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錆になる事が確定する3秒間

 世界ランキング1位のクランからのクラン戦申し込み。

 10分以上の話合いの末、2週間後に5VS5のバトルが決定した。

 その2週間の間に今ラグナロクが加入しているギルティイーターの

 サブマスターであるオーディンに訓練をしてもらう事になった。

 そしてさっそく最初の訓練を開始しようとした直後。

「お兄ちゃ~ん?ご飯だよぉ~」

 部屋の外。下の階から聞こえてきた音声は、一瞬でオレをラグナロクから黒葉遊徒へ。

 仮想世界から現実へ引きずり戻した。あれは黒葉の2つ下の妹。愛子の声だった。

 PC以外電気がついていない暗い部屋の時計を目を凝らして見てみると針は7時24分を刻んでいた。

「あぁ……、もうそんな時間か」

 とりあえずチャットで晩飯の事書き込まないと。

 

 

 ラグナロク:「すいません。タイミング悪く晩飯ができたようです。食べ終わったらすぐ戻ってきます」

 

 

 イスを引き机から離れてドアを開け、うす暗く冷たい廊下を降りてゆく。

 降りてすぐ右のドアノブを回してリビングに入る。

 リビングでは妹と姉が早くも食卓についていた。

「お兄ちゃん。早く早く~」

「おう。……今日はハンバーグか」

「真希お姉ちゃんがお兄ちゃんの大好物作ってあげたんだから感謝してよね」

「まるで自分が作ったような物言いだな。ありがとう。真希姉」

 その言葉に応答して真希はニコリと微笑み、「遊徒にはもっと体力つけてもらわないといけないからね」

 姉の真希は遊徒の1つ上で現在高3だ。

「母さんは今日も仕事か?」

「うん!今日も私達のためにがんばってるよ~」

「そうか……いただきます」

 ハンバーグと白米とサラダとお茶を流し込むように食す。

 と言っても、せっかく好みに合わせた食事を作ってくれたのだからちゃんと味わう。

「ど……どうしたのお兄ちゃん……そんなにパワーフードを食べた後のパックマンのようにバクバクと……」

「パソコンでやる事を見つけたんだ」

「また新しいゲームでも始めたの……?」

「正解だ。ザッツライト」

「何故英語を使ったのかはわからないけどほどほどにしなよ……?」

「ああ、わかってる。そういう愛子は高校入試の方は大丈夫なのか?」

「う、うんっ。い、言われなくてもちゃんと勉強してるよ~。あははぁ~」

「そうか、ならいいんだ。ご馳走様。とても美味しかったよ」

「早っ!早すぎない!?まだ私2口しか食べてないよ!?」

 最後に氷が二つ三つ入れられている水を飲み干し2階へ駆け上がる。

 自分の部屋の扉を開けてから部屋内が暗い事に気付き、電気をつけて明るくしてからPC前のイスに座る。

 指々をホームポジションに置き、再び仮想世界に集中する。



 ラグナロク:「今戻りました」

 オーディン:「クランサーバー98の9807番の部屋名トレーニングルーム、に来い」

 指定された通りサーバー選択からクランサーバー98を選択。

 次に9807番部屋に入室。

 すると部屋パスワード入力画面が表示された。

 

 

 オーディン:「鍵はAllEatだ。早く来い」

 

 

 AllEatと入力。部屋の中に入室する。

 どうやらゲームモードは部屋名通りトレーニングというモードのようだ。

 とりあえずゲームを開始する。

 また右下に「Loading now……!」という文字と白いバーが出現。

 白色を青色が満ちていく。

 画面にヒビが入り、割れ落ちていく。

 先程とは違い戦場ではなく周囲が灰色の壁で覆われた部屋にラグナロクは立っていた。

 白い部屋にいるのはラグナロクだけではなくクランメンバー4人もそこにいる。

 各々頭上にバルドル、オーディン、☆ロキ☆、ヘイル・ダルと表示されている。

 画面を見ていると画面左下。弾薬ゲージのすぐ上の文字に変化があった。

 どうやらゲーム中はここにチャットが表示されるようだ。

 

