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フラワーミュージアム

 温泉に浸かった後、ケンタとミニィはベッドに入ってぐっすりと眠ってしまいました。疲れていたのでしょうか。昨夜は美味しい夕食も食べて疲れて寝てしまったのです。ミミィは夢の世界にいました。そこは、一面の花畑でした。真っ黄色い花が咲いている花畑をミニィは走って行きます。


「ここは夢の世界なの?こんなに綺麗にお花が咲いて、まるで御伽話みたい。」


そして丘のようになっているを走った時に花畑の下で花を摘んでいる黄うさぎの姿が見えました。ミニィはそっと近づいて行きます。その白うさぎは妹ミィを殺害して、ミニィをも殺害しようとした母親メフィの姿でした。


「ママなの?ママがどうしてここにいるの?ママはここにいるべき存在じゃない。ここが天国なのだとしたらママが行くべき先は地獄よ。」


ミニィが言うと、メフィは静かに近付いてきます。彼女は花を摘む用の籠を手に持っていました。悪夢が蘇りそうになった瞬間にメフィはミニィに声をかけます。


「ミニィ、ここに来ては駄目よ。ここはね、生きている者が来てはいけない世界なの。ミニィはまだ生きているじゃない。あなたは、ミィの分まで、生きなきゃいけないんだから。」


「忘れたとは言わせないよ。あんたはミィを殺した。そうやって優しい時だけ優しく偽善者ぶって、暴力を振るう時はいつもそうだったよね。あの日だって怒りになんか身を任せなかったらミィは死なずに済んだ。思い出してよ。昔のママは優しかった。私が小さかった時はいつも褒めてくれた。

そんなに私が可愛かったの。私が可愛かったからミィを邪魔者扱いして虐待したの?答えなさいよ。」


だが次の瞬間、メフィは目を開けてミニィを激しく睨み付けました。そしてミニィの方へと近づいて来たのです。

目は真っ赤に染まっていました。


「ミニィ、あなたはそうやって私を苦しめるの?どうして私を苦しめるような事を言うの?あなたは、目障りなのよ。

ミィだってそう。私は母親に愛された経験なんかない。私の母親はいつもいつも、私を虐待した。私は愛し方がわからないのよ。あなただってあの時一緒に死ねば良かったじゃない?ねえ、ミィを道連れにしてねー。そうよね、カリン。。」


その時ミニィは疑問に思いました。今まで自分の名前はミニィと思い込んでいたのです。だがメフィは別の名前を口ずさんだのでした。ミニィは困惑しました。今ここに現れている母親は何者なのか。


「カリン?

ママ何を言ってるの?私の名前はミニィよ。あんた寝ぼけているんじゃないの?あんたが行くべき世界はここじゃない。ここは神聖なる楽園なのよ。あんたは地獄に堕ちれば良い!あんたはマリンのママを殺した。動物殺し。そのせいでマリンは狂ってしまった。マリンはなんの罪もない50人者園児達を殺害した。マリンだけじゃない、デイジーだってそう。デイジーの母親もあんたが殺害したんじゃないの??」


次の瞬間メフィは包丁を持っていました。その包丁でミニィを刺そうと迫って来たのです。そして今にも刺そうとした瞬間ミニィは目を覚ましました。夢で見たあまりの恐怖にミニィはハッとしたのです。ミニィは荒い息を立てました。


「どうしてママが夢の中に、ママは私の夢の中に現れて良いうさぎじゃない。それにカリンって誰なのよ。私の名前はミニィ私は、うさぎなの。」


その時鏡に映った自分の姿はうさぎじゃなくなっていたのです。ミニィは人間という生き物の女性の姿をしていました。

だが次の瞬間にはミニィは黄色いうさぎの少女の姿に戻っていました。ミニィは一瞬びっくりしたのです。ミニィは急いでベッドに戻りました。そして隣のベッドで寝ている犬のケンタの鼻から泡が出ている事に気が付くとケンタの鼻を突きました。するとケンタの鼻の泡が割れたのです。ケンタは欠伸をして目を覚ましました。ケンタは欠伸をしました。


