計画
「今日は来てたわ。いい? 海斗。下校帰りにちゃんと攫うのよ」
美華は眼前にいる黒髪だがツンツン頭で耳にピアスを連ねているヤンチャそうな男に言った。
「全く、怖い女だな。お前は。邪魔だと思う女は即消しで闇落ち送り。これまで何人の女が泣きべそかきながら消えていったことか。全く敵に回したくないぜ」
「無駄口叩かないの? いつもちゃんと報酬は払ってるでしょ? はいこれ,、今回の分」
そう言って出された三本の札束を受け取り、軽く指でしごきながら男は上目遣いで言った。
「ちゃんと揉み消してくれるんだろうな? こんなんでムショ送りなんてマジで勘弁だぜ」
「いつも無事完了してるでしょ? パパが手を回してくれてるから大丈夫」
美華はそう言ってスマホの画面を見せた。
「この子よ。絶対間違えないでね」
眉を顰めて顔を近づけるや否や、すぐさまその両目が見開かれる。
「おお! なかなかの上玉じゃねぇか! 攫った後はいつも通りでいいんだな?」
「たっぷり可愛がってあげて。最高の作品に仕上げてよ。録画は絶対忘れないで。黙らせるためにも」
「そう言いながらも、いつも裏で捌いてるくせによ」
不敵な笑みを浮かべながら男は翳されたスマホをそっとどけると、強引に彼女を引き寄せた。
「でも、やっぱりお前が一番だ。久しぶりに外で」
そう言うと互いに絡みつくような接吻を交わす。男が堪え切れない様に彼女の胸に手を当てようとすると、美華はそっと制止した。
「仕事が終わってからよ。その後でいくらでもしましょ。作品を見ながら」
「くくく! 全く悪趣味な女だぜ! まぁ、そういう毒があるところが魅力なんだけどな」
軽く口づけをして離れると、男はポケットから携帯を取り出した。
「もしもし。俺だ。参加したい奴は、この指とーまれ。早い者順だからな。今から30以内に来た人だけに大特典!」