 

 オーディン:「じゃあ始めるぞ。まずラグナロクには基礎。常識的操作などを覚えてもらう」

 

 

 こうして、オーディンによる訓練が開始された。

 訓練が開始されて一週間の時が流れた。

 歩行、走行、精密銃撃方法、ハイジャンプなどという基本操作以外にもクイックショットやタップ撃ちなどという様々な事を教えてもらった。

 世界最強クランとの戦闘まであと7日。

 そんな今日。

 クラン内で訓練結果を見るためにも戦闘をする事になった。

 いつも通りクランサーバー98の9807番部屋に入る。

 ゲームモードが「サバイバル」に設定されていた。

 ラグナロクが入室すると、まだゲームは開始されておらず部屋の待機画面にクランメンバーの4人がいた。

 

 

 オーディン:「開始するぞ。特殊ルールで、2回の死亡でリスポーン不可能化。つまり1人ライフ3だ」

 ☆ロキ☆:「早くやろうぜぇぃ」

 

 

 ゲーム開始ボタンを押す。

 もう見飽きたあのゲージと文字が表示され、それらが割れ落ちる。

 また戦場にラグナロクが立った。

 チャットに新たな書き込みがされる。

 

 

 オーディン:「本気で行くぞ。武器制限は無しだ」

 

 

 開始してすぐ周囲を確認する。

 スタートスポーン地点は近くに地下鉄の入り口、道路、信号があるいつもの見飽きた戦場の様子だった。

 周囲の様子を確認した直後にBキーを押し、装備武器変更ウィンドウを表示する。

装備している武器セット設定1stを外し、

オーディンからブレゼントしてもらった何個もの改造武器の中から使いやすい武器を厳選した設定2ndを装備する。

装備した武器リストウィンドウが表示される。

 

 

  メイン武器

 AtG 44◇ C

  サブ武器

 IMI デザートイーグル◇ B

  メイン爆弾

 破片手榴弾 C

  サブ爆弾

 通常手榴弾

  接近武器

 BlackMisericorde B

  ウェポン発動スキル

 慈悲(即死攻撃確率+2%)

  称号発動スキル

 嗜好(精密攻撃+5)

 

 

 表示されたウィンドウズを閉じて銃をかまえる。

 全ての始まりであるあのビルを横切って道路のひいてある坂を上り周囲を見回す。

 十字路に差し掛かった瞬間、左の路から静寂を切り裂くように足音が響き聞こえてきた。

 とっさの判断で近くの廃家の影に身を隠し、雑音と足音を聞き分ける。

 徐々に音が大きくなっていく。

 立体音響ヘッドフォンが壁一枚先で足音が止まった事を告げた。

 荒い吐息が聞こえてくる。

 再び少しずつ足音が近づいてきた。

 静かに接近戦用短剣であるブラックミセリコルデをかまえる。

 そして、足音が廃家の目の前まで迫った瞬間にラグナロクは足音の正体の眼前へ自ら姿を現した。

 足音の正体は防弾服と銃を背に担ぎながらダガーを片手に歩くプレイヤーだ。

 突如眼前に出現したモノに意表を突かれた相手プレイヤーはあわててダガーをかまえようとするが、ダガーをかまえた腕をミセリコルデがつかまえた。

ミセリコルデの刺突によりダガーが地面に打ち落とされた。

そして間髪入れずに防弾服とヘルメットの間にあるのどぼとけ付近に全力の斬撃を与える。

赤い飛沫が後のミセリコルデの錆となることが確立した瞬間「1kill」という文字が視界に入り込む。



 FANTASTIC! knife kill! ×1.5

 GOOD! 1st kill! ×1.0

 WONDERFUL! instant death attack!! ×2.5



 ファーストキルボーナスにナイフキルボーナス以外にも即死攻撃ボーナス。

 まるでその3秒にも満たない完全殺害が開戦を告げたかのように街に他プレイヤー達の銃声が轟く。



「おいおいィ……オレの右手が欠伸ついてんぞォ、オイィッ……」

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