アクアリンクキアゲハへの道
キアゲハシティにたどりついて数日が経ち、旅の疲れもようやく癒えてきたある朝のこと。
ケンタとミニィは、街の掲示板で一枚のきらびやかなポスターに目を留めました。
そこには、銀色の氷の上を舞うように滑るウサギたちの姿とともに、こう書かれていました。
「氷と光の魔法体験へようこそ。アクアリンクキアゲハ、本日より開場!」
「スケート場なんだ……!」
ケンタが目を輝かせます。
「ねえケンタ、行ってみましょ? 氷の上を滑るなんて、ちょっと怖そうだけど、きっと素敵よ!」
ミニィもわくわくとした声で言いました。
* * *
アクアリンクキアゲハは、キアゲハシティの北の端。
氷の蝶が舞うという伝説が残る、冬の泉をせき止めて作られた、巨大なスケートリンクです。
建物は水晶のようなガラスでできていて、朝の光を受けて七色にきらめいていました。
ふたりが中に入ると、スケート靴を履いた動物たちが、すいすいとリンクの上を滑って遊んでいます。
「すごい……床が氷なんだね、本物の!」
ケンタは興奮したようにリンクを見つめました。
ミニィはというと、靴を履きながら少し不安そうです。
「……わたし、転ばないかな……?」
「大丈夫、僕が手をつなぐよ!」
ケンタは照れくさそうに笑いながら、ミニィに手を差し出しました。
ふたりはそっとリンクの上に立ち、最初はふらふらしながらも、少しずつ前へと滑り始めました。
リンクの中央には、氷の柱で作られた“風の鐘”が立っていて、滑るたびにきらん、と優しい音色を響かせます。
天井からは白い羽のような雪が静かに舞い降り、まるで夢の中のような光景でした。
やがてふたりは、滑ることにも慣れ、手を取り合いながらくるくると回ることもできるようになりました。
「ミニィ、見て! ぼくたち、飛んでるみたいだよ!」
「ほんとね……風になれたみたい……!」
笑い声が響き、氷の世界にそのまま溶けていきました。
リンクの出口には、来場者が願いごとを書ける“氷の羽カード”が用意されていて、
ふたりはそれぞれに、そっとこう書きました。
「また、ふたりでここに戻ってきたい――」
そしてカードは風の鐘の柱に結ばれ、キラリと光を放ちました。
アクアリンクキアゲハ。
それは冷たくて、でもどこよりもあたたかい思い出の場所として、ふたりの心に刻まれたのでした――。




