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31.開戦

 銀の森(プラータ・セルバ)がゆるやかに明ける。

 鏤められた星が輝きをなくして空へと溶け、夜はするすると帳をあげていく。

 冷え込んだ空気が少しずつ暖かさを帯び、朝靄が見え始める。漆黒に塗りつぶされていた森が、その枝葉の形を取り戻していく。

 早起きの鳥が目を覚まし、夜行性の獣が眠気を覚える時分。


 そのどちらでもないスノウは、相変わらずの不眠をこじらせて貫徹状態であった。

 普段から眠れたような眠れないような、そんな微妙な状態ではあるのだが、今朝は特に酷い。ネコの姿でなければ目の下にくっきりと隈が出ていそうである。


「本格的に、やばい……」


 明けゆく空を見つめ、スノウは呟く。

 不眠は大分改善されつつあるとスノウは思っていたのだ。

 事実、原因と思われた事象はある程度の解決を見ていた。

 飛び起きるほどの悪夢は見なくなったし、頭の中に響いていた『騒めき』は、幾度も繰り返しているうちに対処できるようになった。簡単に言えば慣れてしまったのである。

 これで少しずつでも不眠は解消されていく筈だ。

 そう期待していたスノウだったが、事態はいつだって上手く転がってくれない。

 昨夜の衝撃である。

 戦争の情勢を盗み聞くつもりが、うっかりエルの事情を盗み聞いてしまった。

 おかげで取り留めのない思考がぐるぐると頭をめぐり、睡魔とは終ぞ出会えずじまいだった。

 エルが「エル」ではない可能性。

 それは、本来ならばスノウが気に留めることではない。それが重要な意味を持つのは、スノウよりもこの城の魔物たちだ。これまで主と定めてきた相手が、いつの間にか別人に摩り替わっていたとすれば。それを知る魔物たちの混乱は想像に難くない。

 魔物たちは動揺するだろう。

 人間との戦争を控えている今、それはとても良い「材料」になる。

 城の根幹を揺らすのだ。力の上で人間に勝るだろう魔物たちの、勢いを殺ぐには十分すぎる。

 勇者たち人間の、勝利を導けるかもしれない。

 『勇者』としてそう考えなかったかと言われれば、嘘になる。スノウ自身の動揺とは乖離した場所で、冷静な声がそうすべきだと訴える。

 けれど、そうすることができない『自分』をスノウは自覚していた。

 ネコだから、という理由だけではない。それを「材料」にしたくないと思っている自分がいる。

 エルが何らかの企みを持って、現状を作り出している可能性もある。そう分かっていても、もしかしたらエルもまたスノウのように何かを抱えているのではないかと勘繰ってしまうのだ。

 これまで己が散々「別人のよう」と言われ続けて来たから。

 詰まるところ、スノウはエルに同情めいたものを覚えていた。

 スノウと同じような葛藤や、苦労をしてきたのではないかと。あくまでも想像の上でしかないが。

 スノウ自身、こうしている今も自分は「誰」なのか不安でならないのだ。

 魔法が使えるようになってからこちら、「スノウ」とは思えない出来事が続いている。

 魔法文字が読めず、魔法は使えた程度だった「スノウ」。けれど今のスノウは、当時よりも魔法を知っている。どんな魔法を使っていたのか記憶はないが、それでも当時よりも魔力は上だろう。魔法石を所持していたことが証拠だ。あれは別段魔力がないスノウのためにと仲間が持たせたわけではない。元々スノウの荷物にあったものだ。記憶を喪うより以前から、スノウは魔法石で魔力を増幅させて魔法を行使していた。

 それはつまり、スノウの魔力は本来そう高い方ではなかったということ。「使えた」程度の魔法を行使するのに、増幅させなければならなかったのだから。

 だが今のスノウは、魔法石の加護もなしに転移や部屋の鍵を外したりしている。

 どう考えても、色々なことがおかしい。

 それらが示すのは、スノウが「スノウ」ではないかもしれない可能性だ。

 そう考えると、エルのことも決して他人事だとは思えなかった。


「甘いなあ……」


 千載一遇の機会を逃している自覚はあった。人間を勝利に導く、或いはスノウ自身が人間に戻る、格好の「材料」。それを使わずに、こうして抱えて悶々としている。ならばどうしたいのかと問われても、正直スノウにはわからなかった。

