表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CALL  作者: スピカ
8/190

(7)朝日と金柑の花

威咲の父親が殺されたので一夜は威咲を連れて村を出たが、街道で大雨のため洪水が起こり威咲は子供(緋尾)を助けて足を怪我する。さらに高熱が出て、三日麻疹とわかるが薬草がない。だが緋尾の無茶のおかげで薬草が一掴み手に入った。飲ませたが…

 そうしていつの間にか一夜も眠っていたのか、朝の光で目を覚ました。

 慌てて威咲の様子を見ると、白い顔で眠っていた。

 一夜の心臓がドクンと鳴ったが胸元を見ると僅かに上下しているので生きていることが分かった。


 一夜は心底ホッとして威咲の頬の温度を確かめる。まだ熱はあるがほとんど下がっていた。

 一夜は威咲の頬をつついてみた。

「…、ん…」

 ピクリと反応した。その様子を優しい目で見ていると、

「…なーにやってんの~?」

 はっとして思わず飛び上がらんばかりに驚いてしまい振り返ると垂華が戸を少しだけ開けて覗きこんでいた。

 一夜は苦虫を噛み潰したような顔をした。

「何でもねぇよ!」

 垂華は部屋に入ってきて威咲の様子を見ると言った。

「よくなってるね。薬が効いたんだな」



 その後朝食後にまた薬を飲んで、その日は一日寝た。

 次の日にはもう起きていた。


「お姉ちゃんもう動いていいの?」

「うん、緋尾君のおかげですっかり治っちゃった」

 威咲もすっかり街の人達に慣れ台所にも出入りしたりしている。 

 あの決壊から三日で水が街中から引いたので、明日から街に下りて片付けをするということだ。

 緋尾は一夜になついてよくくっついて回っていた。一夜も色々教え込んだりしていて楽しそうだ。といってもゲームやケンカの仕方などだが。


「威咲ちゃんの味付けはうまいねぇ」

「本当、若いのに偉いわぁ」

「そうかな、ありがとうございます…」

 威咲は照れて微笑む。



 早朝、まだ日の出前に一夜は威咲を連れ出した。松葉杖なんか無いし歩かせると時間がかかるので一夜は威咲をおんぶした。そして集会所の一段上の所に連れていった。


「これ…金柑…」

 そこには金柑の木が一本あってちょうど花が咲き始めていた。そこに日の出の朝日が射し込む。

「お前にこれが見せたかったんだ」

「わぁ…ありがとう一夜」

 威咲の目から涙がこぼれた。一夜は威咲を降ろし花をとってやった。

「泣いたらバレちゃうよね」

 そう言って泣かないようにこらえていた。一夜は隣に座り一緒に朝日を眺めた。



 一夜は街の男達に混じって復旧作業を手伝った。タダメシを食わせて貰えるお礼だ。

 そして堤防も元に戻った頃ようやく威咲の足も歩けるようになり、ちょうど良いので街を去ることにした。

 緋尾は寂しいと言って目に涙をためていた。


「お兄ちゃん俺、きっと同じくらい強くなるからね」

 一夜は笑った。

「ハイハイ、泣くな」

「あとお姉ちゃんのことも俺絶対忘れないからね」

 そう言って威咲に抱きついた。

「ちゃっかりしてるなおい」

 一夜は最後の突っ込みを入れた。

「でもほーんと威咲ちゃんだけ残ればいいのに。俺のお嫁さんにしてあげたいくらい」

 そう言ったのは垂華だ。

「だとよ」

 威咲は困惑した様子で一夜を見た。一夜は威咲の頭にポンと手を乗せるとポンポンとした。

「嫌だってさ」

「そう…寂しいなー、またいつか来いよ?」

「これたらな。今までサンキュー」

 一夜と威咲は世話になった人達に手を振った。




まさかヒロインが死ぬわけないと思ったあなた、正解でした!だってこんな序盤で死んだら話になんないし。ん?この言い方だと最後には死ぬのか?…死ぬか生きるかはまだ未定です。

今日はBGMはBROOKEのカミングホームでした⭐

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