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クワガタ幼稚園とマリンの逆襲

 クワガタシティを散策しながらケンタとミミィ、コウイチの3人は捕まえたクワガタ虫を持ち歩きながら歩いていました。コウイチが言います。


「見ろよ。このノコギリクワガタの迫力といったら堪んねえぜ。この鋭い刃物のような角を、ケンタ、お前が捕まえたオオクワガタとどっちが強いか勝負だ。」


「そんなに言うんだったら僕のオオクワガタだって負けないぞー。そうだ。勝負するんだからなー。」


そう言うと2人は虫かごの蓋を開けるとノコギリクワガタとオオクワガタを手で掴み木の切り株の上に乗せて勝負をさせました。2匹はお互いに近づくとお互いの角を使い挟み合うように勝負をします。ケンタは自分のオオクワガタを応援してコウイチはノコギリクワガタを応援します。


「オオクワガタ負けないで、頑張るんだ!!」


「ノコギリクワガタこんなのに負けんじゃねえ!」


「おいおい、こんなのって何だよ?そんな言い方しなくたって良いだろう。」


「こんなのはこんなのなんだよ。良いかノコギリクワガタの方が角の大きさが大きいんだ。何があってもノコギリクワガタの方が強いんだよ。」


ミミィはそんな2人の様子を笑いながら見ています。


「もう、お互いに喧嘩なんかしてないでクワガタの戦いを応援しなさいよ。」


ケンタが詰め寄るとノコギリクワガタはオオクワガタの胴体を持ち上げ始めました。そしてオオクワガタの胴体をひっくり返したのです。結果はケンタの勝ちでした。するとケンタは大喜びで跳ねました。コウイチは悔しそうにしています。


「おいケンタ、もう一度勝負だ。」


「良いぞ、受けて立つ!!」


そう言いながら2人は夢中になって戦い始めます。その様子を見ながらミミィは笑っていました。流石に戦いに疲れたのでしょうか。2人は疲れながらはあはあと言っています。

ミミィは思わず言いました。


「クワガタ同士で戦うなんてまるで子供ねー。」


「「お前も子供だろうがー!!」」


ケンタとコウイチがツッコミを入れるとミミィが言います。


「私は君達より精神年齢は上よ。」


少し大人ぶっている様子を見て舌打ちをするコウイチ。3人は気がつくとクワガタ幼稚園の前に来ていました。するとミミィは思い出します。ここは亡くなった妹のミィ、そしてミミィが通っていた母校の幼稚園なのです。


「ここ、私とミィが通っていた幼稚園だよ。うわぁ、当時と全然変わっていないなぁ。」


『お姉ちゃん、また洋服に泥つくまで遊んじゃった。』


『ミィ、だめだよ。そんな洋服汚しちゃ』


『良いもん、いっぱい遊んで汚した方が良い子に育つもん』


昔の思い出をミミィは思い出していました。そして思わず涙を流したのです。もう妹はこの世に居ません。ミィが亡くなったのは2年前、彼女が年少の時。今年長のお友達がいるかもしれません。


「ケンちゃん、コウちゃん、私ね、いつもボランティアで遊びに行ってるの。妹が通っていた幼稚園に入って良い?」


「うん、良いけど。」


3人は幼稚園に入りました。すると幼稚園のサイの園長先生がいるではありませんか。サイトウ園長先生です。


「ミミィちゃん、大きくなったねえ!!」


「園長先生、お久しぶりです。お元気でしたか?」


「お友達かい?」


「はい、今日はミィのお友達に会いたくて、ルオンちゃんとリオンちゃん、エルサちゃんと、カレンちゃんはいますか?」


「いるよ!!」


そう言うとサイトウ園長に案内されて教室に入ると子供達が遊んでいます。すると先生達が子供達に言いました。


「皆んな、今日はうさぎのお姉さんと犬のお兄さん、リスのお兄さんが遊びに来てくれました。一緒に遊びましょう!!!」


幼稚園の先生がそう言うと、動物の園児達は一斉に挨拶をします。そんな中にレッサーパンダの女の子がミミィの方へ走って来ました。その子はルオンちゃんです。ルオンちゃんは言いました。


「ミィちゃんのお姉ちゃんのミミィお姉ちゃんがやってきたよ!ミミィお姉ちゃん、久しぶり!!!」


「ミミィお姉ちゃん、遊ぼー、お兄ちゃんも遊ぼー!!」


ルオンちゃんと一緒に話しかけてくるのはリオンちゃんです。ミィと仲が良かった双子の女の子です。

ケンタとコウイチも混ざって一緒に遊びました。エルサちゃん、カレンちゃん、それからキツネのルーシーちゃん、クマのコーダー君名前を覚えたのはこの子達です。ミミィはリオンちゃんとルオンちゃん、エルサちゃんに絵本の読み聞かせをしました。だけど話を聞く気はなくリオンちゃんははしゃいでミミィに懐いてきます。


