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【書籍化】ダチョウ獣人のはちゃめちゃ無双 ~アホかわいい最強種族のリーダーになりました~  作者: サイリウム


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84:ダチョウと食べ過ぎ厳禁


「レイス……、貴女もう少し何とかならなかったの? 例の湖といい……、二度目よ?」


「い、いや。今回は穴掘っただけだし、後で埋め立てとかできるかなって……。」



カニの殻……、じゃなくて蜘蛛の殻を割りながらアメリアさんにそう答える。


いや、ね? 確かにカニが目の前にいるせいでちょっとはしゃぎ過ぎちゃったけどさ? 一応後片付けのこととか、仕事のこととか色々考えてたのよ? ほら前みたいに上に伸ばすんじゃなくて、陥没させて埋め立てやすいようにしたし、中身もおいしいカニとカニ出汁でしょ? ……まぁうちの子スイムイーティングしてるせいで多分ダチョウの出汁も出てそうだけど。


この前のはただの水だったけど、今は出汁が効いてるから飲めるし、やろうと思えば埋め立てることもできる。それにお仕事の方もちゃんとしたでしょう? ほら魔力砲ブッパして敵兵殲滅したしさ……。い、一応考えて行動していますわよ?



「そうね、前よりは考えているわね。けれど……、貴女食材として命を奪ったモノを粗末にしようとしてない? “埋め立てる”って言ったわよね?」


「ギクッ!」


「なんで口で言うの? ……まぁいいわ。解ってるのなら全部食べてあげなさいね。高原で貴女が言っていたことよ? 『命を奪ったのならそれに感謝してちゃんと食べる』って。子供たちの情操教育的にもそのあたり、しっかりしないとねぇ?」



あ、あの。この巨大な湖レベルのモノを飲み干せ……、と? ア、ハイ頑張ります……。そ、そうだ! うちの食いしん坊ダチョウ小隊! 食糧庫の盗難事件の主犯だったマイチルドレン! ちょっとお母ちゃんピンチだから、そのあふれんばかりの食欲でお助け!



「おなかいっぱい……。」

「ちあわせ。」

「ぽんぽんぷくぷく。」


「Оh……。」



振り返ってみてみれば、水風船のようにお腹をぱんぱんにしてカニ鍋の中で浮かんでいる子供たち。いつの間にそんなことになっちゃうまで食べたの……? というかそろそろ陸地に戻ってきなさいな。カニ鍋じゃなくてダチョウ鍋になっちゃうわよ。


いくら食べるのが好きでも、ママに食べられるのは嫌でしょ? 全部飲み込んじゃうわよ。



「ままたべる!?」

「こわい!」

「あがるー!」

「……おなかおもい。」


「はいはい、ゆっくりでいいからね。……ん? あぁごめん。まだ殻割ってる最中だったね。すぐやってあげるからね。」



食いしん坊小隊の子たちに声をかけていると、かなり強めの視線を感じた。そちらの方を見てみればじっとカニを咥えて『これの殻割って。』と目で訴えてくる子が一人。この子は性格的にちょっと引っ込み思案なのか、言葉は使わずよく目で訴えかけてくる子なんだけど……。キミそんなに強い視線送れたんだねぇ。


口で殻をきれいに割りながら、同時に魔力操作の練習がてら『第三の腕』、魔力を人の手に固めて動かす魔法で分解し、食べさせてあげる。普段は自分でご飯を食べてくれるこの子たちだけど、今日はちょっと甘えんぼさんが多いみたいで雛鳥みたいに口だけ開ける子が多い。……というか誰かがそれを始めてからみんな同じようになっちゃった。


みんな甘えんぼだし、賢いからまねっこ上手なのよね。



(ま。順番抜かしとかせずに、ちゃんと一列になって『まだかな~!』ってしてくれるのは母親役としても鼻が高い。)



そんなことを考えていると、ちょっと遠くの方から赤騎士ちゃんや、おそらくナガンの将だと思われる人が走ってくるのが見える。どうしたのかな……。『うにゅッ!』っと! あぁごめんって。すぐに殻割ってあげるからね? ……ん? 私の番だから私だけ見てて? あら~!!! そうね、ママ悪かったね。ちゃんとあなただけを見ましょうねぇ~~!!!


