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エピローグ


「みてみてー 大賢者様ー」

アカルが赤毛のショートカットに添えられた花の冠を得意気に見せびらかす。

あれは確か、超高位魔法が添付された貴重な花だ、城が何個か買えるくらい。

アカルの赤毛を軽く撫で、幸せだなーと昔の俺を思い出す。


肩書きが農家の引きこもり次男だった頃の俺はある日、突然りんごが食いたくなった。

市場の八百屋に向かうと普段は意地が悪い店主だが、朝、孫が生まれたらしくえらく機嫌がよく、ピーマンをサービスしてくれた。帰り道、小さな子供がピーマンが食べたいと泣き叫んでいたので持っていたピーマンをやると親子は喜び、その母親から街で行われる魔法具大抽選会の抽選券をもらった。翌日、その抽選会にいき、一等のセンスメーターという適正能力を調べる魔法具を手に入れた。家で計ってみると俺の賢者スキルが桁外れに高かった。


そこからは俺の無双コンボだ。 

センスメーターを売った金で賢者魔法を習得し王国軍の徴兵所に行った。俺の並外れた予知魔法が認められ、王国第二軍隊中隊、伍隊の隊長に任命された。俺の予知魔法はすさまじく、どんな戦でも第一功を手にした。功を挙げる度に隊は大きくなり、万単位の軍にまで成長した。俺の第伍軍は戦場で暴れまわり、その後俺は第伍軍を従え、レシトニア王国第二軍、あの軍神オーキの参謀に配属された。

その予知魔法の正確さでオーキ軍は連戦連勝、俺はレシトニアの怪鳥と恐れられた。レシトニア王国軍総軍長、アミレスが老いで死ぬと、アミレスの遺言に従い、オーキが総軍長に就任した。俺もそれについていくかたちで王国軍総指令という地位についた。

最強の将軍、オーキと最強の軍師の俺が率いるレシトニア王国軍は当時の超大国アールブルテンと熱戦を繰り広げ、遂には滅ぼしてしまった。



一気に領土を広げたレシトニアは軍団に休暇を与え、内政に努めた。高まりきった俺の名声は国王の耳にも入り俺は城に呼び出された。

国王は俺に手に入れた領土での内政を半年間任すと笑った。

俺はセンスメーターでもできない、能力予知をし、前々から目をつけていた武器管理をしていた少年ライナーを呼び寄せた。能力予知で判別できる一万を越える能力の中でライナーは内政発想が非常に高かったのだ。


ライナーに事情を話し、俺の直属の配下に加わってもらった。

俺が内政を任されたことをよく思わないやつらの暴力的な妨害も予想し(正確には予知し、)王国軍で俺が自由に動かせた第伍軍、三万の中で最も強いベルンとナリーも家臣団に加わってもらった。

その後、ライナーの内政の発想力と俺の予知能力、ベルンとナリーの武力をフルに使い、任された領地を平均、王国直轄領の二倍の税金が入ってくるほど豊かにしてみせた。その間には、当時の宰相、ロジョルーフとの内政戦争を繰り広げ、ロジョルーフの謀略を明るみにし、失脚に追い込んだ。 


俺は国王に認められ、今後大きな戦争がないということから(俺の予知により分かった)俺は大賢者の地位についた。どのくらい偉いかっというと、他国から客が来たとき、真ん中に座るのはもちろん国王。左は国のナンバー2、相国アルザーで右が俺の席だ。


俺には旧アールブルテンの4分の1が領地として与えられ、ライナーとベルン、ナリーは正式に俺の家臣となった。

ライナーに俺の領地の内政を任せ、王国軍下にあった第伍軍を呼び寄せ、総大将をベルン、ナリーを参謀とする俺直属の軍隊として整えた。ロジョルーフの配下だった魔女セルンを仲間に率いれ、俺の副官としてライナー達を取り仕切ってもらった。




この頃から俺はもう気づき始めていた。


きっと転生した者が成功するというのは何かの自然法則に定められているんだろう。


そうなっているんだ。


何かは分からないが得体の知れない大きな何かの事情によって、


俺みたいな奴らはどう転んだって成功するようになっているんだ。


急にりんごが食いたくなったのも、ピーマンをサービスしてもらったのも、ピーマンの代わりに抽選券をもらったのも、その抽選で一等が当たったのも、

たまたまではなく必然なんだ。


俺が成功しないと困る奴がいる。


俺が引きこもりとしてだらけた何の刺激もない人生を送ったりすると、きっと誰かが困るんだ。


誰か?


俺を生んだ存在、神か?


俺が並外れた賢者適正を持っていたのも、


説明では省略したが、無双コンボが始まってからずっとハーレム状態がうっとうしいくらいに続いているのも、


そうなっているんだ。


「まぁ、充分満足なんだがな」

と俺の隣で眠ってしまったアカルの赤毛をまた撫でる。







本当はもっと楽しいお話も、感動的なエピソードも、魅力的な敵や仲間も、少しエッチな展開も、熱い戦闘シーンも


たくさんあるのだけれど


全部話すと何か、その得体の知れない何かに負けた気がするから


俺の話は終わりにしよう。


これもその何かに操られているのかもしれないけれど




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