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CALL  作者: スピカ
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(25)ただの連れ

一夜(いちや)君」

「…なんだ?」

 威咲(いさき)垂華(すいか)は訓練中で、一夜は居間でラジオを聴きながら多摩(たま)にぶら下がられていた。

「もう逃げないわよね?」

「逃げてないだろ」

 だが表情が渋い。

 その顔を斜め下から見ながら多摩が言った。

「…あたし一夜君に秘密にしてたことがあるの」

「ふぅん、何を」

「あたしね、…昔は男だったの」

「は!?あー、ああ」

「それだけ!?」

「…ていうか、お前なぜ俺に…」

「今は女の子だし、それならそれらしく恋でもしたいじゃない?」

 一夜は少しずり落ち半目になった。

「あたし男も女も経験してるんだからね」

「本当に生まれ変わりなんだな」

 苦虫を噛むように言った。

「元男のくせに男にまとわりつくとは」

「あら、結構楽しいわよ女の子も?でももう一夜君を追い回したりはやめようと思う」

 多摩は腕から離れると一夜の正面に回り顔を真っ直ぐ見た。

「ねえ聞いてもいい?」

「なんだよ」

「一夜君は威咲ちゃんのこと好きなの?」

「は?――――――――」

 一瞬間が空いた。

「だって仲良いしいつも気に掛けてるし」

「バーカそんなんじゃねえよ、たまたまあいつの面倒見てるだけだし、いつかあいつが自立したら別れるつもりだったし」

「そうなの?」

 多摩は食い下がらないことにする。

「ああ、本当にただの連れだよ」

「ふうん…」




 威咲は相変わらず毎晩夢を見ていた。垂華の術で引き出される映像と同じ部類だった。

 だがそれらを見ても、どうしても自分の記憶を思い出すというよりは、見て覚えていく、という勉強に近い感じだった。そして、巫女が見せるような力を威咲が使えるようにはならなかった。




 垂華は威咲と訓練をするとどうしても彼女のことが思い浮かんで疲れていた。

 昔のことを引き出すということがそうさせるのだろう。そのせいで垂華は消耗し、己の意識上に彼女の画像が浮かんでしまう。そしてその像が威咲にダブって見えてしまうのだった。

 そんな状態は、いつか彼女の存在をも取り戻せるのではないかという錯覚を引き起こす。

 それはないと己に言い聞かす。威咲同様、彼女という魂は無いのだし、もう死んでいるのだから、己の記憶にあるだけだ。その記憶をもとにイメージを抱いているに過ぎない。


 巫女を、この身体に移したい。…そうすれば俺は巫女の力を得ることになる…あの絶対的な力を。

 そうすれば…この身体は完璧なものになり、傷も癒え、永遠に巫女と生きていける…?




 今日は一夜と多摩が買い物に出かけた。今のうちにやってみよう。

「じゃあいつも通りやろうか」

「うん」

 威咲が目を閉じる。

 今二人は垂華の部屋で向き合って座っている。

 垂華が呪文を唱え出すとそれがいつもと違うことには気付いたが威咲は特に気にしなかった。


「…」

 少しして威咲の様子を見ると、そのままの姿勢でちゃんと意識を眠らせられたようだ。

 さてやるか。垂華はまた違うまじないを唱え始めた。




「…」

「?一夜君どうかした?」

 一夜がふいに立ち止まった。

「…いや…早く終わらして帰ろーぜ」

 胸騒ぎというか変な感じがした気がしたが、気のせいだったようだ。

「?そーね…」

 ぐんっ

「へっ?」

「それなら急ぎましょ!」

 多摩が一夜の手を(つか)んで走り出した。

「おい離せって!」

「やあよーだ」

 通りにいた人達が二人を見る。一夜はしまったと思ったが遅かった。




「威咲ちゃん今日もご苦労様」

「ううん垂華君もお疲れ」

 いつものやりとりをして威咲は部屋を出ていった。

 垂華は椅子に腰掛けドアを眺める。

 出来なかった。

 眠ったままでも固い意思で拒絶されていて、巫女を引き込んだりは出来なかった。自分にはこれ以上の手は無い。

 威咲を、威咲として存在させることはできないだろうか…。

 だが今のトレーニングは巫女と威咲を融合させられないかと試みるもの。

 現実的にみてそっちの方が幾分確率がいいからそうしているが、威咲を威咲として存在させてやれないかという希望は、やはり夢でしかないんだろうか…?





金髪に染めてみた!一度してみたかった。ウェーブヘアをスキバサミで大体二段の長めのショートカットにして(自分で)るので、セット不要の毛先カール…金髪いいな。ゴールデンライオンタマリンとかみたいだ。

さて話の方が深刻でしたね。垂華が。垂華…がんばってと思ってしまいます。

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