第50話「家族会議9」
感情的に行動してはいけない。そう考えているはずが、頭の中にテレビノイズのような不快な頭鳴が邪魔をする。
「自分の娘に……。親が子供に病気とが言ってんじゃねーぞ糞野郎！」
好きな相手の家族関係は良好が一番だろう。今後も神鳴と付き合っていけば、もし結婚と言う話になれば、お互いの家族間交流は避ける事はできず、良好な関係は必須と言えよう。
しかし、この時の在過は冷静な判断をすることは……もうできなかった。自分自身の家族関係の背景が特殊だからなのか。それとも正義感からなのか。
「私は神鳴の父親だ。君に病気と言っているわけじゃないだろ？ 自分の子供に言って何が悪いのか……ふふ。子供が親の言うことを聞くのは当たり前だろぉに、あぁ……君は知らないのか」
在過の暴言に怒ることなく、苦笑しながら答える大迦。
「親だろうと、言われた本人はどう感じるか考えないんですか？ 仮に病気だったとしてもですよ、本人が目の前にいるのに、普通いいませんよ」
「君の普通を私に押し付けないでほしいな」
「あのねぇ……娘は今までも、何度も何度も苦しい目に合っているの。娘は周りの子達とは違うの。特別で自分で判断したり行動できない病気なの。それを理解してあげないと」
「あなたもですか。わかりました、そんなに病気病気言うなら、なにか精神病の診断でもされたんですか？ もしそうなら、俺も知らなかったとは言え無責任な発言をしたこと謝ります」
「はぁ……そんなことも知らないなんて、それとも気づかないふりでもしてるのか。何度も近藤君に泣かされて、その次の日には喘息の発作がおきてたでしょ！」
「何度もって……こっちが泣きたいですけどね。喘息持ちなのは知っているので、それが病気と言えばそうなのでしょうけど。神鳴のお父さんとお母さんが言ってる病気って、精神的な部分の事を言ってますよね？ 病気だから自分で判断できないって、喘息関係ないですよね？」
「喘息が関係ないって、娘のことなんだと思ってるの！」
