独り言
悲しいことが 寂しいことが
恐ろしくって 怖くって
泣きたいことが あっただろう
どれほどだろうと 泣いていい
近くへおいで 話も聞こう
その震えが 止まるまで
私は お前を 抱きしめたい
泣き声をこらえて
こらえきれない嗚咽は漏らして
そんなことなど しなくていいのに
大きな声で 泣けばいいのに
周りに聞こえないように
周りに気づかれないように
お前は お前を守ってる
そんなお前を 私は守ろう
晴れの日は お前を守る影になり
雨の日は お前を隠す傘になる
思いきり泣けばいい
たくさん涙が落ちたなら 軽くなるに違いない
気持ちも 心も 軽くなれ
私の元から離れても
そんなのへっちゃら と笑えたのなら
お前は もう 大丈夫だね
辛くなったら またおいで
いつでも 私は待っている
いつでもここに いつまでもここで
永遠に近い時間の中で 私はお前を待っている
来なくてもいい
会いたくないなら 来なくてもいい
会うと辛いなら 来なくてもいい
お前にとっての辛いことが
全て無くなったのなら いい
私のことなど 気にするな
しかし もし
お前の心が 弱ったら
また おいで
話も 愚痴も 色恋沙汰も 噂話のひとつや ふたつ
怒りまじえて 涙まじえて
ぶつけたいこと
なんでも ぶつけてごらんなさい
なに 年寄りは強いから
ぶつけられても
少し よろける それだけだ
大きな 大きな 腕を振り
小さなお前を 見下ろして
遠いお前に 思いを馳せる
独りで泣いては いないかい
緑の葉々を揺らして 落とし
お前の心と寄り添って
お前が笑えるようになるまで
静かに静かに お前と居たい
なに 気にするな 年寄りの気は長いもの
どれだけでも 時間をかけて
お前がきちんと笑えるまでは いくらでも待つ
樹齢五桁
大きな大きな年寄りの 小さな小さな独り言
「僕は 貴方に救われました」
年齢二桁
小さな小さな若者も 小さく 独りごちてみる
私を頼ってくれたあなたへ。
ごめんね、相談しに来てくれたのに。悩みを打ち明けてくれたのに。私は上手く返せなかった。
言葉が足りずに伝わらない。知識だって浅ましい。知恵だって肝心な時には出てこなくて。守れるような力も無い。
それなのに、あなたは私を助けてくれた。
いつも申し訳なくてたまらないよ。
でも何より伝えたいのは、感謝の気持ち。