと共に部屋を出ると、まずは掃除道具を探した。
以前はメイドや執事が住んでいたということもあり、掃除道具は一式揃っていた。
王子殿下からは、必要なものがあれば何でも言えって言われたけど、3日分の食材ももらえたしひとまずは大丈夫そう!