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反逆王と嘘つき魔女の共同戦線  作者: サラト
3巻 罪の捕食者
18/18

終章 死してなお、背中を押す者たち

プロフィールNo.7


氏名:クローディア・オルバート

(本名:クローディア・レントス)

年齢:不明 (身体年齢:20歳)

性別:女

身長 178 体重 59

誕生日 8/1

武器:杖 (アイントボルグ)

貪欲の第一継承者としてアセディア達をまとめていた人物。

現在は行方不明で安否すらわかっていない。



プロフィールNo.8


氏名:三鶴城(みつるぎ) 春斗(はると)

年齢:17歳

性別:男

身長 160 体重 54

誕生日 6/8

武器:剣 (イズマーリ)

剣を持つものの、翼による中距離戦闘を得意としている。

イクス達の世界からすれば異世界人という扱いになり、イクス達の知らない世界からやってきた人物。

結罪していないイクスと渡り合うほどの剣術を身に付けており、近接戦では突きによる攻撃が目立つ。



プロフィールNo.9


氏名:レムリア・クリスタ

(前名:ファリア・フレドリカ・ニールセン)

年齢:不明

性別:女

身長 148 体重 41

誕生日:不明

武器:なし

アセディアの妹として生きていたファリアが感染子(ダストアイテム)になり、暴走した結果、若干の自我を残しつつ龍へと変貌した。

アセディアの妹としての記憶は彼女が魔女となったとき獅子(レオ)に支払う代償で失っていたが、イクスと出会い、龍になったときに新たに生まれた意思が彼に力を貸すことを選ぶ。

そしてイクスがアセディアと出会ってからたくさんの仲間たちと出会う中で眠り続けていた人間としての意思が目覚め、本当の意味でイクスと共闘することになる。

そして彼女はファリアとしてではなく別の人物として生きることを誓い歩みだした。

「なあ、キリ。ほんとはこんなことしたくないんだよな。そのくらい俺にだってわかるさ」

 俺はゆっくりと獅子と化したキリに歩み寄る。

俺の言葉に対する返しは、とてつもない怒号にも似た咆哮。そして危険だと俺を制止させようとするアセディア。

「殺すことが救いなんて思わない。だから俺のことを恨んでもらって構わないさ。でも俺は、お前らに胸張ってあの世で会えるようにお前らの分まで生き恥を晒してでももがき続けてやる。

だから、もう…」

 レムリアとアセディアの魔力が綺麗に混じり合い、俺の魔力と調和している。負けるわけにはいかない。

「来るよ、パパ!」

 心の中から聞こえたのはレムリアの声だった。

それと同時に力強く地を蹴った獅子は物凄い勢いでこちらに向かってきた。

「わかってる。レムリア、今はフラガラッハだけで十分だ」

 俺の言葉に応えるように手元に召喚された黒を基調として赤色のラインが入った剣を両手でしっかりと握る。

「使い方はわかるよね、パパ」

「ああ」

 向かってくる獅子にフラガラッハを素早く振り抜く。だが異様な反応速度でこちらの斬撃を軽傷で免れ、距離を取る獅子。

 そして獅子とアセディアは異変の気づく。

「傷が再生しない!?私があそこまでしても再生したのに」

 レムリアから流れてきた知識にあった魔剣フラガラッハの特性は癒えることのない傷。

 文字通り一度つけた傷は癒えることはなく、対象を苦しめ続ける呪いの斬撃。

「痛いかもしれないけど我慢してくれよ。

 一度の斬撃を繰り返すは、死をもたらさんとする力。 切り刻め、幻滅(リル)複製斬撃(レプリカント)

 この魔法は一度でも斬撃を与えた相手に同じ斬撃を何度も与えるもの。

 軽傷にしかならなかった獅子の傷跡だったが、それと同じものが身体中に刻まれ、獅子は力尽きる。物凄い音と砂埃を立てて倒れた獅子は光を放ち小さくなっていく。


 フラガラッハを魔法霊粉(まほうれいふん)化して人型に戻った傷だらけのキリに駆け寄った。

 抱きかかえたキリは微弱ながらも辛うじて息をしていた。だがこの傷を癒すのは不可能だろう。

 俺は、目の前の女の子すら救ってあげられない自分を恨みながら涙を零した。

「せんせー、泣か…ないで。私、せんせーのこと恨んでなんか…いないよ。きっと…私以外のみんなもそうだと…思う。むしろ、ありがとうしかないんだよ?せんせー達と会えてよかった…楽しかった…ほん……と…に」

 俺の腕の中でゆっくりと息を引き取っていったキリを見て奥歯に力を入れる。キリの言葉は強がっていた俺の心を救い、優しく背中を押してくれた。俺は、ゆっくりとキリを地面に寝かせた後、右手で涙を拭って立ち上がった。

「アセディア、この子達を頼む」

 そう言って俺は背中に暗くて赤い光の翼を生やして地を蹴った。レミィを連れ去った奴らを追いかけなければいけない。もたもたしてると、レミィの魔力を辿えなくなってしまう。


 急げ、急げ、もっと早く…。

「パパ!」

 焦る俺に心の中から声が聞こえた。

「そんなに無茶したら、戦うときに体力がなくなっちゃう。今の距離を保てばレミィちゃんを追えるから無理しないで」

 その言葉に冷静さを取り戻し、一旦空中に停滞した。そんな俺を後ろから追ってくる一つの魔力を感じて振り向くと、そこにはハルトの姿があった。

「イクスさん、レミィを連れ去った奴を追うんでしょう?なら僕も連れてってください」

「お前、フェリスとミレイナはどうしたんだよ」

「リンダスさんのところで保護してもらいました。足手まといにはなりませんから」

「訳あり…って感じだな。いくぞ」

「はい!」


 *****


「私たちはこの気持ちを失くしたくない。この美しい世界を見て、聞いて、感じたこと。イクスやアセディアと出会ったこと…」

 傷だらけになった一人の少女は、大きな斧を引きづりながらゆっくりと歩いた後、バタッと大きな音を立てて倒れた。

「あー死にたくないなー。そう思えるのもあの人達のおかげか。なんだ、私はいつまで経っても見た目通りの子供だったってわけね」

 一滴の涙を流した少女はゆっくり目を閉じて独り言を続ける。

「私も…妹も。そして私も…お姉ちゃんも。結局どっちにしたって子供だったてことか…」

 そして独り言をやめた少女はゆっくりと息を引き取り、永遠の眠りについた。

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