 抱えたままではいられない。

 けれど使う気はなく。

 色が変わりつつある遥か遠くの空を眺めながら、つらつらと考えているスノウの視界をふと何かがよぎった。

 明けはじめたとはいえ、外はまだ夜が濃い。

 夜行性の獣かなにかだろうか、と思い窓から覗きこむ。夜目の利かないスノウでは、何かがいたような気がする、という程度の視界でしかない。

 大したことでもないと片付けようとして、急に背筋に悪寒が走った。

 慌てて周囲を見回す。

 未だ闇に沈んだ室内は、先ほどと変化はない。エル不在の執務室。それだけだ。

 悪寒を感じるような要素はどこにもないはずである。

 あるとしたら、先ほど見かけたかもしれない『何か』。


「……気のせいだよ」


 敢えて口にしてみる。

 だが、胸の中にひろがる嫌な予感は消えない。体の毛がすべて逆立っている自覚があった。己の尾は、常の二倍以上の大きさに広がっている。

 ただの見間違い、或いは動物の影。

 常識で考えればそのあたりが妥当だと思う。戦争の気配におびえる自身の心が見せた幻だと。

 そこまで考えて、常識って何だと反発する声を聞く。

 思えばこの城にきてからスノウの常識はことごとく覆されてきた。自分の常識が正しいのか、はっきりいって自信がない。まして、スノウには数ヶ月前の記憶がないのだ。スノウをスノウたらしめたであろう、生まれ落ちてからつい最近までの記憶が。


「……確認、した方がいいよね」


 だからそう呟けば、その言葉はしっくりと胸に落ち着いた。

 不安なことは確認するに限る。

 一人頷きながら、スノウは窓から飛び降りる。窓から見える範囲は限られていた。(くだん)の場所を再確認しようにも、暗さも手伝ってあまりよくわからない。視力の限界だろう、相変わらず何かが見えるような見えないような曖昧な感じである。

 扉に歩み寄り、身体を預けて気付く。

 鍵がかかっていた。

 二度目の施錠である。しかもどうやら前回よりも厳重にかけられているようだ。

 因みに前回は見つかる前に部屋に戻ることができた。

 だが、外した鍵を再びかけるなどという器用なことはできなかった。魔法で外せたのだから魔法でできないものかと試してはみたが、何でもかんでもどうにかなるものではないらしい。魔法以外となれば、ネコであるスノウにできることなど殆どなく、結局鍵はぞんざいに外されたままの状態で翌日アイシャに発見された。首を傾げたアイシャは、金色の目を細めてスノウを暫く凝視し、何事もなかったかのようにスノウの食事を用意していった。内心冷や汗をかいていたスノウは安堵したが、その反応が逆に怖かった。

 そんなこともあって、今回は厳重に施錠されてしまったらしい。

 これはどう考えても疑われている。ここで再び鍵を外せば、決定打である。

 さすがに躊躇する。

 魔法が使えることを公言しているようなものだ。上手く騙せるとは微塵も思えない。

 悩みつつもちらりと視線を遣ると、己の尾はまだ逆立ったままだった。

 スノウはそっと溜息をつく。このまま何も気付かなかったフリをするのは簡単だ。けれどその後を想像すると、やはり確認したほうがいいと思う。

 目を伏せて、頭に浮かぶ呪文をそらんじる。転移の呪文だ。相変わらず何処から出てきた記憶だかスノウにもわからない。

 目指す先は一度だけ迷い込んだ下の階層だ。位置としては城の中層にあたり、主に魔族が居住している。そこまで下ればもっとよく見えるかもしれない。

 歪むような感覚は既に慣れ親しんだものだ。その感覚が正常に戻り、ゆっくりと目を開ければ見覚えのない部屋にいた。

 ざっと辺りを見回して、人影も気配もないことに安堵する。

 薄暗い部屋だった。色々なものが雑多に積まれている。どうやらこの部屋は物置として使用されているらしかった。窓にはカーテンすらかかっていない。

 スノウは注意深く床を歩き、窓辺に飛び乗った。

 見下ろすと、先ほど何かがいるように思えた場所に、はっきりとした人影が見えた。

 城の側面、壁しかないようなところに、四つの人影がある。

 彼らは一箇所で額を突き合わせ、真剣なやりとりをしているようだ。城の警備だろうかと首を傾げるが、それにしてはそのいでたちが妙だ。

 四人のうち二人は、つま先まで覆うような衣服を纏い、目深に被ったフードで顔を隠している。所作もどことなく落ち着きがなく、姿を見られることを恐れるような様子だ。残る二人の方は特にこれといって不自然な感じはなかった。鎧などで武装し、顔も隠していない。

