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3話 学校ライフ

―光サイド―

生徒「おはよう、黒木君!」

翔「おはよう」

生徒「最上さん、おはようっす!」

明日香「おっはー!」

教室に入ると翔と明日香さんは早速クラスメイトに声をかけられる。

この二人はクラスの中でも人気者だ。

そりゃそうだよな。

文武両道、容姿端麗、性格は明るくクラスの花のような存在なのだから。

俺はというと教室の隅っこ、窓側の一番後ろの席に座っている。

ここは俺の特等席である。

なぜかは分からないが、俺はいつもくじ引きでこの位置を引き当ててしまう。

よっぽどくじ運が強いんだな、俺ってば。

はっはっは。

クラスのやつらとの絡みが薄い俺にとっては好都合だ。

翔「おい、光。」

翔と明日香さんを置いて、自分の席へと一直線に向かう。

生徒「翔君!この間の一撃すごくかっこよかった!すごーい!!」

生徒「明日香さん、優勝おめでとうございます!!」

翔と明日香さんは、それぞれが剣道と弓道の大会優勝者。

この間の大会では高校三連覇を果たしている。

俺とは違う世界に生きる人たちだ。

そう思って二人とその取り巻きから離れる。

窓から流れてくる、風が心地よい。

今日もいい天気だ。

怜奈「はい、この授業はここまで。」

担任の北条怜奈(ほうじょうれいな)先生が生徒に告げる。

通称レイちゃん。新任でめちゃくちゃ美人。男子生徒の憧れの的だ。

しかも独身で彼氏はいないらしい。

そのため、男子生徒から告白を受けるほどだ。

光「すげえ、退屈な今日の授業がいつの間にか半分も終わってやがる!やっぱり今日は最高だぜ!」

翔「あのなあ、お前は1限から4限まで爆睡してただけ。時間が勝手に過ぎたわけじゃねえの」

光「占いの姉さんサイコー!」

翔「人の話聞いてねえ」

昼休み、翔と俺は屋上で昼食を並べる。

屋上は俺たちのたまり場だ。

普段の俺は、クラスで口数の少ない方である。

理由は簡単。

自分が一人暮らしであることや、極端に貧乏であることを他人に知られたくないから。

翔と明日香さんはそんな俺を認めてくれた数少ない友達だ。

中学校ではボロボロの服を着て、給食費の払えない俺に侮蔑を込めた視線を送るクラスメイトばかりであった。

元々明るく振舞っていた俺だが、だんだん人間というものに嫌気がさした。

誰も俺を認めてくれない。

だから俺は自然と自分から他人との距離を置くようになっていった。

はい、回想終了。

せっかくの陽気な転機が台無しだぜ。

俺たちは二人とも弁当を持参している。

俺は経済的に優しいという理由。

だが、翔はというと・・・・

翔「ち、今日はピーマンの肉詰めか。俺がピーマン嫌いなの知っているはずなのに・・・でも、あいつからもらった弁当だから残せないな。」

愛妻弁当です。もちろん妻というのはあの人ですよ。

翔の両親は忙しく、家にいないことが多い。そのためよく奥さんが料理を作りに来てくれるらしい。明日香さんの両親も普段は家にいないって聞いたけど。

最近は愛妻弁当が多いんだよな、こいつ。

くぅー、羨ましい限りだぜ。

翔「でも、毎日ピーマンが入っているっていうのはな・・・どれだけ頑張っても克服できないんだよな。だが、それだけ俺のことを思っている証か。ふふふ」

光「あー、キモい。それは惚気ですか。そんなに嫌いなら俺がピーマンをもらう!」

翔「させるか!明日香の愛は俺のものだ!」

あれ?こいつってこんなキャラだっけ?

時々、明日香さん絡みの件では暴走するんだよな。しかも俺と二人のときだけ。

他の人にこの光景を見せてやりたいぜ、まったく。

光「そんなに好きなら付き合えばいいのに」

翔「うるさい。今のままでも同じようなものだ。」

光「あ、そう。」

明らかに両想いなのに、なぜか二人は付き合っていない。

そういえば、翔の姉と明日香さんの兄は結婚しているって話だ。

もし翔と明日香さんがくっついて、その後別れてしまったら、2人の関係は複雑になる気がするのは俺だけでしょうか?

翔「あーあ。来週は剣道の全国大会か。」

翔はやたらと剣術が強い。部活には所属してないくせに大会だけ駆り出されている。

光「まじかよ。やるじゃん。その才能を少し分けてくれ」

翔「それは無理だ。半分は努力だからな。光も努力をすればいい。」

ちっ、半分は才能だと認めやがった。

そのあと俺たちは他愛のない話へと移って行った。

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