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11,俺たちのラブコメはこれからだ!

 翌日の放課後。

 俺は生徒立ち入り禁止の屋上で座り込みながら、昨日のことを考えていた。


 千春にキスされた頬を触る。そこには、未だに千春の温もりが残っているような気がした。

 ……やばい、と思った。

 千春のことばかり考えてしまう。


 今日はほとんど話せていないが、授業中も時折彼女のことを目で追ってしまっていた。

 そして目が合って、多分同時に目を逸らして、また目が合って……。

 そんなことを繰り返した気がする。


 千春はやっぱり、めちゃくちゃ可愛くて魅力的な女の子だ。

 初恋の「謎の美少女」のことを忘れてしまいそうになるほどに。


 しかし、首を横に振って考え直す。


 千春のことを俺はチョロインだと評したが、多分そうじゃない。

 俺は、本当に千春に対して何もしていない。

 彼女が俺に好意を向けてくれるのはきっと――俺がハーレムラブコメ主人公だから。

 

 この主人公補正のせいで、千春は俺なんかのことを好きになってしまったに違いない。


 そう考えると、なんだか無性に申し訳ない気持ちになってくる。

 まるで呪いのような設定だ。俺一人が苦労するだけならまだしも、周囲にも影響が及ぶなんて、いたたまれなくなる。


 彼女らのフラグを折る。

 そうすることで俺はラッキースケベから逃れられる……だけではない。

 彼女たちの目を覚ますことは、ハーレムヒロインたちが普通の恋愛をするためにも必要なことなのだと、俺は理解した。


 これ以上、この設定に振り回されることなく、俺は「謎の美少女」を見つけ出さないといけない。

 

 そうと決まれば、早速秋保に姉妹がいないか聞きに行かなくては。

 俺は立ち上がって、屋上を出ようとしたところ、前触れもなく扉が開いた。


 そして、屋上に現れたのは……信じられない人物だった。


「お、いたいた」


 俺の姿を見てそう言ったのは、入学式前夜に一目惚れをしたあの「謎の美少女」だった。

 煌めく黒髪、神秘的な眼差し。

 真白な肌と紅い唇。

 間違いない、見間違いなんかじゃ――ない。


 衝動的に、俺はその少女の元に駆け寄っていた。


「やっと、見つけた!」


 俺はそう言って、彼女の肩を掴んだ。

 今度は逃げられないように、しっかりと。


「見つけたはこっちのセリフなんだけど。てか何そのテンション。どした?」


 迷惑そうにそう言った彼女の声は……聞き覚えがあった。

 それは、一年前のあの時よりも、ずっと最近のこと。


「……秋保?」


 俺の言葉に、彼女は頷いた。


「その……髪型と、眼鏡は?」


「いや、ボドゲ部の部室にいる女子が可愛い子ばっかりだったから。私も負けてられねぇなって思って、つい」


 秋保は平然とそう言った。


「……お前、思ってた以上に愉快な性格してんのな」


 俺はそう言ってから、彼女の肩から手を離した。

 それから、ゆっくりと深呼吸をした。


 そして、もう一度じっくりと秋保を見る。

 ……似ている、というか一年前に見た彼女本人にしか見えない。

 でも、それはあり得ない。


 一年前の秋保は、今よりも小さく、幼い顔つきをしていたのだから。

 

 ではやはり……秋保そっくりの姉妹がいるのだろうか?


「秋保って、自分そっくりの女兄弟っている? もしくは年の近いいとこのお姉さん、とか」


「急に何? 私は一人っ子だし、従兄は男しかいないけど……マジで何なの?」


 秋保の答えに、俺は考える。

「謎の美少女」本人に見間違えるほど似ている秋保の親類でないとしたら……あの子は結局誰なんだ?