ほっぺをうにうにと揉んでやり、頭を撫でてやりながら口にカニを運んであげる。毎日はできないけど今日はみんなたくさん頑張ったからねぇ。一番頑張ってくれたデレには後でもっとしてあげなきゃだけど、みんなも同じくらい頑張ったもんねぇ。たくさん褒めてあげなきゃ。



「レイス殿、少々お時間よろしいでしょうか!」


「ちょっと待ってね、今この子の相手してるから。それ終わったらね~。」









「んで。どしたの。」


「敵将を捕縛したのと、ある程度の処理が終わりましたのでご報告に。」



子供の世話をやいてやりながら、赤騎士ちゃんの報告に耳を傾ける。どうやら私専属の窓口みたいな立ち位置みたいで、後ろに控えている将軍さんかな? その人はじっとこっちを見ているだけだ。……まぁチラチラとカニ鍋の方見てるから『え、もしかしてコレ私たちが片づけるの?』みたいなこと考えてそうだけど。


大丈夫、流石に汁の方は飲み干せないだろうけど、身の方は全部食べて殻は地面に埋めてまるっきり元通りに戻す予定だからさ。数日ずっとカニの匂いしそうだけど、分解されればいい畑になるんじゃない? 知らんけど。



「そうだったんだ。わざわざごめんね。ドロテアちゃん。……それでなんだけどさ。こいつらの母体がどこにいるか知ってる?」


「母体……、ですか?」



そ。いやね? 私のところに元共和国所属のエウラリア。あのドM不死妹いるでしょ? 今私に悪口言われて痙攣してる子。あの子の情報によるとさ。この蜘蛛って母体がいて、そこから際限なく増え続ける魔物らしいのよ。不死と合わされば結構な兵力になるし、私たちからすればちょうどいい食料なワケ。悪いけどそっちで確保するか、どこにいるか調べておいてくれない?



「あ、もちろんこの鍋の中にいるのならそれでいいからさ。」


「ちなみにどうなさるので?」


「そりゃ不死ちゃんにお願いして『不死化』させて。永遠のごはん……。的な?」



私がそういうと、ちょっと顔を青くしながら『捕虜に聞いておきます』というドロテアちゃん。いやごめんね? グロテスクな話しちゃって。でも私たちにとっては結構な死活問題でさ……。エウラリアに頼めば普通の家畜とかにも『不死』が適用できて、延々とお肉にすることもできるらしいんだけど……。



「まぁあんまりよくないでしょう?」



そのあたり個々人の価値観とか、この世界における価値観で違いはあるだろうけど、いわば延々と身をそがれるような思いをさせるわけだ。それならまぁ痛覚がないっぽい蜘蛛で魔物の奴に食料役やらせた方がよさそうだし、母体? 女王? まぁそれを確保してしまえば『不死』に頼らずともそのあたりの問題が解決できるかもしれない。



「というわけでお願いね? 私にできることがあったら何でもやるから。」


「かしこまりました。上にもその旨伝えておきます。それで、これはすでに軍師殿にもお伝えした案件なのですが……。」


「厄介ごと?」


「はい。確保した捕虜から入手した情報なのですが、どうやら共和国は侵攻前に各国へと『ナガンに戦争を仕掛ける、諸君も参戦願う。』という文をばらまいていたそうで……。想定よりも早く“包囲網”が形成される可能性があるとのこと。」



ん~。そっか。


包囲網、まぁ早い話私が所属しているヒード王国含めたナガンと獣王国を合わせた三国連合。これを周辺国すべてで囲んで叩いてしまおうってものだ。軍師の話じゃほぼ100%の確率で成立するって感じの話だったし、それに向けての準備を進めてたみたいだけど……。


