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僕と彼女とレンタル家族  作者: Hum_Blake
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第46話 「家族会議5」

「かん……かんな。神鳴(かんな)消してないもん。(とう)君が自分で消したんだもん。自分で消すとこ、隣で見せてくれて、それで、神鳴が悪いって責められて。殴られて」


「だそうだ」


 表情を変えない大迦が言う。また、少し微笑んが雷華が、神鳴の頭を撫でながら「がんばったね」と慰めている。在過は心の内で言葉が漏れる。



 ――嘘だろ……、なんで?


「いや、ちょっと待ってよ! その言い方だと、誤解を招くでしょ? それに、殴ってないよね。確かに神鳴が消した人以外の交友関係は、自分の意志で消したよ。けど、いま話しているのは、発端となった最初の原因なわけで。僕が知らない間に1人消したよね?」


「君は、娘を誘導しようとしているのかい?」


「は?」


「娘は消していないと言った。しかし、君は娘が消したと誘導しようとしている。娘の隣で消すとこを見せたのだろう? 自分の意志で消したと発言したよね」


「ですから、そうするしかない状態になったキッカケが、僕の知らない間に娘さんが勝手に1人消してしまったんですよ。話し合いの結果で、他の女性を消すことになりました。その部分については間違っていません。自分で消しました。」


「娘が消した状況を見ていないのだろ?」


「……」


「見ていないのだろ?」


「確かに見ていませんが。先ほども申し上げたように、娘さんの口から消したと聞いているんです」


「だから、その事実を確かめるために娘に今聞いただろ? その結果は?」


「……」


「聞いているんだが、娘が答えた結果は……なんだったんだ?」


「消していないと……」


「だよな。 いいんだ、こう思っているんだろ? 娘が嘘をついていると。だが、それはコチラとしても一緒だ。君が嘘を言って、娘が消したと誘導しているんじゃないかとね」


 これは当然の結果なのかもしれない。少しだけ、解決するかもしれないと期待していた気持ちが在過にあった。しかし、最初から在過が言う発言を聞き入れるつもりなどなかったのだ。


 このまま反論を続けたところで解決しない。在過は横目で神鳴を見るが、継続して涙を流して俯いている彼女の気持ちが、まだ理解できないでいた。


「君には申し訳ないけどね、最初から住む世界が違うんだよ。不自由なく暮らしている娘と、可愛そうな環境の君では釣り合わないんだよ。君の為に助言してあげているんだ、娘と別れて妹さんを優先しなさい」


 過去も現在も、何度も言われ続ける言葉。今までの生活で、大変だったことや辛い事は多くある。しかし、それは在過からすれば普通。篠崎家からすれば在過の環境は普通ではないかもしれないが、在過は、この家族から可愛そうと言われることに不快感や怒りが積み重なっていく。


「またですか。どいつもコイツも、妹を優先しろってうるせぇな。家族ですからね、大切な妹なので何かあれば優先しますよ。けどな? 俺の人生は、今後もずっと死ぬまで妹優先で生きていかないといけないんですか? 俺は、娘さんが好きですよ。納得できないことも沢山あります、だから喧嘩しました。でも、好きになってしまったんだから、できるかぎり娘さんことを理解しようとしています」


 ()()()()()()()()()()()感覚が在過を包み込む。


「俺は知りたいだけなんですよ。なぜ、勝手に消したのか? なぜ、相手にお願いした事と同じことを頼んでいるだけで親が介入してきて、こっちが悪者みたいに言われなければいけないのか? 教えてくださいよ、無理難題を要求何てしてませんよ? 同じことを頼んでいるだけなんで」


「何が理解しようとしていますよ! 全然理解してないじゃない。神鳴と一緒にいるのに、別の女性と連絡したり、会ったりしてるんでしょ。近藤君の為に、神鳴はずっと我慢してたっていってるでしょ?」


「ですから、何度言わせるんですか? あーなら、俺もずっと我慢してました。娘さんは俺と食事や遊びに出かける時も別の男性の話するし、やたらSNSでフレンドになったとか言う男を自慢してくるのはどうなんですか?」


 話しかけられるまで無言で俯いていた神鳴は、在過の発言を聞いて顔をあげて睨む。ずっと無言で喋らない神鳴は、聞かれた事だけを答えいる状態。しかし、在過はずっと思っていた。神鳴は、自分に都合が悪いことになると泣き出し黙ってしまうと言う事を薄々在過は気づいている。いつからか、神鳴の性格は自分の母親と似ている部分があると感じていた。


 そんな性格を利用し、言い方を悪くすれば在過の発言は罠であった。SNSでフレンドになったと言う男性の件は本当であるが、食事したりデートした際に男性の話をすると言う部分は嘘だった。数ヶ月間と言う短い期間ではあるが、放った発言によって神鳴がどういう発言をするのか確信を持っていた。


「かんな、そんなことしてないもん」


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