●(102)侵食
威咲は前回からシンハの方が表にずっと出てます。一夜の具合が悪くなり、威咲も身の内でまた魔物の拍動が始まり、シンハがそう決断しました。
だるくて調子が良くないまま、一夜は魔物退治の留守番をしていた。
もう半分終わっているから頑張って、と多摩に言われた。
あと半分か。長かったようで短かった。この調子ならあと1年かからないだろう。順調に進んで貰いたい。
眠ろうと寝返りを打った。
その時不意に悪寒が走った。
何かが、身の内でざわめいている。得体の知れない感覚。
これは魔物だと分かった。だがどうすればいい?今は俺一人で…
すうっと意識が遠のいていきそうになるのを必死でこらえる。思い出して垂華に念じる。垂華、俺にも魔物が出て来そうだ…どうすれば…
目の前に空間移動の扉が現れる。
「一夜!もう少し我慢しろよ?」
すぐに何か唱え俺の背中を叩きだす。そうしているとやがて魔物の感じは収まった。
「悪い…な。助かった…」
「間に合って良かった。気配を感じて飛んで来たんだ」
テレパシーで二人に伝える。自分がついているからそのまま続けてくれ、と。
「これからもこういう事があるはずだ」
「その時はどうすればいい?」
「前に御守りを腕に書きつけただろ?さっきみたく念じて呼んでくれれば御守りに俺の力を送って今みたいに魔物の気を静められるはずだから。
最悪静められなくても御守りの力で一夜が意識を失わないように助ける。その間に俺が扉で駆けつけるから」
「分かった」
「一夜の意識が蓋になっているんだ。魔物に負けないでくれよ?」
目は真剣だが表情はいつもの感じで言った。
安心させるためか…冷静だな。
この身に魔物が息づく。その不安感が精神を疲れさせる。
微かに分かる魔物の拍動。一夜は不安を押し殺した。
外出時は多摩がつくことになって、魔物退治の留守番も多摩を残して垂華とシンハの二人で行くようにした。
「悪いな、なんか足引っ張ってるみたいで」
「え?全然気にしてないわよあたしは?むしろずっと一夜君を独り占め出来て役得って感じ」
さーカードやろー、と一夜の腕を引っ張った。
多摩可愛いですよね~。威咲が癒し系なら多摩は元気をくれる系ですね。皆さんはどっちが好みかな?
スピカは…どっちも…包まれたいし、元気も欲しいし…選べない(笑)
さてcallですが、ストックの残りが5分の3を切ってまいりました!ドキドキ。何事も、いつかは終る…でもでも!(笑) 続きも頑張りますので宜しくです☆
※call 意味/大声で叫ぶように呼ぶ/神の思し召しで




