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カブトシティの温泉

 クワガタシティでの惨劇があった事でミニィとケンタは精神的に憔悴しきっていましたが、次なる街のカブトシティへと向かい傷付いた心を癒そうと考えました。久しぶりに2人だけの旅となり、ミニィはケンタに言いました。


「はあ、とんだ災難だったね、私も大分傷が治って来たけど、もうなんか旅をする旅に事件が起きるなんて死神なのかな。私達。」


「死神だなって思いたくないけど、僕達の不運にはもうどうすれば良いんだろうね。コウイチもあんな姿になっちゃったしなんだか違う世界に来てしまったみたいな気がするよ。

僕は電車に乗りたいから電車乗る?」


カブトシティまで向かう電車の駅が見えて来ました。電車には沢山の人が乗っています。ミニィは駅のホームを見るとふとホームに駅弁売り場がある事に気がつきました。


「ねえねえ、ケンちぃ、見てよ。駅弁だって。美味しそうだよ。買わない?」

「そうだね。カブトシティに行くまでお腹も空いちゃうし。値段はどれくらいなんだろう。1500円か。まあでも高いけど、味もきっと美味しいんだろうなぁ。すみません、ほっかほっか駅弁2つ。ミニィ、良いよ。僕が払うから。」


店員さんは、あまり愛想が良くなさそうな男性のオレンジのフラミンゴの店員さんです。

「はい、では2つで3000円です。」


「ありがとうございます。」


そう言うとケンタは2人分を一斉に払いました。ミニィはケンタに頭を下げました。かなり申し訳なさそうな態度です。


「ごめん、良いの?奢ってもらっちゃって、ごめんね。」

「良いよ、旅の資金は父さんから沢山貰ったんだ。」

何度も頭を下げて旅に出たいという気持ちを父に伝える

『また旅に出たいからお金を欲しい?駄目だぞ。また事件に巻き込まれたらどうするんだ。』

『そこを何とか、このまま家にいるのも嫌なんだ。事件を解決する探偵みたいに旅をする探偵になりたいんだ。自分で世界を見てみたいんだ。僕は夢を諦めたくないんだよ。お父さんお願いします。』

『そんなに言うなら、お金をあげるが、必ず生きて戻ってこいよ。お前が死んでしまったら、絶対に許さんからな。』

『僕は死なないよ。』


回想が頭を過っている中、電車が駅にやって来ました。特急電車のようです。忘れていました。電車の色はオールレッドです。電車に乗りテーブル付きのセミクロスシートに乗りました。電車の椅子に座るとそのふかふかの椅子の座り心地にミニィはほっこりと笑いました。


「特急なだけあって、座り心地は最高だね。」

そういうと買った駅弁を出します。左側にはご飯が敷き詰められ中央には梅干しが乗っています。右側にはシュウマイや唐揚げ、昆布、大根の甘煮、丸く巻かれたペペロンチーノが入っていました。駅弁は日常に売っている食べ物の詰め合わせセットのようなのに電車の中で食べるというだけで特別感が出るとケンタは感じます。


「ねえねえ、ケンちぃ、見てよ、私何度も駅弁食べてるけど、こんなにいっぱい入っているの私は初めてかも!

好きなものしか入っていないもん。あーペペロンチーノが美味しい、もぐもぐ。」


ミニィは夢中で食べています。しかし心の中は常に恐怖でいっぱいでした。夢の中で自分が遊んだ子供達が、焼け焦げた姿で出て来て人殺しと騒ぎ立てるのです。そんな恐怖からかミミィは最近眠れなくなっていたのです。ミニィとケンタの2人に話しかける男の声がありました。


「黄うさぎの女の子と茶色の犬の男の子、君達はもしかしてカップルなのかい?」


声のする方を確認するとカンガルーの男の人が座っていたのです。爽やかで身体の筋肉が鍛えられています。筋トレを行っているんでしょうか。

「カップルなんて違いますよ。僕達は友達で旅仲間です。お兄さんは誰ですか?」

「お兄さん凄いムキムキですね。」


「俺は熱波師のクルトだよ。カブトシティの温泉の中にあるサウナで働いているんだ。良かったら、観光のついでにどうですか?俺の特別な招待で今日は安くしてあげるよ。」


クルトと名乗る男性は広告を見せて来ます。広告には一泊宿付きで5000円と書いてありました。だがクルトはいきなりクーポンを渡して来ました。そのクーポンの値段を見るとミニィはびっくりしました。


