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僕と彼女とレンタル家族  作者: Hum_Blake
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第59話「DM 木島亜衣」

 昨日の家族会議を終え、目覚まし音で目が覚める。スマホの画面に映し出される、午前6時10分の時刻。ボヤけた視界がゆっくりと鮮明になっていき、眠気とダルさを整えるために少しの間天井を眺める。


 5分ほどして起き上がり、もやもやした気持ちを抱えたまま洗面台に向かって歯磨きをしながら、メッセージアプリを起動させると【大丈夫か?】【帰れたか?】【みんなで過去を探ってやろー】など通知が来ていた。


 傷心していた在過には嬉しい連絡。それぞれ個別に返信をしながら、今後どうなるのか?と考えていた。昨日の家族会議を思い返せば、しっかりと解決したとは言えない。しかし、神鳴の両親達の言葉を思い返せば、お互い別れろと言う気持ちで決まっているだろう。


 このままでいけば、両親の意見を自分の気持ちとして答えを出す神鳴の出来上がり。パパ、ママが言うからそうしたほうがいい。パパ、ママが言ってるからそうしたほうがいい。あの両親を見れば、本当に洗脳されているのではないか?と考えても不思議ではないだろう。


 本当にこのままでいいのか? 好きな人が自分の考えで行動できず、親の言いなりのような状態でいいのか? 他人である在過が口出しするべきではないことはわかるが、心配でしかたなかった。


 明日は夜勤業務があるため、今日一日は寝て過ごしてもいい気がする。何もやる気が湧いてこなければ、起きていると頭の中で考えてばかりでストレスも溜まる。歯ブラシを洗い、うがいした後に台所でケトルに水を入れてお湯を沸かす。


 コーヒーミルの蓋を開けて、白ワイン付けされたコーヒー豆を入れる。焙煎度合いは迷ったが、すこし酸味強い気分でもあり【ハイ】を選ぶ。中煎り焙煎のハイローストは、コーヒーの苦みの後に甘みがふわっと演出しながら、酸味も味わえるレギュラーコーヒーに近いのではないだろうか。


 お湯が沸騰する前に、ポストの中身をチェックしに行き朝刊を持ってくる。新聞をテーブルに置いた後、ドリッパーとコーヒーフィルターをセットして挽いた豆を入れる。沸いたお湯を注いで、ふわっと香るコーヒーの匂いが口の中の唾液量を増やした。


 淹れたコーヒーを持って部屋に戻り、椅子に座って一口飲む。口の中に広がる酸味から、ゆっくりと飲み込む瞬間の苦み。数秒後に甘さが広がって胸が暖かくなる。


 新聞の記事を確認しながら、朝のコーヒーを楽しんでいた。気になる新聞記事に関する内容を、ツイートしようとスマホを手に取り、青色アイコンのアプリを起動させる。1回に140文字までの制限があるショートSNS。


 20代男性がクロスボウを使って親族に向かって発射した痛ましい事件。どうやら3人亡くなってしまったと報道されており、SNSでも同じ事件のツイートをしている人が多くいた。同じツイートをしているネットユーザーとやり取りしているときに、DMが届いていることに気づく。


「また、たくさん来てるなぁ」


 前回のDM誹謗中傷事件があったこともあり、今回も同じだろうと在過は思っていたが届いていたアカウント名は神鳴の親友と言われている木島亜衣のアカウントだった。


 キア@アラン_リックマン_sara


【神鳴を泣かせたら許さないって言ったよね? マジでクズじゃん気持ち悪い】


【ブチ切れて連絡先消せとか脅迫するなんて、やばすぎだろ。一日中泣いてた神鳴に土下座して謝罪しろよ】


【無視すんじゃねーよクズ。どれだけ苦しんでるのか理解してないの?】


【全部、神鳴が悪者みたいに責めまくって正真正銘のくそ野郎DV男じゃん】


 昨日の家族会議のことが筒抜けなのか、それとも連絡先を消した件についてだけ相談したのか不明だが、木島亜衣に話をしていたことは理解できる。どのように伝えていたのかは、DMの内容を見れば明らかだが、キア@アラン_リックマン_saraのアイコンをタップして、木島亜衣が今まで投稿していたツイートを遡る。


 昨日の夜23時頃から、在過に関する暴言がツイートされていた。特定できないように濁してはいるようだが、友達の彼氏が脅迫して男友達を消せと迫ってきたらしい。言うことを聞かないと土下座をさせられ、首を絞めてきたとか犯罪だろ。


 あること、ないことをツイートされ、それに賛同するネットユーザーが盛り上がる。ツイートされた内容に対して返信できる機能を使い、神鳴を含めた数人のやり取りも見つけた。


【神鳴が悪い子なんだよ……彼ピが神鳴のこと好きなの伝わってくるけど、さすがに男友達消せないから断っちゃったから。だから、神鳴が悪い子なの】


【いやいや、どう考えてもその彼氏がやばいでしょ。いまどき男友達消せって迫るやつ存在するんだ。消さなくて正解だよ。そいつかなりのメンヘラじゃん】


【俺もそう思うな。彼女に男友達が居ても別に気にならないし、普通に友達と遊びに行ってたりするけど男も普通にいるし】


【でたー、妹ちゃんラブのキモ男のこと? 完全にストーカー気質の彼氏じゃん。絶対に分かれたほうがいいよ。キアもそう思うよね!】


【直接あったことあるけど、かなりヤバそうなやつだよ。俺は悪くないって言ってるし、自覚してないのもヤバめ】


【みんなありがとう♡元気出る! でもでも、本当に神鳴が悪いんだよ。パパもママも、彼氏の為に別れたほうがいいって言ってるけど……どうしたらいいかなぁ?って】


【別れるべき】


【絶対に別れたほうがいいと思うけど、ストーカーとか怖いなぁ】


【あ、奴の職場に行ったことあるし、家も知ってるから何かされたら私が地獄に落としてやる】


【キアちゃん、神鳴ちんの王子さまみたいww】


【キアぁ~~ありがとうぉ。キアは神鳴の王子様に昇格しました! ちゅっ】


自分のことがネタにされ、加害者と被害者の立場が逆になっているツイートを見ると怒りより、悲しい気持ちと虚し感情を感じる。


 在過は、ツイートを遡って見ているときに新しいDMが届く。


【神鳴の両親に誘拐宣言したらしいじゃん。ほんとお前の頭犯罪者の思考じゃん、やばすぎでしょ】


『はぁ……、別に誘拐宣言なんてした覚えはありませんけど』


ブックマーク登録者が15人!

星評価をしてくださっている方も増えて、うれしいです(´;ω;`) ありがとうございます。


実話を元に再現しているため、不快な部分もあるかもしれませんが

一つの作品として、楽しんでもらえたらうれしいです。



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