「ふわぁぁ、ミニィ、おはよう。

ミニィ、どうしたの?顔色が良くないみたいだけど。」


「私の夢の世界で、私のママ、メフィが現れたの。妹を殺したママが出てきたせいで、とても辛い夢を見たわ。ねえ、ケンちぃ、どうして私は今でも苦しまなきゃ行けないの?」


「めちゃくちゃ嫌な夢だね、そんな悪夢は、もう忘れるしかないよ。


ケンタはミニィの不安そうな訴えを聞いて心が揺れ動いて複雑な気持ちになっていたのです。ケンタは口にしました。


「ミニィは過去と決別したいのに、ミニィのお母さんの事が忘れられないのかもしれないね。でも、ミニィが落ち込む事は無いよ。あの母親はもう死んだんだ。ミニィを愛してくれなかった最低の母親だよ。だからミニィ今日はフラワーミュージアムに行ってそんな嫌な事忘れよう。」


「うん、ケンちぃありがとう。」


宿を出て朝食を食べると、フラワーミュージアムがカブトシティの海岸の前に広がっていたのです。広大な土地に様々な種類のお花が咲いています。紫色のサルビアファリナセア、ラベンダー、黄色いケイトウ、見渡す限り数百種類以上の花が咲いているのでした。ミニィはケンタを連れてケイトウの花の前に行くと写真を撮りました。横にはガラスのうさぎと楽器を持ったガラスのヤギとガラスのシカの姿があったのです。


「見てこのガラス細工の人形達、可愛くない?」


「そうだね。ガラス細工で作られててきっと職人さんが、丁寧に作ったんだろうね。もしこれが動いたら、きっと凄い魔法みたいなのに。」


するとレッサーパンダの女の子でしょうか。5歳くらいの女の子がケンタとミニィに話しかけて来ました。


「動くよ。私、一回見た事あるもん、もう直ぐカラクリのように動いてたもーん、お兄ちゃん達も見てみたら?」


「君は?」


ケンタが少女に名前を聞きます。すると少女は自己紹介を始めました。


「わたしの名前はリーナ。レッサーパンダの女の子。

今日はね、お花を見る為にお母さんと一緒に遊びに来てたの。ねえ見て、紫色のサルビアファリナセアが咲いているでしょ。私が一番好きなお花。ママが花言葉で永遠にあなたのものって言ってくれたから。」


ミニィは頭を下に曲げるようにするとリーナを褒めました。


「リーナちゃん沢山知っているんだね。そっかぁ。花言葉を教えてくれたお母さんはとても素敵だね。よしよし偉いね。」


「お姉ちゃん、褒めてくれるなんて嬉しいな。じゃあ他にもお花を教えてあげるね。あれは黄色と赤色のスカシユリだよ。あの赤いお花はアネモネだよ。アネモネはギリシャ語で風が語源なんだってね。」


リーナが指を刺す方を見つめると辺り一面にアネモネの花が広がっています。やがて時間になると、時計台の音が鳴りました。フラワーミュージアムにある時計台が10時の鐘の音を立てると一斉にアネモネの花やサルビナファセリアの花びらが開き始めました。そしてうさぎとシカとヤギのガラス人形が演奏をし始めたのです。時計台からはからくり人形が出てきて踊り始めました。ミニィはその様子を動画に撮り始めました。からくり人形とガラスの人形はフラワーミュージアムの歌を熱唱しています。


「やっぱりリーナちゃんの言う通りだったね。まるで遊園地の世界の御伽話のアトラクションみたい。不思議だねー。」


「ねー!!」


そしてフラワーミュージアムの中央にある巨大な噴水が一斉に噴き上がりました。









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