ヨウカン山の黒い影
ささやく泉を出ると目の前に広がるのはヨウカン山です。
不気味な音が聞こえ、怪しい風がミニィとケンタの顔に吹き付けてくるのです。怪しい風を受けるとミニィが怖がるのです。ミニィがケンタの腕にしがみつくと言います。
「ねえ、やっぱり噂通りの場所だよ。ヨウカン山って洋館の事でしょ。洋館と言えば怖いお化けとか山姥とかそういうホラー映画に出てきそうなキャラクターが沢山出てくるんじゃ?」
「肝試し感覚で楽しんでみない?もし怖い山姥とか出たら、一緒に走って逃げれば良いし。」
ケンタはミニィを励まそうと言いますが、その一方で好奇心も旺盛になっていました。山は険しく足に中々来るものがあります。階段を登り山を登ると目の前に見えて来たのは山の斜面です。するとケンタは登山用のロープを出すとミニィのベルトに固定しました。
「ミニィ、こっから先は急斜面になる。上に登るにはロープを使うしかないから落っこちないようにね。じゃあ一緒に行くよ。」
「うん」
ミニィとケンタは2人でロープを使用して登っていきます。崖のような急斜面を見ると上から落下した石が下に落ちて行きます。ミニィはしっかりとロープを握って上へと行きますが、おっとうっかり手を離してしまいました。ミニィのロープが外れてしまいました。
「きゃぁぁぁ!!!!!!!」
今にも落ちそうになりましたが、ミニィをケンタがミニィをキャッチ。キャッチされたミニィはふぅと一安心するのです。ケンタがキャッチしてくれなかったら恐らく死んでいたのかもしれないと恐怖を感じるミニィ。
「怖いって、マジで怖いよ。これちゃんと付けてないとめちゃくちゃ怖いんだけど。今、本当に怖くて死ぬかと思った。」
「ミニィ、だめじゃないか。しっかり持ってないと。」
「そんな言い方しなくたって良いじゃん。だって、このロープ付けたのはケンちぃでしょう。ああ、そんなにネチネチした言い方したら、女の子から嫌われちゃうよ。」
ミニィの透かしたような態度が気になったようですが、ケンタはヨウカン山の頂上まで何とか登り付きました。ミニィは疲れたのか地面に座り込みます。だが目の前に見える絶景を目にした時にミニィは感動のあまり声をあげます。
「やったぁ、辿り着いたよ。見て、凄い絶景だよ。」
「見晴らしの良い景色だね。」
だがそんな中で黒い影が近づいて来たのです。その黒い影は静かに足を運んで来ました。そして舌を出して涎を垂らしながら、草むらの影に隠れています。その存在に気がついたケンタは身体をビクビクさせるのです。そして狼は現れました。草むらから一気に姿を現すとミニィを食べようと口を開けながら襲いかかって来ました。
「「ぎゃぁぁぁぁ!!!!!!!」」
狼達からケンタとミニィは必死に逃げます。草むらの影の方に隠れるとケンタは言います。
「ミニィはここで隠れているんだ。僕が行ってくるから。」
狼が近づいて来たその時にケンタは持っていた武器を使用して狼を殴りつけるのでした。そして恐ろしい程の声をあげると狼とケンタとの闘いが始まりました。狼の圧倒的な強さに負けそうになるケンタ。だが負けません。ケンタも犬です。大きく唸ると鋭い牙を立てます。そして狼にガブリと噛み付くのでした。すると狼はケンタの激しい攻撃にやられたのかのたうち回っています。だが別の狼がミニィに近づこうとしているではありませんか。そしてミニィに今にも狼が食べようとした時、発砲音が響き渡ります。
狼はその場に倒れてしまいました。ミニィはびっくりしました。するとそこには茶色の熊の老婆が立っていたのです。
「大丈夫かい、お嬢さん、ヨウカン山には狼が多いからね。私はラングレーだよ。ここのヨウカン山にある洋館の主だ。大丈夫かい?」
「ありがとうございます。」
「おーい、ミニィ。大丈夫かい?あれもしかして洋館の主?」
ケンタがミニィに声をかけに来ます。すると老婆が優しく言いました。
「おいで疲れただろう。洋館でお休みなさい。案内してあげるわ。」
こうして2人は老婆に案内されて洋館へと向かうのでした。