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罪と罰

 ケンタは動揺しました。今目の前にいるこの黄うさぎの女の子は何を言っているのか。果たして冗談で言っているのか。理解が出来ませんでした。きっといつもの冗談だとそう思っていたのです。ケンタはミニィに聞きました。


「なあ、冗談も大概にしろよ。子供の命を奪うだなんて、そんな事冗談でも口に出すなよ。」


「冗談じゃないわ。私、もう何もかも嫌になっちゃった。母親は犯罪者だし、子供達と仲良くすればするほど、その子供達は亡くなってしまう。じゃあこのまま仲良くなった子供達の命を奪えば、デージーがこれ以上罪を負う必要は無くなる。ケンちぃ、ごめんね。私、行かなくちゃならないの。」


「ちょっと待てよ、ミニィ!!!」


すると、ミニィはケンタの腹部に強烈なアッパーを浴びせました。アッパーの力は凄まじく、ケンタは凄まじい痛みで気を失いました。そのままケンタはその場に倒れ尽くしたのです。ミニィは倒れたケンタを冷たい目で見捨てると、カマキリ幼稚園を後にしました。ミニィは、ウィッチフォンを取り出すと、コスモスのマークをタップしました。暫く待っているとコスモスザライドがやって来ました。コスモスの妖精はミニィに声をかけます。


「こんばんは、コスモスザライドです。どちらまで、行かれますか?」


「カマキリ山の小屋までお願い。そこで待っている人がいるの。」


「かしこまりました。」


コスモスの妖精が元気に返事をすると、カマキリ山まで、コスモスザライドが走り出します。コスモスの妖精はミニィの顔色を伺って後ろを振り向きました。だが、ミニィの表情に活気はなく目は虚でずっと黙って外を見つめていたのです。コスモスの妖精は、ミニィに声をかけるのを諦めました。

峠を越えてカマキリ山に辿り着きました。ミニィはコスモスの妖精に話しかけます、


「もう良い、ここで降ろして。ありがとう。」


「はい。」


コスモスザライドから降りるとミニィはカマキリ山の道路を静かに歩き始めました。ミニィは静かにその小屋に向けて歩き出しました。山にある小屋にはデージーが待っていたのです。小屋のドアが開きます。デージーは振り向きました。

ミニィが入って来たのです。ミニィは静かに目線を上げました。


「寄生虫の癖に、よくここが分かったわね。まさか、自分から死にに来たんじゃないよね。あんた本当は死ぬほど、私の事憎いんでしょう。私とマリンが、沢山の子供の命を奪って犯罪行為をしたんだから、だからあんたも道連れにしてあげるよ。」


「デージー、もう良いよ。もう良いんだよ。苦しかったんでしょ。私の母親のせいで、妹さんもお母さんも死んじゃって、それで、妹さんのように元気に生きている園児達が憎かった。それであんなに沢山殺した。それは決して許される事じゃない。でも、あなたの事を私は、正直憎い。

だけど、それは私のせいなの。」


「何?ここに来て今更、私に対して同情でもするわけ?

ふーん、あんたにもそんな心があったなんてね。

今更何言ってんだよ。そんな事言ったって、お母さんもマーガレットももう戻って来ないんだよ。私の家族はもういないんだよ。なのに、平和な空間で、馬鹿みたいにヘラヘラしている餓鬼なんか全員うざいんだよ。そんな奴らは、消えちまえば良い。そうすれば私の気持ちだって晴れるんだから。」


その時、ミニィはデージーに近寄って行きます。デージーは、金属バッドを持つと、ミニィ目掛けて、振り下ろしました。だがその攻撃を、ミニィは避けます。それでも何度も何度もミニィをデージーを殴ろうとします。デージーはミニィ目掛けてバッドを振り下ろそうとしたその時、ミニィはバッドを持ちました。そして激しくデージーと揉み合うと、デージーの持っていたバッドを払い落としました。そしてデージーはミニィ目掛けて、殴りかかります。だがミニィはその拳を右手で受け止めたのです。そして力いっぱい受け止めると、反対の左手で、デージーの頬目掛けて、強烈な拳で殴り付けました。デージーは殴られると、地面に倒れ伏せます。

ミニィはデージーに近寄るとデージーを抱きしめました。

デージーは、驚きの表情を見せます。


「デージー、ごめんね。本当にあなたが苦しくて、辛かったのを私は分かってあげられなかった。あなたの事を憎んで、そうやって憎めば変わるってずっと思ってた。でも、本当はずっと苦しかったんだよね。苦しくて、それで私を虐めて、そうすればその苦しみから解放されるんだろうってそう信じてた。でももう、大丈夫だよ。私はもうあなたを、憎んだりしない、恨んだりもしない。私のお母さんが犯した馬鹿な過ちのせいで、本当にごめんね。もう大丈夫。私が、受け止めてあげるから。」


「何よ、あんた、まさか私の事を許すって言うの?

