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夏の海

作者: 松永 沙緒美

アメブロの方でお題を貰って、描いたものです。

   絵筆で水色に塗り尽くしたような青い空。描き足された白い雲、空の色を反射して輝く海。



絵に描いたとはこの事を言うのねと、むかつくくらいのいい天気。



 今の彼と付き合い、初めて迎える夏。二人きりで海に行こうと誘うものだから、私は早くからエステに通い、ボディを磨き、水着も新調。


だって一年目だもん、次なる展開を期待しちゃうじゃない。


と、思ってたんだけど…



 何時間も車を走らせ、フェリーまで乗って、辿り着いたのは、



スーパーはおろか、コンビニすらない、超過疎化が進んだ小さな島。



浜には、海藻や魚、イカが干され、桟橋では漁船が碇泊している。



船の周りをカモメが群がり、更に高い所でトンビが旋回、そして、島民の数より多い猫、猫、猫…



 「な、何よここ、漁港?」



コンクリートの桟橋が、ビキニにパレオを巻いた姿の私に、容赦なく照り返す。ヒールのあるサンダルから覗く、足がチリチリ焼けそうだ。


もしかしなくても私、痛い人?



 「おい、早くこっち来いよ。餌撒きが始まったぞ」



そう興奮気味に言う、彼の指差す方向を見ると、漁から帰って来た人達が、岸に集まって来た猫達に、魚を放り投げている所だった。



「やっぱり猫はこうでなくちゃな、これぞ醍醐味ってもんだぜ」



「メチャクチャ殺伐としてますけど?」


 おこぼれを貰いたいカモメと、横取りを狙うトンビ、独り占めをしたい猫の、争奪戦が繰り広げられていた。



「都会じゃお目にかかれない、野生を感じる」



「あ、そう…」



忘れてたけどコイツ、猫バカだったー!


 お腹が満たされた猫達は、木陰でお昼寝タイム。こうなると、人が近付いても逃げる素振りもない。



「こんな事出来るの今のうちだぞ、肉球触ってみろよ、癒されるよな~」



確かにふにふにして気持ちいいけども!何しに来たのよ私達、何が悲しくて猫の肉球触ってんの?



 「よう兄ちゃん、また来たのかい?本当に好きだねえ」



島民の方と顔馴染みになってるし、



「あ!猫好きのお兄さんだ。もしかして、隣の人彼女?」



子供達もかい!



「よおーし!みんなで飛び込みだ!」



「お姉さんも一緒にやろう!」



「ええ!ち、ちょっと待って、きゃあああー!」



ドッボーンン…



「…っ、こんの猫バカああ!」



宙を舞い、淡い波しぶきと共に溶けて行った、夏の思い出。



猫バカです。私自身が(笑)

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