共和国が攻めてきたことでそれが早まる可能性が出て来たってことか。


……もうちょっと考えて動いた方がよさそうだね。



「あのさ、ドロテアちゃんの後ろにいるのって……。」


「ご挨拶遅れ申し訳ございません、北部方面軍を預からせていただいております。ブルサンと申します。」


「あぁ、ごめんね。んでちょっと聞きたいんだけどさ。対共和国の戦線って今後どうなりそう? まだあっちが攻めてくる可能性ってある?」


「……私見にはなりますが、その可能性は薄いかと。」



やっぱりか。


なんでも共和国の性質的に、攻勢に出る際は全軍をもって動くことが多いらしい。これは軍人だけでなくただの一般人も血の気が多く防衛戦争となると住民全員が死兵となるため、あまり防衛線力を置かなくてもいいっていうあっちの考えから来てるみたいだけど……。


まぁ早い話、私がある程度削ったことで相手の継続戦闘能力はかなり削ることができたと考えられる。つまりあっちから攻められる可能性が減るわけで、ナガンが北部に展開していた兵力を他に送ることができるってわけだ。



(北部はこれで終わり。東部は私たちヒード王国なので兵力を割く必要性はなし。南部は高原へと続く森林に面していたはずだから、囲まれたとしてもナガンが対応するのは西部方面のみになる。)



あの軍師がいる国だし、ある程度の兵力の余裕があれば足止め時間稼ぎくらいはやってくれるだろう。


私たち三国連合が所有する特記戦力は今3つ。私たちダチョウと、軍師と、エウラリアだ。だが軍師は直接的な戦闘能力を持たず、エウラリアは私から離すと何をしでかすか解らない人間だ。自分の欲に忠実で、おそらく私から離れることを嫌うだろう。


それに、彼女の能力は子供たちの保護に必要不可欠だ。そういう意味でも私たちは固まって動く必要がある。



(となると。軍師が抑えている間に、私が遊撃として各国を回って敵の戦力を削っていくのが望ましいわけか。)



今回の対共和国戦のおかげでナガンは一方面だけに集中できるようになった。そして私が所属するヒード王国はすでに一方面。北部方面のみを気にしておけばいい。東の獣王国は従属国化してるし、西のナガンは同盟国。南は相変わらず高原だからね。



(つまり……、獣王国か。)



現在獣王国に特記戦力はいない。それにかの国は北部と東部に潜在敵国を抱えているという。獣王がまだいた時代は食料供給の兼ね合いや、対帝国などで協力関係にあったそうだが……。ヒード王国の従属国になったことでそれが一時途切れてしまっている。


ルチヤに聞いたんだけど、貿易自体は再開したけど色々と緊張が高まっていたみたいで包囲網が完成してしまえば即座に戦争になってもおかしくなかったようだ。



「っし。そうと決まれば用意しておいた方がよさそうだね。ねぇドロテアちゃん。悪いんだけどこの後獣王国に行こうと思うんだけどさ、通信の魔道具であっちに転移用の魔法陣作るように言っておいてくれない?」


「かしこまりました。すぐに手配させます。」


「悪いね。」







 ◇◆◇◆◇






ここは、獣王国。


力こそ全て、という風潮漂う国家ではあったが、統治者が変われば国風も少しずつ変化する。先代獣王からルチヤ、ヒード王国へと変化したことで各種制度が変化。ある程度の混乱はあったものの、大きな暴動にはつながらずそれまでと同様に安寧を享受していた。

 

これも偏に、ルチヤが『せや! 私が直接統治するんじゃなくて、ママから信任された形式で統治しよ!』と思ったからに他ならない。(実はヒード王国自体もその形式にしようとしたのだが、流石にレイス本人や宰相、各大臣からSTOPされた。隙を見てまたぶち込む予定。)


確かに先代獣王に心酔していた者、かのヒード王国侵攻に参加していた者の親族たちは少なからず心に抱くものがあったようだが、彼らが強者に惹かれる性質を持つのも事実。


自然と彼らの間に『レイスっていう人が新しい獣王様で、その娘? のルチヤって子が宰相してるのね。』という認識が出来上がっていた。また出所不明の噂、『新しい獣王様は子育てで大変だから娘さんが実質的な統治してるみたいだぜ。』だったり、『子供300人もいるんだって、多産な種族なんだなぁ。』というモノが出たりしていた。


