第一章 第一話 《astral side》 道はどこまでも続いている/この道に終わりはあるのか?
今回も文章力0ですが頑張りたいと思います。
私は歩いている。
――この張り詰めた緊張感が満ちた冷たい王城の廊下を。
私は歩いている。
――お父様が私の為に用意してくれた「第二王女」としての道を。
私は歩いている。
――いつかこの世界から争いを消して民を安心させるためにも。
私は、歩かなければならない。
――それが私、《アリア・アイネット・テリオル》の生きる道だから――
ピタリとアリアはドアの前で止まった。
目の前には大きな威圧感を放つドアがある。
(このドア一枚の向こう側に……お父様がいる。)
「……ふう。」
アリアは一旦深呼吸をして自らの気持ちを落ち着かせる。
(………よし!)
アリアは決心してドアをノックした。
「お父様。アリアです。」
「………入れ。」
ドアの向こうから低い声がした。
「……失礼します。」
そう言ってアリアはドアを開けた。
ドアを開けた先は一言で言うのならば書斎だった。
しかし書斎と言うにはあまりにもそこは広すぎた。
そしてそのほとんどの空間が書類で埋め尽くされていた。
本来なら入ることすら許されない空間。
その書斎の奥。窓際の椅子に国王――《ザリアス・リオストロ・テリオル》――は座っていた。
「中間報告に参りました。」
「うむ。」。
「…帝国軍は現在国境付近の《クリフの谷》にて前線基地を建てたようです。しばらくは向こうも攻めては来ないでしょう。」
「そうか……」
ザリアスはアリアのほうを見ずに窓の向こうを見ながら言った。
「《異邦人》の件はどうなっている?」
「微弱ながらも強い魔力の反応を2つ見つけました。3分前に準備が整いましたのでそろそろ祭壇に《召喚》される頃でしょう。」
「そうか………ッ!?」
いきなり顔を歪ませるとザリアスは忌々しそうに何かを呟いた。
それを見て心配したのかアリアはザリアスの傍による。
「どうかなさいましたか?」
「…………してやられたよ。まさかこういった手段を用いるとは…」
「………まさか!」
「ああ。お前の想像通りだよ。まさか………」
ザリアスは窓の向こうにあるであろう谷と祭壇のほうを見ながら言った。
「――少数精鋭で無理矢理飛び越えて来るとはな。無茶な事を考える指揮官もいるものだ。」
アリアは絶句した。それは敵の進軍の仕方に対してではなく――
――それをここから感知したザリアスに対してだった。
(ここから谷まで一体どれほどの距離があると……)
が、今はそれどころではないと自分に言い聞かせてアリアはドアに向かって走り出した。
「アリア!」
「はい、直ちに祭壇へ向かいます!」
「気を付けろ。あの谷を越えて来るとなるとただの魔戦機ではあるまい。恐らくは…」
ザリアスの不安げな言葉に対してアリアは自信に満ちた顔で言った。
「おまかせを。たとえどのような敵が現れようとも―――――――――このアリア・アイネット・テリオルが《蒼風》の名の下に。」
「…………うむ。」
「では失礼します。」
アリアは書斎から出て一言呟くと風のように走りだした。
が、階段の真横を走り抜ける瞬間、彼女は一瞬考える。
(階段を降りる?そんな暇はない!)
そのままスピードを緩めずに廊下を一直線に走る。
(ここから外にでるための最短ルートは―――――)
その先は―――――解放されたテラス。
(ここから――――飛べばいい!
アリアはスピードそのままでテラスの手すりを足場にして―――飛んだ。
強烈な浮遊感を感じた時にはもう既に落下は始まっていた。
しかしアリアは恐れる事無く空を見ながら落ちていた。
ゆっくり彼女の右手が右に動く。
「――――来なさい!リコル!」
するといつの間にか隣を並走する形で落下している少年がその手を掴む。
その少年の髪の色は蒼く蒼くどこまでも蒼く―――
少年が何かを呟いた後、眩い光が煌めき―――――
――――――――――彼女たちは空から消えた。
これで第一話の前編が終わりました。
ここからが大変ですが、気長に頑張ります。
さて、ご意見・ご感想・訂正などいただければ明日への原動力になります。
アドバイスとかでもいいのでお待ちしております。