第27話 合否発表
いよいよ、合格発表の日が来た、
俺は悶々としながら、合格発表を待っていた。
それとは対照的にジャスミンの表情には一点の曇りもない。
俺は重い足取りで、ジャスミンは軽快にスキップをしながら合格者を知らせる掲示板を見に行った。
掲示板の上から高得点順に名前が掲載されているようで、真っ先に目に入ったのはジャスミンの名前だった。
ジャスミンは本当に満点で合格していたのだ――
俺は目をまん丸にして、ジャスミンの方を見たが彼女はさも当然という感じで全く驚いていない様子だった。
上から順番に合格者の名前を見ていくが、10人、20人と過ぎてもまだ俺の名前はない。
31人目……不合格――
その知らせを見て頭が真っ白になる。
合格者の中に俺の名前はなかった。
不合格――
頭の中で何度もその言葉を繰り返す。
元の世界でも一度経験したことのある、あの絶望的な感情が胸の奥から湧き出てくる。
社会から選ばれなかった疎外感、居場所を失う不安、様々な感情に襲われる。
「ねえ、見て!!」
隣でジャスミンが飛び上がって喜んでいる。
ジャスミンの合格はもう確認したはずだ。
隣に不合格の人間がいるのだから、少しは気をつかってほしい。
俺はムッとした表情でジャスミンを睨むと、ジャスミンは笑顔を滲ませて掲示板を指さしていた。
「あなたの名前、あるわよ!!」
一瞬ジャスミンの言っている意味が理解できなかった。
しかし掲示板をよく見ると31位以下に不合格者がずっと続いて37位の俺のところだけ合格になっている。
俺はしばらく狐につままれたようなポカンとした顔をしていた。
どういう理屈かは不明だが、俺は落第点で合格したらしい。
もしかしてこれって裏口入学ってやつですか――!?
その晩、俺とジャスミンはささやかな祝宴を開いた。
二人で喜びを分かち合いながら食べたミートパイは、一生忘れられない味だった。
しかし、このような幸せな時間はそう長くは続かないだろう。
すぐにつらく厳しい陸軍士官学校へ――つまりは軍人の道へ――進むことになるのだから。




