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達成感の無い記念すべきファーストキル

 

 FBFを新規ウィンドウで開いた直後に画面が銃声と共に突如割れた。

「なッ……!?」

 思考が停止した。

 数秒の沈黙が部屋を支配下に置く。

 が、これはFBFによる起動時のオープニング演出だという事に気がつくと安堵の溜息がこぼれた。

「心ッ臓に悪ィ……!!」

 よくよく見ると画面が割れるというより弾丸が貫通した痕であった。

 割れた画面がブラックアウトし、白色文字でFBFファイナルバトルフィールドとタイトル表示された。

 それを合図に黒葉好みの格好良いBGMが流れ、銃を持ち防弾チョッキを身に纏った人々が銃撃戦をしている映像が流れる。

 銃撃戦の最中、突如どこからともなく戦闘機が飛んできて……ここで映像が途切れる。

 映像が変なところで途切れても黒葉は疑問をもたなかった。

 それは黒葉が自分の意思で画面をクリックし、オープニングムービーをスキップしたからだ。

「突然ゾンビ出てきても困るしな。 早く始めよう」

 ムービーがスキップされて次に表示された画面は初期アバター設定画面。

 顔の大きさや鼻の形という細部まで設定できるようだ。

 とりあえず髪をミッドナイトブルーに、目を深緋に変更する。

 次に身長を175cmくらいに。 体重を40kgくらいに。初期服装は黒のTシャツと茶色の迷彩ズボン。

 アバターの外見設定を終了し、次は肉体の設定をする。

 好きなアバタータイプを選択してください。 という文と共に5つの選択肢と説明文が表示される。



 ☆「攻撃者パワータイプ

 強力な攻撃アタックを行い戦場を駆け巡り敵をなぎ倒す。 チームメンバーに1人いるととても心強い。 精密狙撃能力が悪い。

 ☆「装甲者ガードタイプ

 その強固なる装甲ボディは本来受けるダメージを大幅に軽減してくれる。 拠点防衛などに役立つ。 初期状態から総重量が重いので俊敏性が悪い。

 ☆「速攻者スピードタイプ

 迅速な動きで相手を翻弄し素早い攻撃と進撃をする。 軽量型接近武器の扱いにとても長けている。 体力が少ないので単体での行動は避けたい。

 ☆「銃撃者スナイパータイプ

 銃での精密射撃に特化している。 銃器の再装填リロードが他のタイプよりもとても早い。 近距離、爆撃攻撃に弱い。

 ☆「自由者フリーダムタイプ

 初期状態から全てのステータスがバランスよく振り分けられている。 弱点も少ないが美点も少ないタイプ。

 ※一度設定したアバタータイプは変更できませんのでご注意ください



「うぬ……どれにするか……」

 最後の米印をみると後の変更はできないらしい。

 慎重に設定しなければ。

 これからこのゲームで遊び、アバターを強化していくというのなら自分の使いやすいタイプにするべきだ。

 ならば、最初からステータスが平均的なほうが自分が成長させたい方向に育成させやすいのでは…?

「よし決めた。 自由者だ」

 自由者に決定し次は初期装備画面。

 画面上には先ほど設定したばかりのアバターと3種類の武器が表示されていた。

 表示されているものをよく見ようとするとチュートリアルメッセージウィンドウが表示された。

 

