悪夢
黄うさぎのミニィと犬のケンタの2人はコガネシティのホテルに到着しました。コガネ鉄道に乗って、駅から降りると、駅から徒歩5分程でホテルに到着します。
コガネプレミアホテルはかなり豪華な作りになっていて5階建てです。
「ねえ、着いたよ。ホテルだね。温泉も入って、旅の疲れを取んなきゃね。」
「ミニィ、僕もう食べすぎちゃったよ。ホテル入ったらお菓子でも食べるかい?」
「ケンちぃ、あの買ったチーズケーキでも食べようね。それにホテルの売店で美味しいお菓子とかも買えるからね。」
自動扉を潜ると、受付にはクロヒョウの従業員が立っていました。クロヒョウの従業員は丁寧に挨拶をしました。
「いらっしゃいませ。2名でご予約頂いたケンタ様で宜しいですか?」
「はい。2名です。」
「それではこちらの機械に翳して頂いて、チェックインをお願い致します。」
コガネプレミアホテルをウィッチフォンで予約していた為に、チェックインはかなり楽でした。画面にQRコードをかざすと、チェックインが完了しました。画面に表示されたのはホテルの部屋番号です。609号室です。チェックインをしますかという画面が出たので画面を押しました。
クレジットカードで支払うと、部屋番号が印刷された伝票とオートロック用のカードが出てきました。ミニィも同様にクレジットカードでチェックインをするとミニィの分のオートロック用のカードが出てきました。2人はカードを持って、アメニティに置いてある浴衣と歯ブラシを持つとエレベーターまで向かいました。エレベーターがやってくると6階のスイッチを押します。突然ミニィがケンタの前に手を当てるとケンタにキスをしました。
「ミニィ、ちょっと。恥ずかしいよ。誰か入ってきたらどうするの?」
「ようやく2人きりになれたね。こう言うシュチュエーションって大好き。ケンちぃ、恥ずかしがるなんて可愛いじゃん。」
ミニィはニコニコしながら、ケンタに抱きつきました。ケンタはその時、ミニィの腕についているあざに気が付きました。ケンタはミニィに心配そうに声を掛けました。
「ミニィ、そのあざはどうしたの?もしかして、デージーにやられたの?」
「うん、あいつ。思いっきり殴って来たから、でも大丈夫、今は痛くないよ。私って虐待されていたから痛みに関しては強くてね。でも精神的には弱いんだ。」
エレベーターが開くと広間に着きました。おや目の前にお客さんがいます。動物のお客さん達からの視線があり恥ずかしいです。2匹は何事もなかったかのようにエレベーターを静かに降りると部屋に向かいました。部屋に入るとなんと畳の和室ではありませんか。布団があるとミニィはテンションが上がりました。
「ねえ、見て見て!和室だよ!布団があって最高なんだけど、しかも、畳だしね。ケンちぃ、ありがとう。良い部屋取ってくれて。」
「うん。ミニィにはゆっくりと休んで欲しいから。温泉にも入って疲れも取ってね。」
ミニィは部屋の奥にある窓を見ると目の前には海が広がっていました。そして右隣にはコガネタワーが見えます。コガネタワーはライトアップされ綺麗に輝いています。そして夜景が綺麗に見えます。色とりどりにカラフルにライトアップされたコガネタワーのてっぺんは赤く光っています。ミニィはトイレを終えて鏡に向かいます。だが突然、もう1人の自分が現れました。
『そうやってあなたは呑気に旅なんかして、今自分がどういう状況なのか分かっているの?そうよね?あなたは何も守れない。誰も守れず多くの子供達を死に追いやる。死神なんだから、あなたに生きる資格なんかないの。あなたはそうやって何人も死に追いやるのよ。あいつに暴言を吐いた。』
「うるさい!いきなり出て来て、あんたはそうやって、私を責めないでよ。私は、あんたなんかに負けはしない。やめてよ。私のせいで、私のせいで。うう!!!」
突然ミニィを嘔気が襲いました。沢山仲良くなった園児達を失ったストレスから一気に吐き気がするとミニィは苦しくなりその場に倒れ尽くしました。突然異変に気が付きました。大きな音に気が付いたケンタがミニィの方に近寄ります。
すると嘔気により気絶しているミニィの姿がありました。
「ミニィ、大丈夫!しっかり、ミニィ!」
ケンタは大声でミニィに呼びかけます。慌ててミニィの首を抑えます。ケンタは布団を出すと、ミニィを抱えて布団に寝かせました。ミニィはきっと疲れているのでしょう。
ミニィは意識を失っていましたが目を覚ましました
「ミニィ、大丈夫か?」
「う、ケンちぃ、ごめん。私ね、急に気持ち悪くなっちゃって。なんか怖いの。もう1人の私が精神的に私の事を追い詰めて、私に死神って言ったの。だって、もう私と関わったせいで100人以上亡くなっているんだよ。子供達。犯人はデージーなのに。もう無理。どうして良いかわからない。」
するとケンタはミニィの側に寄りました。そしてゆっくりとミニィを抱きしめたのです。優しく声を掛けました。
「大丈夫。ミニィの事は僕がきっと守る。だから、絶対に。
デージーから、ミニィの事を守るから。」
「ありがとう、うう。」
ミニィは涙を流して自分の気持ちを曝け出しました。ミニィはそのまま布団に横になっています。夢の中に公園が出てきます。そこでブランコに乗って公園で遊ぶ、ミィの姿がありました。ミィは楽しそうにブランコを漕いでいます。
「ミィ!」
声をかけた次の瞬間、ミィがブランコから転げ落ちました。
誰かがミィが乗っているブランコを蹴り飛ばしたのです。デージーです。ミィは言います。
「痛いよ、何で、そんな酷い事をするの?」
するとデージーはミィの耳を引っ張り、凍りつくような冷たい目で怒鳴り散らしました。
「泣いてんじゃねえよ。痛いよ?うるせえんだよ。クソがよ!お前、寄生虫の妹だろ?あのクズの妹だから、そうやって泣き叫んでクズを呼ぶ事しかできねえんだろ?お前の姉の寄生虫がゴミだから、お前もそうやって苦しい目にあうんだよ。全部、あいつの、ゴミのせいなんだよ。気持ち悪いんだよ。そうやって姉に縋ってろよ。
お前、母親に虐待されんだろ。じゃあ、生きる資格もねえ、
能無しだな。」
そう言うと、デージーはミィを蹴り飛ばしました。その光景を見た、ミニィは必死に叫びました。
「やめてぇぇぇ!!!!!!」
次の瞬間、ミニィは目を覚ましました。辺りは真っ暗になっています。ケンタは熟睡しています。酷い悪夢です。ミニィは、部屋を出ると、自動販売機の側に行きました。だが、その後ろにはデージーがいました。
「やっほー、ミニィ、悪夢は楽しめた?」
「お前。
いつの間にそこに、何で私が泊まっている事を知っているのよ?どうして、あんたの催眠術の仕業なの?あんたはどれだけ私を虐めれば気が済むのよ。ミィは、安らかに天国で眠らせてあげたいの。だから、ミィを苦しめるような真似はやめてよ!」
「嫌だ。あんたみたいな寄生虫の妹なんかどうせろくな生き方じゃねえんだから。あー、うぜえんだよ!!!
お前の親のせいであたしはどんな目に遭ってたか、あんた知らねえだろうがよ!」
「ママの事?ママがあんたと何が関係あんのよ。」
「あの日、あたしは、あんたの母親に、ママを殺されたの。」
そしてデージーは語り始めたのです。デージー自身が記憶から封印しようとした忌々しい過去の悲しい事件を。




