おもちゃ殺しの愛の告白
『そこのあなたに お願いがあります
この私を 愛してください
少しだけでもいいんです 永遠じゃ無くていいんです
皆に向ける ついでの愛でもいいんです
お願いします
この私を 愛してください
私の全てを 愛してください
少しだけでもいいんです ほんの少しでもいいんです
一瞬だけでもいいので 私を本気で愛してください
お願いします
この私を 愛してください
そしたら私は元通り また人間に愛されます
この私を好きになり この私を愛してください』
懇願するのは 壊れたおもちゃ
ぼろぼろになった ぬいぐるみ
ほんの少し前までは
人間たちに愛されて 愛にあふれていたおもちゃ
しかし今ではガラクタ風情 それは堕ちた敗者の姿
可哀想なおもちゃだと 私の中に同情が生まれる
私は優しく微笑んで おもちゃに素敵な愛を紡いだ
「大嫌い」
にこやかに 短く鋭い言葉を紡いだ
おもちゃの命のともしびに 冷たく強い吐息をかけて
瞬く間も無く おもちゃを殺す
『ねえ あなた』
私に声をかけたのは 古くて綺麗なお人形
金髪碧眼色白の 悲しそうなお人形
この子も私に 愛を求める?
懇願の言葉を待ちながら 私は優しく微笑んだ
『わたしを殺して おもちゃ殺し』
どうやら この子は異例らしい
微笑む私は 眉を顰める
『おもちゃを操るあなただけ こんな私を殺せるの』
私の中に潜む影 生けることを拒むおもちゃ
私は優しく微笑んで 異例のおもちゃに愛を紡ぐ
「永遠に あなたが大好き」
綺麗なおもちゃのその顔が 絶望の色に染まった
おもちゃを操り 思うがままの
おもちゃ殺しの楽しみは
おもちゃの心を殺すこと
愛を囁き殺したい 愛が歪んだ天邪鬼
おもちゃ殺しの愛の告白