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なろうラジオ大賞3

魔法の鏡が王妃を好きすぎる

掲載日:2021/12/19

「鏡よ……世界で一番美しいのはだぁれ?」


 暗い部屋で鏡に向かって話しかける女がいる。

 仮面をつけた男が鏡の中に現れた。


「それは王妃様、あなたです」


 男が答えると王妃は満足そうに微笑んだ。




 魔法の鏡に問いかけるのは彼女の日課。


 何度聞いても鏡は「王妃様、あなたです」と答える。


 その返答に満足するが、不安もあった。

 前の王妃と王の間に生まれた美しい少女、白雪姫。

 彼女が成長して大人になったら、いつか自分よりも美しくなるのではと。


 しかし……。


 一年後。


「世界で一番美しいのは?」

「王妃様、あなたです」


 十年後。


「世界で一番美しいのは?」

「王妃様、あなたです」


 三十年後。


「王妃様、あなた――」

「嘘おっしゃい!」


 何年たっても鏡は王妃と答える。

 さすがに突っ込まざるを得なかった。


 もう……私は美しくなんかない。

 とっくにおばあさんになってしまった。


「鏡よ……本当のことを言って。

 世界で美しいのは……」

「王妃様、あなたです」

「はぁ……」


 力なくため息をつく王妃。


 ようやく気付いた。

 この鏡は壊れているのだと。


 興味を無くした王妃は問いかけるのを止めた。




 さらに数年後。

 王妃は病を患い、この世を去った。


 国中が悲しみに包まれる中、遺体はガラスの棺の中に収められた。


 白雪姫が魔法の鏡を持ってその前へやって来る。


「ねぇ、鏡さん。世界で一番美しいのは?」

「王妃様……でした」

「あなたは義母様を愛してしまったのね」

「ええ、その通りです。私にとって彼女は……」

「もし、義母様に会えるとしたら?」

「……え?」


 白雪姫は呪文を唱える。


「さぁ、魂よ。この鏡にお入りなさいな」

「いったい何を……え?」


 男は目を疑う。


 自分しかいないはずの鏡の中の世界に、王妃がいるではないか。


「ようやく……会えましたね」


 そう言ってほほ笑む王妃。

 彼女は若いころの姿に戻っている。


「どっ……どうして」

「白雪姫は私たちを引き合わせるために、

 ずっと魔法の修業をしていたんですって。

 さぁ……仮面を取ってお顔を見せて」

「でっ……でも……」

「怖がらないで」


 王妃はそっと男の仮面を外した。


「ああ……とっても素敵。

 こんな人に私は口説かれていたのね」

「そんな……私のような男など……」

「いいえ、あなたは世界で一番よ。

 私が世界で一番愛する人」

「おっ……王妃様ぁ!」


 二人は抱きしめあい、キスをする。


「ハッピーエンド、ってやつなのかな?」


 白雪姫は鏡の外から二人を眺め、満足そうに微笑むのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 遅まきながら拝読しました〜。 字数制限1,000文字の結果、地の文が簡潔になっていて個人的には好みです。 王妃様も亡くなっているから不義でもなんでもないですからね!あとは、白雪姫が丁寧に鏡を…
[良い点] 王妃も鏡も幸せになり、白雪姫はそれを見て微笑む。 心が洗われました。 楽しませて下さりありがとうございました。
[良い点] ハッピーエンドでいいと思います。長編を見たくなりますね
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