(72)心配
後半の一夜の語りが自分で好き。
一夜には機会がある度に語ってもらってます☆
部屋で枕を抱いた威咲がポツリと言った。
「アイルとロイはまた神官として仲間に戻ることはあるのかな」
「心配してんのか」
実は一夜もそれが気になっていた。
「だって、このまま敵でいるなんて悲しいから」
枕に頬をつけた。
「優しいなお前」
「だって仲間なんだよ?戦ったりしたくないよ。できれば仲直りしたいよ」
「あんなことされてもそう思うのか?」
「…、うん。
なんていうか二人は可哀想だなって。正しい道に戻って欲しい」
威咲が底抜けなくらいお人好しなのは知っている。
「そっか。それがお前の考えなんだな」
あのムカつく金髪。それとまだ知らないロイという男。逆に威咲はアイルを知らない。
「そう願うなら叶えばいいな。だけどよ、そいつらはもう殺人犯なんだぜ」
「それは…」
「普通の人として捕まったら多分死刑らしいし」
威咲が泣きそうな顔をした。
「俺が言うと変だけどさ、転生…したって記憶はあるらしいじゃん。その後はどうするのかの方が難しくないか?」
「一夜…転生するのは巫女だよ、私じゃないよ。私も一夜と同じで普通の人だよ。だから今のことしかないの」
「あ、いや、ほら垂華たちとかがさ」
決まり悪そうに首の後ろに手をやった。
威咲という存在、魂はない、まやかしだと言われたのだ。
「…そうだね、ごめん。そうだよね」
威咲は布団に潜り込んだ。
「あ、もう寝るのか?」
「うん」
「じゃあ電気消すからな」
一夜が立ち上がって電気を消した。
一夜も布団に潜り、静寂が訪れる。
威咲は自分は疲れていると思った。
今では私も巫女の力で魔物退治をしているから、一夜は自分だけただの人だと思ってるのかもしれないと、なんとなくそう思ったのだ。
一夜は巫女の言葉を思い出した。
――――――威咲は身体が過ごした時間が作り上げた記憶に過ぎない。それに続きを与えているのはお前たちのためだ――――――
上辺だけの“人格”に過ぎないのだと。
威咲はあくまで巫女、シンハなのだ。それが二重人格みたいになって、その片方は裏にまわっているのだ。
自分は威咲を大切に思うが、裏返れば別人なのだ。
特別なのは威咲だけで、シンハには特に何の想いも抱いてはいない。同じ身体なのだからシンハも大事ではあるがそれだけだ。
シンハは好きにしろと言って笑っていたが、関係を先に進める気がしない。
だから一線は越えられないでいる。
ただし別に急いでいるわけではないのでそんなに気にはしていない。
威咲といる時に感じる安らぎが好きだから大事にしたい。
変かもしれないけど、綺麗なままでいて欲しいから。
俺はもう汚れてしまっているから…
本当に、思うこと。
自分は偶然から巻き込まれたが、本当にこの先どうなるのか?
今は魔物退治をしているがそれもいつかは終わるだろう。
垂華はこのエリアにしか魔物はいないと言った。
それが終わったら、もう魔物のことを心配する必要はないのだし、それならば巫女がどうのとかいうことを気にしなくてもいいはずだ。
普通の暮らしに戻れるだろうか?一夜にはそれが気がかりなのだ。
ただ、こうも思う。
1年前に威咲と別れてから、ずっと抱えていた感じが、ようやく自分で認めた想いが、そのままにならずに済んだこと。
こうならずにいたら、きっとずっと自分は消せない想いを抱えたまま誰とも本気になれずに暮らしていっただろう。
こうなってしまったせいで、そのおかげでまた威咲といる。
威咲と離れてポッカリ空いた穴。
思ったよりそれは大きくて元から足りなかった心と合わさって俺を苛んだ。
それがそばにいることで全て埋められて。
そう、今の自分は満ち足りている。心が正直にそう言っている。それだけは確かに言える。
一夜は優しくていーなーーー!!!
こんなに想われたら幸せだよね…
だって小説なんだもの、て感じで…。なんか寂しい人っぽいね。続きも読みに来て下さいね☆
ちゅぱっ☆☆




