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第六十話 新たな未来へと向かって

約1年、か………長いような、短いような時間でした。

ダークファンタジーの難しさをまざまざと味わったような、そんな作品でした。

なーロッパの世界にデバイスが出てきたりもして、ね、変な世界観だったなとは思いましたが、伝えたいことは書けたかなと思います。


ここまでのご愛読ありがとうございました。

最後のシメ、ゆったりとお楽しみください。

 この日はシンバラエキア共和国の建国記念日。


式典が開催された後、初代大統領・フィレアは自らが起こした革命戦争・「スルムウォーの革命」戦没者埋葬墓地へと、人知れず訪れていた。


花束と、酒の瓶を持って。


他の戦死者への墓参りを済ませた後、霊山の頂上に眠る、ヨゾラの墓まで足を運んでいたのである。


10年が経過し、国は漸く安定期を迎えたところだった。


最初の3年は新体制を作り上げるために()()()()()()()に着手していき、貴族制度の廃止、徹底した不正の処理、個人経営で自由に財を成せるような体制へと作り変え、ソールワン族を始めとした()()()()()()()()()を認め、同盟も結んだりもしていた。


政治体制は二大党首制とし、フィレアはカトレアを補佐官に据えながら課題の内政に着手しながらも、自らの地位を犯そうとする反体制過激派を抑えるなど手腕を発揮していった。


そして共和国体制になってから4年、漸くヨゾラの理想たる国造りの準備が整い、経済活動、雇用、インフラの整備、外交にも力を入れ始め、8年目になる頃には理想体としていたジャポナと遜色ない国に仕上がっていたのである。




こうして今に至るのである。




ヨゾラの墓前に花束を置いた後、フィレアは酒を掛けた。


「なあ、ヨゾラ…………この国は生まれ変わったぞ………?? 10年も掛かったがな………君が目指していた、ジャポナのような………美しく、穏やかな国に、さ………」


墓石からチロチロと垂れ落ちる酒、そしてそれと同時に、フィレアの目からも涙が落ち出てきた。


「ヨゾラ………君がいなかったら………革命なんぞ成し遂げられなかったよ………君は………謙遜するだろうがな、大したことない、って、言いながら…………私は………君ともっと話したかった………君ともっと、一緒に居たかった………そして後進を………君に譲りたかった………………!! なあ………戦場での話を………もっと………聞かせてくれよな………ヨゾラ………!!」


込み上げてきたのか、瓶を持つ手が震えながら涙をフィレアは流していた。


そこにカトレアがやってきた。


「………ここに居たのですか、大統領。」


「………なんだい、カトレア………随分とその呼び名が板についたな………」


カトレアも、真新しいスーツを着て、佇んて居た。


フィレアもスーツを身に包んでいるものの、カトレアの方が華奢なため、スタイルがよく映えるものだ。



それは置いといて。



「………大統領、次のお仕事がありますが………いかがされますか?」


「………すまないな、すぐに_____って、君は相変わらずだな…………ヨゾラの好物まで持ってきていてなぁ………」


カトレアの手にはヨゾラが生前好物だったパフェが握られていた。


「………我が友を弔うのに、好物を用意しない愚か者は何処か、という話なのですが。」


「………まあ、一理はあるか…………早いな………もう10年か………」


「………ええ………。」


「………あの戦で多くの仲間が死んだが………得るものは大きかった………民の信頼という、変え難きものを………な………」


秋風が穏やかに吹く中、フィレアは懐かしそうに語った。


「………ええ………私も同感です。………大統領、次は法整備の会議です。お急ぎを。」


「………悪いな、与太話をしている場合ではなかったな、カトレア。デカい法案、か………だが国を大きく変える上ではチャンスだ。前を向いて進んでいこう!!」


「ハッ!!」


2人はこうして、ペキンシクル城跡地にできた大統領府へと戻っていった。


国を動かすための、未来に向かう法整備の会議へと。




そしてヨゾラの墓前には、パフェと折れた二振りの刀が置かれていたのであった。


少し冷たくなった秋風と共に、静かに時が流れていったのである……………。

なかなか、終わったという実感が湧かないですね………

ダークファンタジーを書いてみたい、と思ってタイトルを決める段階からグダグダのザマでしたからね………

そのあと評価もなかなか伸びなくて苦戦を強いられました、ですがモデルにした現代中国の実情を細かく書けたかな、と思います。

それだけでも収穫かな、そう自分でも思いますね。



ここまでのご愛読、本当にありがとうございました!!!

読者層「コア層」に届いていたのだな、と思うとホッとしたと同時に、実力不足も感じた作品でした!!!

ですがこの経験を糧にし、執筆街道を邁進していきたいと思いますので、わたくし黒崎吏虎の次回作及び、既存連載作品も今後ともお楽しみくださいませ!!!

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