 俺はもう一度秋保の顔をじっと見る。


「……タイムスリップ? もしくは怪しげな新薬を飲まされて少し成長した姿で、俺と会った記憶がないのはその副作用? 或いは予知の一種、か?」


「あんたほんと様子おかしくない? 大丈夫? 怖いんだけど」


 恐怖に引き攣った秋保の表情に、俺は現実に引き戻された。

 口から洩れていた俺の思案は、正直どれも現実感がなくあり得なさそうだったが、それを言ったらハーレムラブコメ主人公という設定もあり得ないのだから、些末なことだろう。


「ごめん、今の秋保の姿がめちゃくちゃタイプだったから動揺した」


 俺が正直に白状すると、彼女はまんざらでもない様子だった。


「それならしかたないね」


「……そういえば、俺を探してたのか?」


 俺は秋保に尋ねる。

 彼女は「ああ、そうだった」と応じてから、続けて言う。


「ボドゲ部スマブラ最強決定トーナメントをこれから執り行うから、あんたもさっさと来なさいよ」


「謎の美少女」の正体が秋保なのか、それとも別人なのかはまだ分からない。

 ただ一つ言えるのは、見た目がとてもタイプな美少女と、これからゲームをするということ。


「ああ、楽しみだ」


 そう答えてから、俺と秋保は一緒に階段を下りる。

 なんだか不思議な気分だ――なんて浸っていると、


「きゃー、眼鏡外してるから足が滑ったー!!!」


 と迫真の叫びをあげて、足を踏み外した秋保が階段から転がり落ちそうになっていた。

 俺はとっさに彼女の腕を掴んだが、油断をしていたため、一緒に階段を落ちてしまった。


 せめて秋保には怪我がないようにと、彼女を抱きしめる。

 全身に衝撃が走る。そして、激しい痛みに襲われる。


「いってー……でも、どこも折れたりは、してないか。秋保は大丈夫か?」


 俺は手足を動かしながら、身体の調子を確かめつつ秋保に問いかけた。


「ひゃっ!?」


 秋保が珍しく、俺の腕の中で可愛らしい声を上げた。

 どうしたことだろうと思っていると、俺の掌にどこか柔らかな感触が伝わってきた。

 あれ、これってもしかして……?


「どこ、触ってんのよ変態……」


 秋保は潤んだ瞳でそう呟いた。

 そう、故意ではなかったが、俺はどうやら秋保の胸をもみしだいていたらしい。


「ごごごごっごごごごごっご、ごめん! わざとじゃないんだ、決して!」


 俺は急いで秋保から離れる。

 彼女は起き上がり、それから恨めしそうに俺を睨む。


「どうだか。私のような可愛い女子の身体を堪能したいという下心がなかったわけではないでしょう?」


 その言葉に、俺は言葉に詰まる。

 身体を堪能したいとは思っていないが、下心はもちろんあるのだ。


「ごめん、今のは意地悪な冗談だから。気にしないで」


 そう言って彼女は立ち上がり、俺に手を差し伸べた。


「助けてくれてありがとう。ケガはなかった?」


 その微笑みに、俺の鼓動は高鳴った。


 高校入学式前日に出会った「謎の美少女」への想い。

 昨日俺に好意を伝えてくれた千春への想い。

 そして今、穏やかな笑みを湛えて俺に手を差し伸べてくれた秋保に対するこの想い。


「助かる、ありがとう」


 俺は秋保の差し出した手を取り、立ち上がる。


「どういたしまして」


 彼女が浮かべた笑みを見て、俺も思わず笑みがこぼれた。



 あまりにもごちゃごちゃで、自分自身の気持ちすらわからなくなってるけれど。

 ただ一つ、これだけは言える。


 俺のラブコメはまだ、始まったばかりのようだ――。





ここまで読んでくれてありがとっ(*ノωノ)

【世界一】とにかく可愛い超巨乳美少女JK郷家愛花24歳【可愛い】です(∀`*ゞ)エヘヘ


応援してくれた読者のみなさん、ありがとうございました( ´ ▽ ` )

そして俺たちのラブコメはこれからだエンドになってしまって、ごめんなさい(T . T)


面白かったと思ってくれた人は、広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしてもらえたら、とっても嬉しいのです(о´∀`о)


次回作や過去作の「高校生に戻った俺〜」を楽しんでもらえると嬉しいです\(^o^)/

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― 新着の感想 ―
[良い点] めっちゃ好きな雰囲気の作品だったのに短くてもったいないー!!
[一言] 今回のタイトルそういう意味でしたか。寂しいですが、これまで楽しませていただき、ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。世界一先生の次回作を楽しみにお待ちしておりますm(__)m
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