「ここでは初期状態の武器の装備をします」

 機械音声がメッセージをフルボイスで読み上げてくれる。

「FBFでは銃、爆弾、接近の計3つの武器を主に使用して戦闘します」

 黒葉は機械音声の話を脳に刻み込むように聞き入る。

「初期武器として全種類の武器を3つずつプレゼントしました。 貴方が好きなように装備してください」

 そう言い残してウィンドウは消え、元の装備画面に戻った。

 とりあえず初期装備として倉庫にあるのは、



 ★銃

 ☆ハンドガン

 ベレッタM84チーター

 H&K P7

 ☆サブマシンガン

 H&K MP5

 ★爆弾

 ☆手榴弾

 通常手榴弾

 発煙手榴弾

 ☆設置爆弾

 C4

 ★接近

 ☆殺傷武器 刃

 コンバットナイフ

 ダガー

 ☆非殺傷武器 電気

 スタンガン



「なんのこっちゃ。 わけわかめ」

 さっぱりわからない。 今まで銃の種類なんて全然知ろうとなんてしなかったし、コンバットナイフの形状が想像できない。

 とりあえずそれっぽく設定してみた。


  メイン銃武器

 H&K MP5

  サブ銃武器

 H&K P7

  メイン爆弾

 発煙手榴弾

  サブ爆弾

 通常手榴弾

  接近武器

 コンバットナイフ



 装備名を「設定1st」に設定して装備完了ボタンを押す。

 するとまた機械音声と共にメッセージウィンドウが表示された。

「ようこそFBFの世界へ。 ゲームをプレイするための戦闘訓練チュートリアルを受けますか?」

 黒葉は迷わずいいえのボタンを押した。

「チュートリアルなんてしなくても実践で覚えればいいんだ」

 黒葉はゲームをプレイする際には説明書も攻略も何も見ずにプレイするのがいつものスタイルなのだ。

 バトルするサーバーを選択するロビーが表示された。

 上からイージーサーバー、ノーマルサーバー、フリーサーバー、クランサーバーetc。

 と、色々なサーバーがある。 多分イージーサーバーは新規プレイヤーや初心者用サーバーなのだろう。

「よしじゃあフリーサーバー行くか」

 難易度なんて気にしない。 レベルの差なんて気にしない。 それが黒葉勇徒だ。

 部屋名は別に気にせずに適当にフリーサーバー内のゲームモードがサバイバルの部屋に入る。

 部屋の最大入室可能人数は36人で現在入室人数35人がプレイ中だった。

 とりあえずゲームスタートボタンを押す。

 画面がブラックアウトし右下に「Loading now…!」という文字と白いバーが現れた。

 白いバーは徐々に左側から青色に染まっていき満タンになった。

 満タンになった瞬間画面がまた割れ、ヒビが入ったガラスのようにボロボロこぼれおちる。

 画面全てがこぼれおちたかと思うと画面が弾丸の音が響き合う戦場に移り変わった。

 周りにはビルや地下鉄の入り口、道路、信号があり、いつも見飽きた地上の様子に似ていた。

 先ほど設定した「設定1st」を装備した黒葉のアバター「ラグナロク」が銃を持ち戦場に立っていた。

 移動キーすらわからないのでとりあえず適当にキーボードのキーを乱押する。

 1分間くらい乱押した結果WASDの4つのキーが移動でスペースキーがジャンプ、シフトがしゃがみに対応しているようだ。

 左クリックで現在装備武器での攻撃、右クリックは何も起きない。 もしかしたらスイッチ等の目の前で押す事で効果を発揮するのかもしれない

 マウスを動かす事で視点移動。 1~5キーで武器変更。

 これくらいはわかった。

「とりあえず、手榴弾の届く範囲と投球力から調べよう」

 3のキーを押して発煙手榴弾を持つ。

 左クリック長押しでピンを外しふりかぶる。

 少し上を向いて指を離す。するとラグナロクは発煙手榴弾を投げつけた。

 どうやら上を向きすぎたらしく、ビルの8階の窓に当たるか当たらないかくらいで爆発。 ビルの8階から煙が振り降りてきている形になった。

 次は4のキーを押し通常手榴弾を装備。振りかぶり、投げる。

「あれ……?」

 先ほどの発煙手榴弾より低めに、そしてそんなに強く投げなかったのに、

 手榴弾は案外まっすぐに飛んでいき、多分6階のガラスを割り部屋内で爆発したようだ。

 もしかしたらアバターのステータスに手榴弾のコントロールに関係するものがあるのかもしれない。

 爆風により発煙手榴弾の煙がまわりに吹き飛び拡散した。

 それと同時に6階の割れたガラスが何片も落ちてきた。

 突然ゲーム内から痛みを訴える男の声が聞こえてきた。

 どうやらガラスの破片を頭から被ったせいでダメージを受けたようだ。

 左上の赤いゲージが少し減少していた。

 たぶんこの赤いゲージが生命力ゲージだろう。

 生命力ゲージに気をとられていたせいで気付かなかったが、画面上に文字が表示されていた。

「ん?」

 その文字をよむと「1kill」と表記してあった。



「えっ……今オレ……プレイヤーを倒したのか?」

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