能力測定テスト
戦いの翌日。
終末戦線の訓練施設には、朝から人が集められていた。
昨日より人が減ったように思える
広い訓練場。
昨日の戦闘を生き延びた新兵たちが、列になって立っている。
前に立つのは教官ロイドだった。
「今日は能力診断テストを行う」
低い声が響く。
ざわめきが広がった。
「昨日も似たようなことをしたが、今回は違う」
ロイドは腕を組んだ。
「今回は順位を出す」
その言葉で空気が変わった。
「このテストは昇進にも関わる」
「終末戦線は実力主義だ」
彼は続ける。
「お前たち一般隊員は、いくつものグループに分けられる」
訓練場の壁にある巨大なモニターが点灯した。
そこには組織の構造が表示されている。
「各グループには隊長がいる」
「隊長は全員、実力で選ばれた者だ」
モニターに何人かの人物の名前が表示される。
「つまり」
ロイドの声が低くなる。
「上に行きたければ強くなれ」
「それだけだ」
沈黙。
そしてロイドが言った。
「テスト開始」
⸻
最初は体力測定だった。
走力。
反射。
筋力。
耐久。
様々な項目が機械で測定されていく。
勇気は圧倒的だった。
全力で拳を振るう。
ドォン!!!
装置が激しく揺れる。
計測数値が跳ね上がる。
「うお……」
周囲から声が漏れた。
ロイドが淡々と記録する。
「異常な筋力だな」
勇気は笑った。
「まあ、昔からなんで」
⸻
次はヒトシ。
彼は装置の前に立つ。
手を前に出す。
一瞬。
空気中の水分が集まり、
次の瞬間――
ドンッ!!
高密度の水弾が発射された。
分厚い鋼板が貫かれる。
「……威力十分」
ロイドがメモを取る。
⸻
トモの番。
床に置かれた金属の棒。
トモは手を触れない。
ただ視線を向ける。
すると棒が浮いた。
そして
ビュンッ!!
高速で壁に突き刺さった。
「サイコキネシス」
ロイドが言う。
「扱い次第で化ける」
トモは肩をすくめた。
「まあまあだろ」
⸻
他の隊員たちの能力も測定されていく。
電気を操るもの
氷を生み出す者。
五感が極端に鋭い者。
身体の硬度が変化する者。
様々だった。
終末戦線には
すでに多くの能力者が集まっていた。
⸻
次はエルドだった。
エルドは装置の前に立つ。
深呼吸。
手を前に出す。
すると――
掌が赤く光った。
次の瞬間。
ボッ
炎が生まれる。
小さな火。
だがその熱は一瞬で高まった。
ゴォッ!!
炎が前方へ噴き出す。
鉄板が赤く焼けた。
ロイドが目を細める。
「熱操作型か」
エルドは手を下ろした。
「……はい」
⸻
その次。
エマの番だった。
長い黒髪の少女。
エルドの幼馴染だ。
エマは静かに手を伸ばす。
指先が動く。
すると――
空中に細い線が現れた。
透明な糸。
それが一瞬で伸びる。
ピンッ
糸が装置に絡みつく。
エマが指を動かすと
糸が締まり、
鋼鉄がミシッと音を立てた。
ロイドが記録する。
「糸能力」
「操作精度、硬度ともに申し分なし」
エマは小さく頷いた。
⸻
数時間後。
すべての測定が終わった。
訓練場の壁にある巨大な掲示板。
そこにランキングが表示される。
ざわめきが広がる。
「出たぞ!」
「マジかよ!」
エルドたちも前へ行った。
表示されている順位。
1位 勇気
6位 エルド・レヴァン
エルドは少し驚いた。
その下。
8位 エマ
さらに下。
16位 ヒトシ
53位 トモ
勇気が笑った。
「よっしゃ一位!」
トモが肩をすくめる。
「まあ当然だろ」
ヒトシが眼鏡を押し上げた。
「エルド六位か。すごいな」
エルドは首を振る。
「まだまだだよ」
トモが言った。
「当たり前だろ」
彼は掲示板を見ながら笑う。
「あいつらを殺すために」
「ずっと鍛えてきたんだから」
“あいつら”。 つまり異種族
沈黙。
それぞれが目的をもっている