 首を傾げて見つめるスノウの前で、二人の魔物が壁の中へ姿を消した。

 どうやら、その位置に何らかの出入り口があるらしい。

 フードを目深に被った二人もその後に続くつもりのようだ。周囲を見回し警戒する素振りで、何事か会話している。

 その光景は明らかに不審だが、危険かどうか迄は判断できない。

 無意識に唸りながら、スノウは更に目を凝らす。

 眼下で、二人の人影は壁の中へと入っていった。その際、一人が再度周囲に視線を走らせた。反動と、折からの風でふわりとフードが揺れる。

 つかの間晒されたのは、栗色の髪と際立った特徴のない凡庸な容姿。やや慌てたようにフードを押さえ、人影は壁の中に消えていく。


「……あれは」


 その瞬き程の間に目にした姿に、スノウは覚えがあった。

 およそ人の印象には残りにくそうな、凡庸な姿。だが、それはスノウの中に強烈な印象を残している。恐怖と共に。

 エルのいけ好かない兄に付き従っていた男。竜の一族だという、その男は。


「――――へネス?」


 ばかな、と思うが、何度思い返してもヘネスとしか思えない。

 城にヴァスーラが来ているという話は聞いていなかった。アイシャが言わなかっただけかもしれないが、仮にそうだとしても人間との戦争を前にヴァスーラの訪問を受け入れること自体がおかしい。

 エルにはそれだけの余裕はないはずだ。

 協力を仰いだのだろうか、とちらりと考えてすぐに否定する。

 あれだけ警戒していた相手である。例え形成不利だとしても、否、不利ならば尚更助力など求めるはずがない。下手な軍隊より厄介な相手だとスノウの勘は告げている。

 そうなると、ヘネスがここにいる意味は。

 人目を避けるように、ひっそりと城を訪れる理由など、ひとつしかない。

 エルに知らせなければ、と真っ先に思う。

 正確な目的は分からないが、どう考えてもエルの得になることではないだろう。勿論、スノウにとっても。

 だが、偶然見かけたと説明するには状況が苦しい。エルの部屋からではへネスの顔まで見えるはずがないのだ。この場所まで移動した理由と手立てを探られるだろう。

 鍵を掛けられたままの部屋からどうやって移動したのか、まず問われる。

 とはいえ、このままへネスを放置しておくのはもっと恐ろしい。


「外に出ないと」


 躊躇いはすぐに消えた。

 へネスが侵入している危険の方が重要だ。追及されるのは間違いないだろうが、それはもう諦めるしかない。どうせ疑われてはいるのだ。こんなことがなくても、ばれるのは時間の問題だろう。

 スノウは身を翻し、部屋の扉に近づいた。

 思い切り押してみると、難なく隙間ができる。施錠されてはいないようだ。隙間から廊下を伺うと、人影はなかった。

 恐らく魔族の階層だろうとは思ったが、それにしては人気(ひとけ)がない。上の階層よりも圧倒的に多くの魔物がいるはずだというのに、随分と閑散としていた。

 下の階層には騒がしい印象があっただけに、少し拍子抜けする。

 不思議に思いつつ、廊下に出る。

 スノウはエルを探しにいくつもりだった。エルが彼専用の階層にいないことは気付いていたから、別の階層に移動しているのは間違いない。一番濃厚なのは現在地より上の階層、城の幹部たちがいる階層だろう。

 一度だけアイシャやスイに連れられて行ったことがあるが、幹部の階層ともなれば下手に移動すれば誰かに気付かれるだろう。スイやアイシャに気付かれる分には願ったりなのだが、他の幹部に見つかれば瞬殺されかねない。

 少し悩んで、スノウは転移の魔方陣を探すことにした。

 幸いなことに魔物の姿は殆ど見られない。魔方陣がある場所の見当はついている。大抵は廊下の突き当たりだ。不自然に闇に沈んでいる箇所があれば、それが目印である。

 となれば、廊下を進めばじきにたどり着く筈だ。

 そう踏んで、スノウは廊下を駆け出した。

 ネコの足で暢気に歩いていればいつになるとも知れない。人間との戦争が始まっていない今のうちに、エルに知らせなければ。

 そしてあわよくば、このまま人間との戦争を思い止まらせることができないだろうか。

 ヴァスーラが介入してくれば、人間と争っている場合ではなくなるだろう。

 上手いこと人間との戦争を回避できないかと考えていたスノウは、没頭するあまり気付かなかった。

 不意に脇から人影が現れる。

 誰もいないと過信していた為、スノウの反応は完全に遅れた。

 ものの見事に人影と衝突し、勢いあまってスノウは傍の壁にぶつかった。

 首元の鈴が甲高く鳴り、目の奥で火花が散る。


「あっネコ…!」


 衝突の相手は当然ながら魔物だ。スノウに気付いて動揺する。

 周知の事実とは言え、やはり驚きは隠しようもないらしい。困惑気味に周囲を見回し、気味悪そうにスノウを見遣る。

 スノウが首を振りながら身を起こしたのを確認すると、魔物は息をついてそのままそそくさと走り去って行った。


「痛ぁ……」


 その後姿を見送って、スノウはたまらず呟く。

 したたかに背中を打ちつけたらしい。ふらつきながらも歩行を再開しようとして、首を撫でる感触にはっとする。首に巻かれたリボンが緩んでいた。衝突の衝撃で結び目が緩んだようだ。