そんな簡単に犯罪者を。お人良しにも程がありすぎるでしょう。そんな許せるわけないでしょう。だって私はあんたから幸せを奪ったんだよ。そんな奴を簡単に受け止めるなんて、あんた頭どうかしちゃったんじゃ。」


「ええ、許すって決めたの。私はどうかしちゃったのかもしれない。でも、デージーだってどこかで間違っただけで、本当は普通に生きれたのに。だから、最後くらい、


幸せにさせてあげる。」


次の瞬間、ミニィは所持していた包丁をデージーの腹部に突き刺しました。強烈な一撃でデージーはその場に倒れ伏せました。デージーの意識はどんどん薄れて行きます。その様子を見たミニィは血だらけになり倒れているデージーを見て何度も何度も笑い尽くしました。デージーの胸から水晶玉が落下します。デージーを見てミニィは言います。ミニィはデージーから水晶玉を奪い取りました。


「あなたにこれ以上罪を重ねさせたくないから、デージー、ごめんね。あなたの犯した罪は私が受け継ぐ。だから、あなたは静かに眠って。さよなら、デージー。」


デージーは目を開いたまま死んでいきました。そしてミニィは小屋にあったガソリンを小屋に巻くと、小屋に火を放ちました。デージーの遺体はミニィの手によって焼かれて行ったのです。デージーがいた小屋からミニィはガソリンの入ったタンクを10個程持ち出すと、ウィッチフォンの中にあるアイコンをタッチしたのです。すると、巨大なバッグのようなものが現れると、ミニィはそのバッグの中にガソリンタンクを仕舞い込みました。こうして1人になったミニィはカマキリタウンに戻ったのです。カマキリ幼稚園で気絶していたケンタは、目を覚ましました。しかし、ケンタは何故か記憶が抜けていたのです。ケンタの視線の先には、ミニィが立っていました。ミニィは首に水晶をぶら下げています。


「ミニィ。」


「ケンちぃ、ごめんね。昨日はカットなって酷い事言って、もうデージーは死んだから。心配いらないよ。」


「死んだ?あいつはとうとう死んだのか。良かったね。ミニィ、これで君は解放されたんだ。デージーの野郎。死ねば罪が許されると思うなよ。」


「せめて子供達を弔ってあげよう。あの子達は、あいつの手によって僅か、5歳や4歳で命を奪われたんだから。だから、私達が、見送ってあげるしかないんだから。」


「うん、そうだね。僕達に出来る事はあの子達を見送ってあげる事しか出来ないんだから。だから、せめて、最後くらいは好きな事をさせてあげようよ。」


ケンタは言います。ミニィはそのケンタの言葉を聞くとニコリと笑いました。ケンタとミニィはカマキリ幼稚園の方へと歩いて行きます。カマキリ幼稚園の園舎の近くに行くと、そこには58人全員の焼死体が並べられていたのです。家族が泣き崩れていました。そして遺体の横には生前のにこりと笑っている子供達の写真が置かれています。その中の1人にミニィが一緒におままごとを遊んだルナの写真がありました。ピースをして可愛らしい姿で映るルナとは対照的にルナの遺体は真っ黒に燃えてしまっており、見る影もありません。ルナの母親はずっと泣いていたのです。ミニィは、ルナの遺体を見ると涙を浮かべました。そして目の前で眠るルナにこう言ったのです。


「ルナちゃん、あの時、私に将来ケーキ屋さんになりたいって言ってくれてありがとう。だから、どうか安らかに眠ってね。ルナちゃん、ごめんね。」


「あなたがミニィちゃんですか。ルナと最後に遊んでくれたんですね。きっとルナは天国でも安らかにおままごとをしてくれていると思います。ルナはこないだまであんなに元気に走り回っていたのに。ううう。」


ルナの母親はミニィの前に頭を下げました。だが、その表情の裏でミニィはくすりと笑うのでした。そして、こう思うのでした。


(我が子を守れなかった。哀れな母親。でももう無駄よ。もう走れない。私は次の街で、デージーの意思を受け継ぐんだから、トンボシティで。)


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