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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

脳内にあふれ出した存在しない1シーンを出力

「ふざけんじゃ、ねぇ……」


よろよろと、少女が立ち上がる。

最早勝敗は決した。はたから見れば、千人が千人そう言うだろう。

そう思っていないのは、少女と、それに相対する侍その人しかいない。


「もうやめろ、だぁ……? それを決めんのはテメェじゃねぇんだよ……!」

「……」

「魔王様は、俺に命じてくださったんだ……その力で、お前らみたいなゴミ共を消し飛ばせって……」


目は霞み、脚は震え、しかし闘志は変わらず燃え盛る。

それを目にした侍は、しかしやはり、悲しげに見やることしか出来なかった。


「ハ、スカした顔しやがって……ウゼェんだよ、その目……!」

「……拙者は、そなたを助けたい」


爆炎。

その着弾点。煙が晴れたそこには、やはり変わらず侍は立っていた。


「……やりきれんのだ。そなたのような幼子が、このような力は……あまりに惨い」

「知ったことかよ……俺を助けたいならテメェが死にな」

「それは出来ぬ。拙者は勇者殿を助けねばならぬ……」

「なら交渉決裂、だなァ……!」


再び少女の手から、意志持つ炎が吹き上がる。

自らの記憶を代償とし全てを焼き尽くす獄炎。その力を目にした侍は、悲しげに目を閉じ。


「……そうか。致し方あるまいか」


そして、開いたその眼には、最早迷いは無かった。


「……ハハ。そうだ、それでいい! もう出し惜しみはしねぇ! 全部持っていけよ、"ブレイジングメモリー"! 」

「……弱いな、我は」

「俺の記憶全部使って、あのクソを焼き殺せェェェェェーーーーーーー!」

「"明鏡止水"」


都合三度目。そして、これが最後。

灼熱と吹雪がぶつかり合った。








消える。消えていく。

俺の記憶が。


生まれた頃の記憶。

村で暮らした記憶。

城で暮らした記憶。

戦った記憶。

……魔王様に、初めて褒めてもらった時の記憶。


大切にしまっていた記憶。

大切にしていたはずの記憶。


全部全部、等価値に。

消えていく。


なあ、頼むよ。

勇者を殺すまでとはもう言わねぇ。

あいつさえ。

あいつさえ殺せりゃいいんだよ。

そしたら、きっと魔王様に褒めてもらえる。

よく頑張ったなって。

あの時みたいに。

……あの時ってなんだっけ。


この眼の前にいるやつって誰だっけ。


勇者って、誰だっけ。


ま王様って、だれだっけ。


わたしって、なんだっけ。


なんでこんなこと、してるんだっけ。


わからない。なにもわからない。

でも、わたしにのこったさいごのきおくが、こいつをころせって、さけんでいる。

ブレイジングメモリーをつかって。

だから。

だから……

だから…………


……ぶれいじんぐめもりーって、なんだっけ。









唐突に、炎が止んだ。


「っ、ハァッ、ハァッ……!!」


それと同時に膝を付いた。

酸欠と魔力欠乏で倒れそうな苦しみを必死に堪え、少女を見やる。


少女は俯いたまま動かない。

戦意も感じられない。

いや、それどころか……。


「……ぅー?」

「!」


そこにいたのは、無垢であった。

何も知らぬ童のような、純真で曇り無き眼。


「ぁー?」


少女がそうなった理由にはすぐに思い至った。


ブレイジングメモリー。彼女の持つ力は、記憶を"消費"して爆発的な火力を生み出し攻撃するもの。

自分を殺すために火炎を放射し続けた彼女は、全ての記憶を使い切ったのだ。

少女の人格を形成するものすらだ。それは……それはつまり。


「っ……!」


思わず握りしめた拳から、血がしたたり落ちる。


少女は死んだのだ。

肉体的な話では無い。少女を構成するもの全てが消えたのであれば、それは死と同義であるのだ。


結局、救えなかった。

その力を持っていること、その力を使い続ければどうなるかを知っていること。

知ったとてどうにもならぬ。さりとてどうにかして救いたかった。

しかし結局は何も解決策を見出せぬまま、己が目の前で死ぬことをむざむざと見届けるはめとなってしまった。


「ままならぬものよ……」


大局的に見れば。

敵幹部を一人倒したのだ。勝利といって差し支えないのであろう。

どうにかして力を使わせずに倒す、彼女からの敵意を考えればそんなことは不可能だったのであろう。

勇者殿のためにも死ぬわけにはいかぬ、そう思ったが故に全てを拙者へぶつけようとした彼女を倒すこと自体には迷いも無かった。


しかしこの胸の中に残る無力感は、どう言い訳しようと消えることは無いのだ。


「さむ、らい?」

「!」


気づけば少女が、目の前にいた。

俯いていて気付かなかったのだ。なんと無警戒なことか。


「ないて、る?」

「な」


少女の細い指が、拙者の目元をぬぐう

……泣いていたというのか。拙者が。


「なく、かなしい……」

「……」


ああ。そうか。

少女の記憶は、消え失せたのだろう。だが最低限の会話能力や優しさのような、無意識に消えない記憶もあったのだろう。


わかっている。これでならば救えたのだなどと言うような恥知らずな真似は出来ようもない。


救われたのは拙者の方だ。


無力な拙者であれど、ここから築き上げることはできるかもしれぬ。


「ああ、すまぬ……ありがとう、少女よ」

「んーん」

「そなたは……ここから、行く当てはあるのか」

「わからない……わたし、だれ? おにいさん、わたしのこと、しってるの?」

「全く知らないわけでは無い……拙者は少し用事があるが、その後でいいなら……一緒に行こう」

「……いく」


少女の手を取り、歩き出す。一旦は馬車まで戻り、少女に少し待つように言い含めねばならぬ。


この先何が待ち受けようとも、少女の行く手を阻む困難を打ち払おう。

それが拙者の……。

どういう風に設定を膨らませていったかの思考のメモなので興味無ければスルーでOK




ブレイジングメモリー=燃え上がる・記憶

ということで記憶を燃料に爆発的な火力を生み出す能力ということに


記憶を消費するという設定から、最終決戦で自身の全ての記憶を使ってただ一人を焼き殺そうとするもどうやって能力を使うかすら忘れてしまうという場面が思い浮かんだため、どうやってそのシーンまで持っていくかその周辺を肉付けしていく形に


まずキャラクター

この手の能力は敵側の方が持っていた方が、また男性よりも女性、それも年齢的に若い方が悲しさが増すのでブレイジングメモリーを使うのは敵の少女に決定

そうすると相対するのは主人公サイドで、相対した時に絵になるので男性に決定

相手を追い詰めなければならないので熱に強い能力があるといいか、ということでそれっぽい1単語無いかなーと思って一番先に思い付いたのが「心頭滅却」だったので男の侍に決定(のちに明鏡止水の方が強い技に見えるかなーということでそちらに)


次に場面

全ての記憶を使ってしまうような状況ということで、追い詰められた少女が最後に使うというシーンに決定

侍が実質的にメタ能力を持っているなら戦況は侍が優位に進めているはずで、でも倒し切れていない状況ってなんだろう→侍が少女を殺したくない?→記憶を代償として使う力のことを知ってしまっている?、という想像で冒頭のような形に

あとはぶつかり合うまでの会話と少女の独白を適当にそれっぽく書いておしまい

だったのだが落ちとして何か欲しいなと思ったのでその後のシーンを適当に作ることに

正直書きたいところは「……ぶれいじんぐめもりーって、なんだっけ。」のところまでだったので、その後のシーンはガバが多い気がする

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