(46)君は誰
金髪ショートカットの女と黒服の若い男が建物の隅の庭で話している。
「魂を抽出して高エネルギー体としてマインドコントロールの兵器に軍事利用する。
アンテナを立てて電波を発生させればその辺の人心掌握が可能。普通は音を使うんだけどね。
無意識のうちに羊の群れのように思想をまとめられてしまうのよ。
我々の話をしたら研究室一室貰っちゃったわ。勿論私とあいつだけの秘密っていう約束でね。機械なんかは今制作中よ」
「そうか。…それは良かった」
庭の掃除を終えて一息ついて、威咲は伸びをして息を吸い込む。一度深呼吸して太陽を見上げた。
傍らで垂華がそれを見ていた。日に透けて向こうを見ている威咲を見て、また不意に彼女の面差しが重なった。垂華は目を細める。
あの一度以来巫女は出てこない。
垂華の脳裏にある疑念が浮かんだ。
巫女は本当はもう現れていて威咲と同化しているんじゃないのか。
あり得ないと自分で否定するが、威咲の面差しが違うのに余りに彼女に重なって見えて、垂華の意識を惑わす。
それか、また別の考えが浮かんだ。
出てこないのは自分がいるからではないか?俺に会いたくなくて表に現れないのでは…
「垂華君?どうしたのぼーっとして」
威咲が柔らかく微笑んでいる。
「威咲ちゃん…何でもないよ」
微笑み返す。が逆光で顔がよく見えず、頭の芯がくらりとした。
立ち上がって見下ろして安心する。
目の前にいるのは同じ人でも違う人だ。でも。
「威咲ちゃん…本当はもう君は巫女で、演技を、知らないふりをしてるんじゃないのか…?本当はずっと…」
「え…?」
離れていた多摩が気づいて来た。
「やめなさいよ焦らないで。威咲ちゃんは嘘なんかついてやしないわ」
垂華が我に返った顔をした。
「…そうだな、ごめん」
片手で額を押さえ、沈んだ顔をする。
「俺先に入ってるから」
そう言って中に入ってしまった。
前にもこんなことがあった。その時は突然抱きしめられて。
誰を想っているのか詮索なんてできないが、さっきの様子ではまさかとは思うが相手は巫女?自分の中には巫女の魂がある。
考え込んだ所で多摩が申し訳なさげに言った。
「威咲ちゃん、内緒の話、教えてあげるね…」
声を潜めて口の前に人差し指を立てると話し出した。
「あのね…あたし達代々光の存在を探しては魔物を殺してきたんだけど、あなたの前の時に器が垂華の恋人だったの。あなたと同じく巫女が目覚めずにいて、その間に過ごした人格が存在して。
それが退治の旅の途中、あたし達がいなかった隙に魔物に襲われて、助けられなくて…
仕方ないけど見殺しにするしかなかった。
垂華は見てられなかったわ。ひどく塞ぎこんで…だから繰り返したくないのよ。
あなたには光と闇の魂が同居してる。だから守りたいの」
「…そう、わかった…」
私が生まれ変わる前は垂華君の恋人だった…だけど私は知らなかった。
目の前に死んだ恋人の生まれ変わりがいること、自分は覚えているのに私が何もわからないでいることは、つらかったんだろうか。
もし私がその記憶を持っていたら、垂華君をまた選んだのだろうか。
「多摩ちゃん、私これから垂華君にどう接したらいいと思う?」
「無理に応えようとする必要は無いわよ、垂華だってあなたが恋人とはもう別人だって分かってるんだから」
「そう…」
なんだか垂華に申し訳なく思った。
垂華は椅子に座りため息をついた。
―――――騙したの?信じたのに、裏切っていたのね…
背中までの黒髪と少し垂れたこぼれそうな大きな目。
会いたい人、もういない人、愛していた人―――――――
なんか、いつも塩分カットしてるんだけど、なんか疲れてしょーがないから塩分を多くとったら…元気になった!!でも私は基本味つけない、醤油かけても数てきとか、だったので皆さんは塩分を夏だからって取りすぎないでね~☆(適度って感じ)




