●(82)計画
「ねーねー、もうすぐあたしの誕生日だからね?」
最近しょっちゅう多摩が言っている。
「プレゼントはいらないけど、ささやかなパーティーがしたいなーなんて」
8月7日まであと半月だ。威咲は微笑んでいる。
「本当にプレゼントいらないの?」
「ええ、物は持ち運ばなきゃならないし。でも思い出は別よ!」
「そっか、じゃあパーティーにしようね」
「本当?ありがとーっ本当に本当にしようね?」
多摩が威咲に抱きついた。
4月1日の威咲の誕生日には手の込んだ料理を時間をかけて作った。その時も辛い料理だったが。
威咲は思った。今度は私の村のおめでたい日に食べる料理を作ろうかな。
水蜜。甘くて美味しい汁に団子と豆の甘煮などを入れて甘くしたデザートで、威咲も好物だ。そして多摩も甘い物は好きだからきっと喜んでくれるだろう。想像してまた微笑んだ。
「アイル、これからどうしようか?」
ロイが窓辺に腰かけて言う。
「あいつらを片付けたら外国に逃げることにしてたけど、もう片付け終わったし、様子を見る感じでは僕らのことはそれほど探されている様子でもない。やはり裏組織はもう自然消滅したのかな」
「…ああ、だが侮りは禁物だがな。我らが牢から消えたこと、知っている者がいない訳ではないんだ。普通の人は何も知らないから妖術とか言うが、そんなことはあり得ないから我らは記録上はどうにかして逃げたことになったが、消えた事実は当事者には残っている」
「…こういうことは垂華が得意だよね」
「!…ああ」
「人の記憶を変えたり消したりするの僕らも一人二人にはしても、垂華みたいに大人数は扱えない。だからこの件ではそれは使えない」
垂華は記憶を扱う術では5人の神官の中で一番だろう。
アイルが小さくため息をついた。
「あいつらとまた仲間に戻りたいか?」
「アイル、僕は――――――――いつかはまた仲間に戻りたいと思っている。アイルも本当はそうなんだろう?
それは今じゃない、けどいつか、そう、次転生したら。今生は仕方ないから。それもこの国を救うためだったんだから、きっと大丈夫だと思う」
「結果的には片付けてしまったがな」
「どっちみち同じ結果なだけさ。装置が完成したらあいつらを滅茶苦茶にしてやるつもりだったんだ。禍気に当てられたら同じ結果になった。方法が違ったからって」
アイルが前髪をかきあげて首を振った。
「ロイ、だけど始めからゆっくり、万朶なんかに関わらずに一人ずつ順番に殺していけば良かったんだ。酷い目に遭わせるとか考えずに、単に」
その時二人の脳裏にまた直接威咲の声がした。
――――――こんにちは。今日も話しかけさせて下さい。
「!」
先日もまた全部読んでくれた方がいて、本当に感謝☆ ユニークの方も、それ以外の方も、いつもありがとうございます!
~お知らせ~作詞作曲☆の方に次を正月早早アップします!良かったら見てね!そしてスピカは正月中に、前の部分にも挿絵を付けるべくイラストを描く予定だよ‼なので、目次に●が付いてたら、是非ご覧下さい~(※正月にね)




