告白
昔の頃の私には
「大好き」と言った貴女は消えた
代わりに今の私には
「愛してる」と言う貴方がいる
1人が去って 1人が来ました
いいえ 本当は
貴女の数は少なくて 貴方の数が多いのです
それでも私は求めてしまう
消えた貴女の存在を
いくら 貴方が
素敵な愛を紡いでくれても
今の私は 去った貴女を求めてしまう
今頃になって気づくなど
今更 遅いと分かってる
それでも私は 消えた貴女を求めてる
目の前にいる 優しい貴方では無くて
消えた貴女を求めてる
今の私は おかしいでしょう
貴女が愛を囁いた 遠い遠い昔には
私の中の愛は無く
貴女が悩みを打ち明けた 遠く過ぎしあの日々は
あの日の私の悩み事
今の私は ひどいでしょう
昔嫌った貴女のことが 今では愛しく思うのです
自分で嫌った そのくせに
どうも愛しく たまらない
ずきずき痛むこの胸は ようやく貴女に恋をした
ああ 私を愛してくれた 昔の貴女は
私に何を見ていたのです
ああ 私を愛してくれる 今の貴方は
私に何を見ているのです
貴女のことは諦めて
貴方と落ちたらどれほど楽か
貴女のことは忘れ去り
貴方と生きたらどれほど良いか
ずるい私は貴方に尋ねた
「私のことは好きですか」
優しい貴方は 私に頷く
私の心が ああ痛い 氷のように冷やいのに
ずるい私は貴方に言った
「貴女のことを愛してます」
優しい貴方は ふと目をそらす
私の心が ああ痛い 炎のようにはなるまいに
ずるい私は貴方に聞いた
「私を愛してくれますか」
優しい貴方は 立ち上がる
やはり私はぶたれるか 腹をくくって目を瞑る
「あなたをきっと幸せにします」
酷い私の耳元で 優しい貴方の声がして
私は驚き 目を開けた
頰を染めては微笑んで 私を見つめる優しい貴方
目から溢れた小さな雫は 私の頰を伝って落ちた
貴方は私に愛を誓った
私はそれでも貴方に問うた
「貴方を愛していいですか」
言えなかった言葉があった。