 衣擦れの音と共に、赤いリボンが首から落ちた。涼やかな音を立てて鈴が地面に転がる。


「……あ、」


 ゆらゆらと落ちるリボン。

 地面に落ちていくそれを、どこかで見たような気がした。

 今しがた目にした光景に別な映像が重なる。揺れる赤。落ちていく、赤い彩り。

 あれは何処だったか。

 赤いリボンが揺れ、緑の色彩に埋もれた。

 緑の色は草だ。丈長い草の、新緑の色。


「まって」


 誰にともなく呟く。脳裏で揺れる映像は、ともすれば消えてしまいそうになる。その頼りない残像を、スノウは必死に手繰り寄せる。

 待って。行かないで。

 見えない手を伸ばすように、記憶の奥へと手を伸ばす。

 待って、もう少しで思い出せそうなんだ。

 声にせず呟いた言葉と同時に、感覚が広がった。

 肌を撫でる冷たい風。

 視界に広がる空は、高く青く。

 その中を走っていく鋭い光と、弾ける閃光。

 目の前を過ぎって、緑の海に落下していくのは赤いリボン。

 否、あれは布ではなく――――。



 スノウの体が強張った。

 床に横たわったリボンを見つめていた両目が、ゆっくりと瞬きをする。

 青い双眸は揺れることなく前方を見据える。そこに宿るのは強烈な輝き――――まるで、別人のように。






 スノウが窓の外に怪しげな影を見つけ戸惑っていた頃。

 城の外では事態は更に進行していた。

 森の中は常と変わらない静寂に包まれていたが、その木々の影に見慣れない姿がある。

 体勢を低くし息を潜めているのは、鎧に身を包んだ兵士だ。

 一人二人ではない。よく見れば、森のあちこちに潜む気配がある。

 カディスに駐留していた、王国軍である。

 ガレオス率いる『白翼部隊』は昨夜のうちに、王国軍は未明にこの地へと到着した。ガレオスを指揮官に据えた本隊は現在、『正門』があるという城の西側に陣取っている。

 生い茂る下草と岩陰で息を潜めて彼らが見守る先には、漆黒の重厚な門。一枚岩を大きくくり抜いた観音開きの門には、鋭い突起物がついた鎖が幾重にも巻かれていた。篝火ひとつないそこを二頭の『門番』が寝そべる形で守っている。

 額に巨大な角をもつ、狼を思わせる魔物だ。夜行性で滅多に人前に現れることはないが、時折軍隊が駆り出されることもある「厄介な」魔物である。

 朝靄が周囲に漂い始め、僅かに軍隊が動いた。

 門の最も近くにいる兵士達より後方、木々を盾にするように身を潜めているのは、弓部隊である。彼らが護るような形で背後に控える十数人の魔法使いが、静かに詠唱を始めた。時を同じくして剣と盾で武装した歩兵が少しずつ門に近づいていく。弓部隊は矢を番え、射撃の体制に入った。

 無風だった森の中に、どこかからか一陣の風が舞い込む。魔法使いの詠唱と共に、風はあちこちから舞い込んでくる。どこか不自然とも思えるそれに、兵士の誰一人として気に留める様子はない。

 靄が風によってかき乱され、視界が濁る。

 『門番』が落ちつかなげに首を巡らせた。吹き付ける風と濁る視界に、何かを感じ取ったのだろう。夜行性である彼らは、夜と朝の境目にあたるこの時分が最も感覚が鈍る。それを理解しているからこそ、彼らは必要以上に周囲を警戒し始めていた。

 だが、朝靄が邪魔をして『門番』の視界に不審なものは映らない。低く警戒の唸り声を漏らしながら、のそりと体を起こす。

 最初の朝日が森の中に差し込んだ。靄に乱反射し、森の中が漂白される。

 そこに、風を切る音ともに矢が打ち込まれた。

 立て続けに射掛けられた矢は、過たず二頭の『門番』の急所をことごとく射抜く。逆光にもかかわらずその腕は正確だ。

 一頭が鳴き声一つ上げずに崩れ落ちた。もう一頭は額や目から矢を生やしながらも、その場に留まっていた。ふらつく足元で門へと近づく。そして、鋭い叫びを上げて重厚な門に激しく体を打ちつけた。

 間をおかずして、門が勢いよく開く。

 血まみれで絶命した『門番』の体を押しのけて現れるのは、魔物の大群だ。

 野生の獣に良く似た姿のものから、人間たちにとっては初めて目にするような魔物までが、開け放たれた城門から溢れだす。そのどれもが既に戦闘態勢なのは、初めて対峙する人間たちの目にも明らかだった。

 だが、構えた兵士達の顔に動揺は見られない。

 詠唱が一際大きくなり、弓が大きく引き絞られる。


「突撃!」


 兵士たちが一斉に門に押し寄せる。

 戦いの幕が上がった。



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