表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛×哀集  作者: 緋和皐月
19/24

告白

 

 昔の頃の私には

「大好き」と言った貴女は消えた


 代わりに今の私には

「愛してる」と言う貴方がいる


 1人が去って 1人が来ました

 いいえ 本当は

 貴女の数は少なくて 貴方の数が多いのです


 それでも私は求めてしまう

 消えた貴女の存在を


 いくら 貴方が

 素敵な愛を紡いでくれても

 今の私は 去った貴女を求めてしまう


 今頃になって気づくなど

 今更 遅いと分かってる

 それでも私は 消えた貴女を求めてる

 目の前にいる 優しい貴方では無くて

 消えた貴女を求めてる


 今の私は おかしいでしょう

 貴女が愛を囁いた 遠い遠い昔には

 私の中の愛は無く

 貴女が悩みを打ち明けた 遠く過ぎしあの日々は

 あの日の私の悩み事


 今の私は ひどいでしょう

 昔嫌った貴女のことが 今では愛しく思うのです

 自分で嫌った そのくせに

 どうも愛しく たまらない

 ずきずき痛むこの胸は ようやく貴女に恋をした


 ああ 私を愛してくれた 昔の貴女は

 私に何を見ていたのです

 ああ 私を愛してくれる 今の貴方は

 私に何を見ているのです


 貴女のことは諦めて

 貴方と落ちたらどれほど楽か

 貴女のことは忘れ去り

 貴方と生きたらどれほど良いか



 ずるい私は貴方に尋ねた

「私のことは好きですか」

 優しい貴方は 私に頷く

 私の心が ああ痛い 氷のように冷やいのに


 ずるい私は貴方に言った

「貴女のことを愛してます」

 優しい貴方は ふと目をそらす

 私の心が ああ痛い 炎のようにはなるまいに


 ずるい私は貴方に聞いた

「私を愛してくれますか」

 優しい貴方は 立ち上がる

 やはり私はぶたれるか 腹をくくって目を瞑る


「あなたをきっと幸せにします」

 酷い私の耳元で 優しい貴方の声がして

 私は驚き 目を開けた


 頰を染めては微笑んで 私を見つめる優しい貴方

 目から溢れた小さな雫は 私の頰を伝って落ちた

 貴方は私に愛を誓った


 私はそれでも貴方に問うた



「貴方を愛していいですか」








言えなかった言葉があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