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CALL  作者: スピカ
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(38)役人の提案

 串田(くしだ)さんは少しして帰ってきた。

「お父さんの方ですけど行方不明届けもう出てました」

「そうですか…」

 昔蒸発した時にもう出していたそうだ。

 串田さんは声を(ひそ)めて言った。

「生きてるの見たっていうことですけど、このままにしておけば帰って来ないうち税金を払わなくて済みますよ」

 ありがたい。わざわざ教えてくれるなんて。

「ならそうします」

「はい、でももし帰ってきたらすぐに区役所に知らせて下さいね」

「はい」

 生きているのは分かっているので、死んだことにはできない。

 なので一度見つかったが再び行方不明になったことにしておく。

「で、これが行方不明届けで…」


 父親は新しく7年目、兄の方は希望を込めて今日からにしておいた。


 届けを書いて出して、相続手続きの書類も書いた。

 9年分の税金は、しめて900シリン450ペスで、そこそこ痛かった。が仕方ない。

 現金を下ろしてこないといけないので書類を一旦(いったん)串田さんに預けて銀行に行った。

 そして滞納分を納めて書類を完成させ、晴れて相続人になった。これで名義変更完了だ。


「お疲れ様でした。また次のお越しをお待ちしておりますので」

 次に来るのは税金を納める時だから冗談ぽく言うのだろう。

「お世話になりました」

 一夜(いちや)は礼をして区役所を後にした。

 区役所を出ると同時に毎年来るのは面倒くさいなと思ったがまあ仕方ない。(土地税、所得税、法人税、基本税がある)




 また買い物をして家に帰ると昼で、スズミもタクも喜んでくれた。

「これで一夜も土地持ちになったな。お祝いに今夜はいいもの作ってあげよう」

「もし良かったらこっちに家建てな?俺らもいるし」

「うーん、いずれはそうなるかも知れないけど今はまだ保留にしとく」

「そうか?」

「いつでも帰ってきていいからな」

「サンキュー。それで、用も足りたし明日帰るわ」

「えー、1週間休み取ったんだろ?」

「いや、早く終わったって仕事に行くわ」

「そっか。じゃあ今日1日、っても半日か、ゆっくりしていきなよ?」

「わかった」


 そして半日、一夜は子守りをして遊んだ。

 外でスズミと3人でボール遊びをしたりして楽しかった。

 子供が昼寝をしている間に一夜が洗濯物をたたみ、スズミが軽く掃除をして一休みする。

「お茶飲む?」

「飲む」

 また麦茶を飲む。

「来年からは税金納めに毎年来るんだろ?」

「そうだな」

「だったら毎年会える、かな」

「…。俺も出来ればそうしたいけど、まあその日帰りになるかも知れないから、時間があればな」

「朝イチで用足したら来てよ」

「うーん、でもまた移り住んでるかも知れないし」

「はあ…、そう。(あさひ)も見せたいのになぁ」

「うん、まあ出来るだけ寄れるようにするよ」

「うん、約束だからね。来年には喋ってるぞ~」




 晩ごはんはすき焼きだった。

 その後少し飲んで、色々話した。


 次の朝はタクを見送り、スズミが握り飯を持たせてくれた。

「じゃあ色々サンキュー。多分また来るから」

「いつでも泊まれるからね。あとたまには手紙頂戴(ちょうだい)よ?」

「わかってるけど書くことが無い」

「まったく。気をつけてね」

「ああ、じゃあな」

 スズミが手を振り見送り、旭は一夜をじっと見、一夜は二人に手を振った。


 途中、またあの丘に寄り、一夜は手を合わせた。

 タンポポの綿毛がたくさん揺れていた。

 一本とり歩きながら吹いた。そしてあいつみたいだな、と思い、少しプラプラさせてからポイと捨てた。




 さて、列車に乗り込み夜の10時前にクチナに着く。

 今夜帰ることは昨日電報を打っておいたので問題ない。

 帰るとオッサンが温めたスープとパンを出してくれた。





突然ですが、故あって次2回連続お休みします。次は17日です。

今回は地味な内容だったかもですが次回は話が大きく動きますのでお楽しみに⭐⭐

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