(58)巫女
外では力を得た黒い魔物達が霊体として実体化して、人にとり憑いたりしていた。
魔物に直接入り込まれた人はいわゆる通り魔のようになる。
威咲はもう二人そうなった人を殺していた。
魔物は器の身体を殺してもまた別の人にとり憑くのだが、一度とり憑いたものは引き剥がしは困難で、憑いてすぐしか離せない。そして人の体の中に入り込んで命を喰い、その負のエネルギーを取り込み増殖していく。
歩きながらそれらを見つけ出して殺していく。
目覚めたばかりでまだ力が安定しないせいで、殺さずに体内の魔物のみを力で滅ぼすということがうまく出来ない。殺す度にため息をついていた。
また前方に異様な雰囲気の人影を見つけた。
目は血走って、既に命を喰い尽くされて死んでいる。違うがゾンビみたいなものだ。
こちらに気づいて掴みかかってこようとする。
威咲は目付きを厳しくし、素早く手を振り上げる。魔物に憑かれた男が空中に掴み上げられる。
威咲は呪いを短く唱え空中に模様を描くと、手をゆっくり握りしめていった。男の骨が折れていく音がし、男は血を吐きやがてぐったりとぶら下がった。
死んだとみて威咲は手を下ろす。死体は無造作に転がった。
威咲は波の無い湖面のような目でそれを見ると、手をかざして光の力で魔物が身体から抜けたところを逃げる前に灼いて消滅させた。そしてまた歩き出す。
巫女の気は垂華も金髪の女も分かった。
気の柱が立ったので空を振り仰いだ。
その後も巫女が力を使う度に気が発生していた。
女は唇を噛み研究所に急いだ。
垂華と多摩は気を辿り大体の巫女の位置をつかんだ。
垂華は多摩に一夜探しを任せ威咲を捕まえに急ぐ。
巫女…ずっと待っていた、この約1年半の間、ずっと、ずっと…
「巫女!お会いしたかった!ずっと待っていました…!」
垂華の顔に笑みがこぼれた。巫女は静かに垂華を見た。
「…久しぶりだな。…魔物達が目覚めてしまった。奴らは腹が減っている…ここまででもう3人殺してしまった」
垂華が絶句して、巫女は静かに続ける。
「私が抑えているがこの身体がある限り魔物どもは生まれ続ける。いくら退治しても同じだ…ただ犠牲だけが増える。
魔物の魂は私がこの身体に宿った時に追いかけるように同時に入り込んできた。そして深くこの身体に根ざした。この肉体が死ぬまで消せない。
だから、この身体を殺せ。そしたら私がまた新しく生まれてこよう。悪いが後の始末はお前たちがつけてくれ」
垂華は血の気が引いた。
そんな、また殺すなんて――――――――
脳裏に一瞬あの映像が蘇った。
「もうあなたを殺したくありません」
その言葉に巫女は表情を変えなかったが、垂華に歩み寄ると言った。
「お前は私の魂を己に取り込むつもりだったろう。だから焦っていた。どうしても私に出てきて欲しかった。
だが生憎だな、或いはうまい具合にと言うべきか。お前の身体はもう限界が近づいたと見た。そうだろう?」
巫女が軽く体に触れると膝が折れて垂華はその場に座る形になった。
巫女がそれに合わせて腰を落とす。僅かに慈しみを感じる声音で巫女は言う。
「…大事に使え、私のそばにいたいのだろう」
巫女が垂華の胸に指先で触れる。
温かい気が流れ込んできて弱っていたものを治していく。
多摩は垂華に指示された一夜の居場所の近辺を探して駆け回っていた。
「いた!一夜君!」
多摩の声に一夜は振り向いた。駆け寄って言う。
「威咲ちゃんが見つかったわよ行きましょ!」
「あぁ…」
一夜の様子が変なので多摩は首を傾げる。
「どうしたの?」
下を向いて一夜が答えた。
「お前らみたく超能力も無いし自信なくすよ…」
抑えて隠すが左目から涙が伝ったのを多摩は見た。
「一夜君…」
気づかないふりをして一夜をせかすと先をたって駆け出した。
垂華そんな野望があったの!?
一夜の心がえぐられてる! て感じでしたが、巫女も可哀想な…
最近教育テレビでやってるスクールオブロック(海外ドラマ)が好きで、毎週見てる。金曜PM7時25分から。面白いし、バンドでやる曲がいつも素敵!!もう大好きでYouTubeで曲の動画を探して毎日聴いてる!良かったらテレビ見てみて下さい☆(勝手に宣伝)