そんな獣王国の王都では、とある噂が流れていた。



「なぁなぁ。獣王様がこっちくるって噂を聞いたんだが……、いつなのか知ってるか?」


「あ~、わりぃ、そこまでは知らねぇや。だけどなんか、子育てがひと段落したからこっち来るんだろ?」


「そうなのか? 俺が聞いた話では防衛戦争の対応って聞いたが。まぁいいやとりあえずその果物いっこくれや親父。」


「はいよ、銅貨三枚ね。」



獣王国は現在ヒード王国の支配下にあるが、ナガン王国の影響も受けている。どこかの軍が動き始めれば噂は広がり、どんどんと尾ひれがついて拡散されていく。まぁ早い話、レイスたちが獣王国に来るということがすでに漏れていた。



「にしてもえらい盛り上がりようだよなぁ。俺も噂聞いて王都まで飛んできた身だけどさ。これほどまで集まってるとは思いもしなかったぜ。」


「まぁなぁ。この前……、確かアンデッドだったか? ほら先代獣王様の死体を操ってたとかいう極悪人。そいつの討伐で一回こっちに顔出してたみたいだけど、その後すぐに帰られちまったからな。」


「へぇ! それは知らんかった。つまり待ちに待った、って言う奴だな!」



ヒードやナガンの資本が流れ込んだことで、獣王国の景気は少しずつ上昇している。そのせいか民たちの顔は明るく、どのようにして新しい獣王を迎えるか、またいかにして新しい獣王の顔を拝むか、という話にシフトしていった。


噂と言っても、本来ここまで早く伝わるものではない。なにせ共和国の侵攻からまだ数日も経っておらず、戦後処理というか食事カニの処理で『もう当分カニ食べたくない。誰だよ一気に二万匹ゆでた奴』とかレイスが言っている最中。しかしながら王都には数多くの獣人が集まっていた。


それもそのはず。軍師はレイスが獣王国に向かうことを理解していたし、自身もそれが最適だと理解していた。故に先んじて魔法陣の設置を指示しながら、潜ませていた諜報員たちに情報の発信を指示。獣王国の周辺国が安易に攻め込まないように、『レイスが獣王国に来る』という噂を流していたのだ。


特記戦力はその存在だけで、抑止力となる。先のヒードへの侵略戦争の傷がまだ癒え切っていない獣王国を守るには、最適のすべであった。



「にしてもどうなるんだろうな。前の獣王様の時は兵士さんたちと一緒にパレードしたって話だが……。今はもういないんだろ?」


「だよなぁ。それにまだ小さい子供がたくさんいるって話だ。その面倒見ながら国のことできないってことだから娘の一人に任せてた、って話だし。そういうのはない感じかもなぁ。」


「でもよ。確か今ヒード王国とナガン王国の二つと同盟してて、獣王様ってのはその頂点にいるんだろ? それを考えたらすげぇパレードとかするんじゃねぇか? ほら子供とかはベビーシッターってのに任せてさ。」


「あ~、確かにそう考えればあるかもなぁ。……そうだあんちゃん。今暇か? もしパレードがあったときにのために通りの飾りつけとかしようぜ! ほら旗とか色々並べてさ。」


「いいなソレ! どうせならもっと多くの奴集めてやろうぜ! もし無くってもせっかく王様迎え入れるんだ! 飾り付けぐれぇしといたほうがいいだろ!」


「ちげぇねぇな!」












〇レイス

もうカニ見たくない……。ちゃんと完食して埋め立てて置いたけど、ちょっとこの辺りカニ臭いから我慢してね……。うっぷ。


〇ダチョウちゃんたち。

まんぷく。うれしい。


〇アメリア&ドロテア

馬よりもデカい蜘蛛合計二万を食べつくしたのでかなり引いてる。(なおダチョウの群れ全体で約3割。残りを無理やりレイスが食べた。)


〇軍師

やる事やっておきましたので後はよろしくお願いいたします。さて、私は西部戦線の再構築と参りましょうか。特記戦力上位級の相手ですが……、なんとかしてみせましょう。


〇獣王国

Welcome to ようこそ獣王国パーク!





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