終章 動き出す陰謀、其の先にある光
プロフィールNo.3
氏名:ミレイナ・レーンバイト
年齢:18歳
性別:女
身長 161 体重 48
誕生日 7/2
武器:細剣(天雷)
七の劔(剛雷・七星剣)<結罪時>
イラーが持つ憤怒の罪力を継承した
憤怒の第二継承者。
親譲りの戦況把握能力で七本もの劔を巧みに使いこなす少女。
まだ憤怒の魔女として本当の意味で覚醒していない彼女は、契約者を作ることができない。
本人は天涯孤独だと思っているが、実はリンダスが母親として生きている。
結罪時の代償:感情の共有 (現在、契約者がいないため無効)
「まさか、我を知覚できる者がいるとはな」
少年の前に立ちはだかる巨大な白龍。
白龍は少しだけ頭の位置を下ろして重々しく口を開ける。
「我が名は高潔之白龍。
この姿では少し話しずらいな」
白龍は手の平に魔力を生成し、白いワンピースを着た少女を作り上げる。
そして少女がゆっくりと地に足をつけると、白龍は粒子になり少女の中へと吸い込まれて行く。
「我には記憶がない。
だが今、汝が抱える闇は知っている。」
「僕が抱える闇?」
「そう、君の心には穴がある。
汝は何を欲する」
「強いて言うなら力…かな。
全てを守り抜け、乗り越える力」
数秒の沈黙を置いた後、少女はゆっくりと少年に向かって歩みだす。
「これは、汝が本当に必要になった時しか扱えない力だ」
「いいのか?」
「ただし条件がある。
我の記憶を探すために共に行動したい」
「ああ」
少年が返事の返事を確認した少女は、少年の胸に手を当てると、再び黙り込む。
次の瞬間とてつもない光を放ち、それが少年の元へと収束すると、そこにはもう既に少女の姿はなかった。
少年と白龍の出会いは、今からおよそ三年前。
そして少年に視線を向ける、先ほどの少女に似たもう一人の女性。
「ファリア…」
*****
静かな庭のベンチに座った俺たちは、周りを気にしながら話をしていた。
「私の代償は妹。
名前はファリア・フレドリカ・ニールセン。
そしてファリアの身に起こったものは記憶喪失。
正しく言うなら、獅子座による記憶の捕食だけど、そう意味合いは変わらない。
そしてファリアと貴方が知る高潔之白龍は同一の存在」
「ちょっと待てよ。
俺が知ってる高潔之白龍は、龍だぞ」
「イクスは感染子って知ってるかしら?」
「対悪魔用の兵器として人体改造などをされた子供達のことか?」
「ええ。それが私の妹。
ファリアは感染子にされ、暴走することで自我のない龍になってしまった。
それが今、白龍の姿をしている理由」
ブラットマリス国という国家が国ぐるみで行った事件によって感染子は生まれた。
「ブラットマリスは許せないのよ。
私の妹が感染子にされたのが二九年前で、それからずっと怒りの炎が消えないのよ。
ずっとずっと心の中で、消したくても消えない炎が」
魔力全損が起こってしまった人間のほとんどは死ぬが、一部は暴虐を尽くす悪魔として復活する。
原因は未だにわかってはいないが、今も悪魔に各国が悩まされている。
だが悪魔との戦いを子供たちにさせようなどというブラットマリスの愚行は許せるものではない。
「そう……いうことだったのか」
「自我を失った妹を見て、どうにかしなくちゃと思って私は力を求めた。
それが怠惰の力を手にした理由。
そしてレオの要求を呑んだ。
せめて記憶はなくてもファリアには生きていて欲しかったから…。
もう私の話はいいわ。
みんなが心配するだろうしそろそろ戻りましょ」
「あ、ああ」
*****
「それじゃあミュルトのことはケレンとインジュに任せるよ」
「うん、任せてくれ」
「それじゃあ、予定通り私とフェリスは、例の件を進めるために場所を探してくるわ。
見つかり次第、イクスたちのところへ向かうわ」
アセディアは軽く手を上げて意見を述べると、ケレンの方に視線を向けて、なにやら話している。
「じゃあ俺とミレイナでとりあえずクーラリオ国に行って、リンダスと話を進めてくるよ」
「はい、お願いします。
ミュルト、ギルドは貴方に任せますね」
「任せて、お姉ちゃん」
ここで俺とミレイナ、アセディアとフェリスで別れて行動することにし、俺たち二人はリンダスに、ある協力を取り付けるため、クーラリオ国に戻ることになった。
一方で、アセディアたちはある計画を進めるための行動に移った。
そしてこの日…帝国暦420年12月10日。
のちに世界を混乱へと陥れるある組織の設立が進められることになった。
やっと2巻が終わりましたね
予想よりかなり長くなってしまいましたが
これからもよろしくお願いします。