「え?もしかして安くしてくれるの?」

「温泉かー、良いですね。丁度旅の疲れを取りたいと思っていた所です。幾ら安くしてくれるんですか?」


「2000円割引です。良かったら温泉まで案内しようか?」


「良いんですか?やった〜!!」


ミニィは嬉しそうに喜びます。ケンタはクルトの方を見ますが、どこかで会ったような事があったような事があるようなと思いながらも、クルトは話し始めました。


「このカブトシティの温泉の近くでは花の妖精ミュージアムというのがあるんだ。そのミュージアムには世界中から捕まえられたカブト虫が集まっていたり、花の妖精達は、兎に角お喋りで色々と話しかけてみると楽しいよ。この地方にはいないヒナゲシの花の妖精が特に有名だよ。」


駅弁を食べながら、ミニィは言いました。


「お花の妖精さんて可愛いですよね。キアゲハシティでもハイビスカスの妖精に出会ったんです。この世界ってお花が喋ったりするから凄くメルヘンな感じがするの。まるでおとぎ話のようなそんな不思議な世界なのに。」


そんなこんなで特急に乗りながら、カブトシティに到着しました。カブトシティは海が面した港町です。今回泊まるカブト温泉は海岸の近くにある温泉旅館。

海の景色を見ながらゆったりと疲れを癒せるのです。バスに揺られながら暫く走っていくとカブトオーシャンリゾートに到着しました。奥には海岸があります。海岸には海水浴を楽しむ客の姿も見えるのです。


「やったー、着いたね。やっぱり旅の疲れは温泉と美味しい食事で癒されないとねー。ケンちぃ、お部屋取ったら温泉行こう。」


「そうだね。折角だし良い景色とそれから良いお湯に入って温泉が終わったら卓球でもしようか。」


「うん。」


フロントに行くとそこにいたのはヤギの女性従業員でした。

ヤギの女性従業員は声をケンタとミニィに声を掛けます。


「いらっしゃいませ、一泊なされますか?お部屋は、ご一緒で宜しいですか?」


「はい、お願いします。あの景色の良い部屋でお願いできますか?」

ミニィがヤギの従業員に言うと、ヤギの従業員はパソコンを見て部屋の空き状況を調べました。


「はい!それでは海が見えるのは6階の607号室が空いております。そちらで宜しいですか?明日の朝食は海辺の方にあるテラスのレストランであります。こちらが食券になります。お部屋の鍵になります。バスタオルはお部屋にありますので、ご自由に使って下さいね。」


「はい、ありがとうございます。行こう、ケンちぃ。」


「ミニィ、張り切りすぎだよ。」


エレベーターに乗りそのまま部屋に到着しました。部屋に入るとミニィは部屋の窓から外を眺めました。綺麗な海が見えます。海の上をヨットや船が走っています。窓を開けると、潮風が一気に押し寄せてくるのでした。


「潮風が気持ち良いわ。やっぱり海が見える町って本当に綺麗だね。ねえ。」


「ミニィは本当に海が好きなんだね。僕もだけど、あれ見てよ。あれは漁船だよ。早朝から出るんだよ。」


「ふーん、それ!!!」


「何すんだよ。ミニィ!

やったなぁ!!」


突然ミニィがケンタの首を掴むとケンタをくすぐり始めたのです。するとケンタはくすぐられて笑顔になったのです。笑顔で今度はミニィにくすぐり返しました。暫く2人でふざけ合っていましたが、ミニィは言ったのです。


「ケンちぃ、、いやケンタ、今までのケンタは元気が無かったから、こうやってふざければきっと元気が戻るのかなって思った。元気でた?久しぶりに笑ってたから。温泉行こうか!」


「そうだね。ありがとう。ミニィ。温泉行って、色々疲れを取ろう。」


そう言うと、ミニィとケンタは温泉へ向かいました。ケンタはエレベーターを降りると大浴場へ入りました。他にも動物達が沢山居ます。ロッカーで着替えてタオルを用意すると大浴場へ入りシャワーを浴びて、身体を洗います。

一通り身体を洗い終えるとお湯に浸かるのでした。久しぶりの温泉に入れた事でケンタは疲れを取ります。


「いやー、久しぶりのお風呂は、身体に染みるなあ!」


「ケンタ君!やっぱり温泉に入っていたんだね!」


「クルトさん。サウナの時間ってもう直ぐですよね。」


「そうだよ!もう少ししたら、熱波の時間だよ。さあおいで」


15時になるとクルトは熱波師の格好で出迎えてくれました。ケンタも連れられてサウナへと入ります。サウナに入ると熱気が一気に身体を襲ってくるとクルトはサウナストーンから出る湯気を持っている団扇で一気に仰ぎ始めました。


(いやあー、気持ち良いなぁ、なんだこの熱気は。

初めて熱波師の熱を浴びたけど、暖かすぎて癒されるなぁ。)


同じ頃ミニィは露天風呂で絶景の海を眺めていました。


「あー、本当に絶景だなぁ、あそういえば、今日初めてケンタって呼んじゃったなあ。」


ミニィは思い出しながら顔を赤らめていました。






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