レベル5
「さぁ、それではあらためて七つの注意事項の実践に移りましょう!」
進行役の男がそう言うと、助手は画面向かって一番左側にいるツーブロック頭の被験体の傍まで、その先端が尖ったぶっとい丸太のような棒を転がして行った。
ツーブロック男が顔を引き攣らせながら、自身の椅子で隠れた背後に必死に目を遣ろうとする。
「……ま、まさか……それをケツにぶっ込むとか……そんなわけねぇよな?」
「ご察しがいい、大正解です」
相手の問いを封じ込めるように被せられた返事に、その目が惑う。
「ちょ……! 待て! こんな事して……! 一体何が目的なんだ?」
進行役の男は意外そうに目を丸くした。
「目的? もちろん寄生虫を採取し、皆さんをその害悪からお守りするためです。あなたたちを罪人へと駆り立てた心の寄生虫を」
その言い回しにツーブロック男の表情が途端に強張る。
進行役はその後ろめたそうな顔をまじまじと見つめると言った。
「おや? 何か心当たりがあるようですね。この際なので、自らその罪状をここで吐き出してしまいましょうか。そうすればご自身の身も心も洗い流され、わざわざ私どもが採取する必要もなくなりますから」
教室で画面を見ている美華の表情が凍りつく。
しかし、意外にもツーブロック男の反応は強情だった。
「へ……。俺達を舐めてやがるな……。お前、ただで済むと思うなよ」
こちらを見下ろす白衣の男を上目遣いで見ながら言い捨てた。
「こんな子供だましに屈するとでも思ったのか? 俺達は仲間を売らねぇ。クソして寝な」
場がシーンと静まり返った。
その様子を画面を通して、生徒全員が固唾を呑んで見守る。
長い間の後、進行役の男は深い溜息をつくと、ようやく画面の方を向いて口を開いた。
「皆さん。悲しいお知らせです。どうやら、彼は既にレベル5にまで進行しているようです。寄生虫によって心身ともにすっかり支配され、正常な判断力を完全に喪失しています。もはや助ける手立ては一つ」
無念さを払うかのように首を横に振りながら、ゆっくりとツーブロック男の背後に回り込んだ。
助手から引き継がれるように、その太くて長いステンレス製の柱に両手を添えると、研究者らしからぬ態で思い切り腰を入れて踏ん張り、脇に抱え込んだ。
彼は付言した。
「通常なら被験体の身に配慮し入口に潤滑油を塗るところなのですが、ご覧の通り今日はお若い視聴者がたくさんおられます」
画面の向こうへ語りかけるように、
「ややもすると、卑猥な表現と誤解を生むことになりかねませんので、そのまま投入します」
そう言うと、迷いもせずに穴目がけて力一杯ぶっ刺した。
「ぐぎぃぃぃぃあああああああ――――――!」




