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僕と彼女とレンタル家族  作者: Hum_Blake
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第25話 「お見舞い2」

 妹の友理奈(ゆりな)が生活する個室の扉を開けて中に入る。


 ガラっと言う音で友理奈は視線を左に向ける。扉が開いた奥から、今日も兄がお見舞いにやってきた。何もすることがなく、呆然とベットの上で過ごす生活。自分でも拒食症と言う事は理解しているし、家族に迷惑を掛けたくないとも思っている。


 しかし……頭ではそう思っていても、心も体も言う事を聞かない。体重が落ちて、洗面所の鏡で姿を見ると骨が浮き上がり、肋骨(ろっこつ)までハッキリ見える体になってしまった。体を動かすと骨の痛みが襲って動きたくない。


 そう、まるで骸骨じゃないか。友理奈はそんな自分の姿が嫌いであったが、吐くことをやめられない。


 誰かに命令されているのか。誰かが操っているのか。気づいたら同じことを繰り返してしまう。自分の体なのに、自分ではない感覚がある。


 友理奈は倒れる前に兄の在過に言ったことがある。「こんな気持ち悪い骸骨が妹でごめんね」と。


 楽になりたい、家族からも否定されれば死ぬことは怖くない。両手首に生々しくも残るリストカットの痕が嬉しくもあり勇気づけてくれる。それなのに、兄は自分の腕をカッターナイフで切りつけた。


「なんだ、知らないのか? 骸骨になれるなんて素晴らしいんだぞ。骸骨になれたなら、この後は綺麗な女の子になれる再生が待ってるんだ。見ろ、この僕の醜い豚の腕を切っても肉が多すぎで傷跡なんて残らないから、再生どころか元の豚に戻っちまう」


「ちょっと、あははは、やめてよお腹いたい」


「どうせなら僕もカッコいい男に再生したいからなぁ、ゆりは自分の手首切るなら、この豚の手を切って僕も綺麗にしてくれ。これ以上、傷が多く増えすぎると綺麗になるどころか、俺のように豚になる」


「痛いよ」


「かぁ~それも知らないのか。肉が多すぎて痛み感じなんだ」


「えぇ! やば。でも、うちも毎日やってたから痛み慣れちゃった」


「はい、今日からこの腕を使いましょう」


「わかった」


 そんな出来事のキッカケもあり、友理奈はリストカットで自分を傷つける習慣がなくなった。


 しかし、第三者から見ればリストカットと言う行為は受け入れられるものではない。自傷行為をしないことが普通であり常識と言う一般論。その行為をする人たちは、身近な人達などにアピールをしたいと考えている人だけではない。遠因(えんいん)近因(きんいん)など、これらの2つの原因が関与して、苦しむ人が実在すると在過は知った。


 

 個室に入った在過は、約45度ほどベットがギャッチアップされており、テーブルに置かれたタブレット端末で月額動画サイトで配信中の韓流ドラマを視聴していた妹を見て胸を撫でおろした。


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