「ミミィお姉ちゃんはケンタお兄ちゃんのお嫁さんになるんでしょ?」


「お嫁さんだ、ミミィお姉ちゃん、ケンタお兄ちゃんの事好きそうだもん!!」


リオンちゃんとエルサちゃんが聞くとミミィは顔を赤くして言いました。


「まさか、違うよ。私はうさぎ、ケンちゃんは犬、結婚はできないもん、」


「皆んなは将来何になりたいの?」


コウイチが聞くと、コーダー君が答えます。


「僕はドクター」


リオンちゃんとルオンちゃんが交互に答えます。


「「お嫁さん」」


2人が息を揃えて言うと、ミミィが2人の知識にびっくりして言います。


「2人とも難しい言葉を知っているね。」

ネコのエルサちゃんとカレンちゃんが言います。


「私達に先生が将来何になりたいですかって教えてくれるの。私はエルサ、歌手になりたい。」


「うちはー、カレン、将来の夢はスタイリスト!!」

エルサとカレンは飛び上がるようにして喜びました。ミミィとケンタとコウイチの3人は一緒に歌を歌ったり外で幼稚園児達と沢山遊びました。そうです。今日は園児達のお泊まり会なのです。コウイチは夜まで残って遊びたいと言い出しました。


「「「ミミィお姉ちゃん、ケンタお兄ちゃんバイバイ。コウイチお兄ちゃんはもっと遊ぼー」」」


「じゃあコウちゃん、後でクワガタホテル似合流ね。」


「おう。」


今にして思えばこれがコウイチとの最後の出会いでした。


幼稚園を去ってゆくケンタとミミィの様子を影から見ている女の子がいます。マリンです。マリンは恐ろしい計画をし始めたのです。マリンはその夜、クワガタ幼稚園にやって来ました。そしてこっそりと園の中に侵入したのです。ちょうどその時マリンはコウイチと出会いました。


「お前は、マリン!何故お前が!!」


「あんた、もう用済みだから、この幼稚園と一緒に燃えちゃいな、さよなら。」


「おい、お前何を??」


次の瞬間ガソリンをコウイチの身体にかけると火をつけました。あっという間にコウイチの身体は火炙りになりうめき声を上げpます。そしてマリンは幼稚園中にガソリンをばら撒くと爆弾のスイッチを押しました。次の瞬間クワガタ幼稚園は大爆発を起こして一瞬にして火の海に包まれたのです。

ホテルの窓からその様子に気が付いたケンタはミミィを呼びました。



「おい、ミミィ!あれってクワガタ幼稚園だよな!!

燃えてる!!!!!!!火事だよ!!!」


「え?嘘でしょ!コウちゃん、皆んな!!!!」


慌てて2人はホテルを飛び出しました。だが、もう手遅れでした。消防が必死に消火活動にあたっています。だが園庭には誰1人として逃げた園児はいなかったのです。そしてコウイチの姿はありません。ミミィは必死に泣き叫びました。


「コウちゃん、お願い返事して、コウちゃん、お願い!!!

コウちゃん、ねえ、助けてよ!コウちゃんが中に、うわぁぁぁ!!!」


「ミミィ!!だめだ!!きっとコウイチは無事だよ!

きっと!」


ガソリンを巻かれた園内は大爆発を起こしました。救助は間に合わず、園内にいた園児、園長、先生は50名全員焼死したのです。そして火をつけられたコウイチと火をつけたマリンも焼死体で発見されました。ビニールシートが巻かれた園内にはあのルオン、リオン、エルサ、コーダイ、カレンも含めて変わり果てた姿で発見されました。ルオン、リオン、エルサ、コーダイ、カレンはもう黒焦げになってしまい腕も曲がり果て、下半身は焼けて無くなってしまっていたのです。

コウイチは園児達を守るようにして、黒焦げになっていました。

何日かして火をつけたのはマリンだと言う事がわかったのです。その真実を知ったミミィは怒りに震えました。


「よくも、よくも、コウちゃんとミィの友達を殺しておいて自分が死ぬなんて、絶対に許せない!

ケンちゃん、こないだまで皆んな生きてたんだよ。

なのに、コウちゃんが死んじゃったー!!

何で死んじゃうのよ!一緒にスケート場で出会って旅しようって言ったのに何で死んじゃうのよ!!!

うわぁぁぁぁ!返してよ!!」


ミミィは泣き崩れて大粒の涙を溢すのでした。ケンタも堪えきれずに泣き続けました。






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