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第五話 カショーラへ征く

カショーラは小都会で、風俗店が多い繁華街の街です。

ガルグは一章最大の敵になります。


登場人物紹介、今回はボスのフィレアです。


フィレア (女)

26歳

元シンバラエキア帝国将軍、現「ゲバラ」隊長

171センチ

57キロ

B88

W60

H85

好きな食べ物 米酒

趣味 異形狩り


革命組織「ゲバラ」隊長を務める女性。

顔にある大きな傷と左目の眼帯が特徴の利発的な女性。

ソールワン大戦で上記のケガを負い退役したのだが、本来は超実力者。(ちなみにヨゾラが9歳の頃である。)

ヨゾラと同じで帝国の闇を知っている人物であり、それが革命を企てるキッカケとなった。

カリスマ性を秘めていて、且つ優しい性格なのだが、悪事を働く者には一切の情を見せないといった軍人気質も兼ね備えている。

武器は槍。

 ヨゾラとキリアはガルグの情報を持ってジャレットの屋敷を脱出した。


幸いにもジャレットの部下はいない。


辺りを警戒しつつ、屋根にワイヤーを括り付けながら、それを繰り返しながら二人は夜の空を駆けた。


しかし、ここからカショーラまではかなり遠い。


何せヨゾラがあの街に来るまで数時間は要したのだから。


場所はヨゾラは知っているとはいえ、ワイヤーを駆使しているとはいえ、2時間は掛かった。


慣性を物ともしないスピードで駆け抜けるが、カショーラの街に入るまで体力はかなり来ていたのも分かった。


二人は一度、野宿をすることになった。


とはいえ建物が立ち並ぶ街並みだ、路地裏にでも籠るしかない。


「ヨゾラ……なんとか抜けてきたとはいえさ、どうするの? ここから。ガルグを倒すにもさ、私らの足がついたら元も子もないし……」


「そうだな……下手に刺激しても騒ぎが起こる。私は場所は確かに知っているが、無闇に探してもダメだ。……見られないように、且つ迅速に。暗殺の鉄則だ。」


「だったら近郊の街に拠点張る? 私はソールワンだし、最悪拉致られるかもしれないから……」


「それは明日の朝でいい。今は寝るぞ。」


そういってヨゾラは路地裏のゴミ回収箱からゴミ袋を取り出して、二人分が入れるスペースを確保していく。


寝心地は最悪だが、今は宿もやっていないだろうから致し方ない。


サバイバルのような状態ではあるが、二人はそこに入って一夜を共にしたのだった。




 翌日。


二人はゴミ回収箱から抜け出し、人の少ない街を散歩していく。


目的は、というと、拠点を構える場所を探しているところだった。


二人は誰も使っていない廃墟ビルの4階に拠点を構えることにした。


と、ここでキリアが話しかける。


「ヨゾラ……私さ……アンタのこと、血も涙もない悪魔だと思ってた……だけどさ、アンタと一緒にいると……弱い自分が情けなくなると同時に……本当に頼もしいな、って思う。」


「……だったらなんだ? 今更情が移ったとかではないだろ?」


「私は……ソールワンの悲願を達成するために『ゲバラ』に入った。……6年前も……既得権益のために帝国がソールワン(私たち)をこき使おうとして……それで私たちが怒って反乱が起こった。だけどアンタ一人に負けた……それから……不当な弾圧を受け続けているのよ……ソールワンは……」


「私はあの後で国が協定を結んだと聞いているが……いとも簡単に帝国がそれを破った、っていうことなのか?」


「そう……帝国が一方的に破って『思想統制』の名目で同胞を捕らえ始めた……だから一概にはアンタの所為でもある、でもアンタが直接関わっていないのも知っている。だってアンタは内戦を終わらせて、そのあと静かに過ごしていたんだもの……」


「まあ……間違ってはいない。そういうのは私もよく知っている。確かにここ数年で技術は発展した。だが……このデバイスも、今ある最新鋭の技術も……全て捕らえられたソールワンが作った物だと知った。……『強制収容所』がどうなっているかは私は知らない、だがソールワンに対して不平等性があるのは事実だ。だから私はこれを均し、彼らに人間的自由を与えるために悪を斬っていった。今は私も考えは変わっている。それは……『皇帝を討ち、シンバラエキア帝国を終わらせて共和国を建国する』。誰もが平等に暮らせる、そんな社会を築いていきたいんだ。」


「うん、だから……私はヨゾラを誤解していた。本当は……誰よりも人のことを考えているのか、って。申し訳ないとは思っているわ。」


「……そこは領主としての経験が活きていると思っている。そうでなければこの仕事も今やっていないさ。だから気にしていないし……それに仲間だろう? お互いを知ればいいさ。これからも。」


談笑が続く。


そうこうしているうちに夜になった。


二人は武器を持ってガルグの潜む場所へ移動した。



 「確かあの三階にアイツの部屋があるはずだが……」


「それで……登るの?」


「ああ。奇襲を仕掛けて一気に討つ。窓ガラスから侵入するぞ、キリア。」


そういって、刀の柄からワイヤーを発射させ、窓の縁にフックを掛ける。


そして収縮するボタンを押し、ヨゾラとキリアの身体を引っ張り上げる反動で上空まで体を連れ去った。


勢いで空中へ体が投げ出されかけるが、ヨゾラの膂力はこの程度で離すほどヤワではない。


空中で両足キックの体勢を整えて、再度ワイヤーを収縮させ、勢いよく窓ガラスを突き破った。


人気の無い玄関の裏側だ。奇襲には最適だ。


のはずだったが。


侵入したのはいいが、人が居ない。


「いない……!? ヨゾラ、どういうこと!?」


「……不味いな……()()()()()()()のだろう。情報が。」


嫌な予感をヨゾラがした直後、何か武器が飛んでくる気配がした。


ヨゾラは咄嗟に刀を引き抜き、その武器を受け止めた。


釘バットだった。


しかもそれは一度見た顔だった。


「おーおー……来ると聞いて待っていればなんとやら……」


「……やはり()()()()()のか……ガルグ……」


「まさか俺を殺しに来るとはねえ、マド……いや……『屍のヨゾラ』。」


刀を引き抜いて構えるヨゾラ。


と、ここでヨゾラはキリアにワイヤーが入っている刀を渡した。


「キリア、ここは私に任せてくれ。だからキリアは逃げろ。包囲網が敷かれないうちに。」


キリアは頷いて、窓の外から飛び出して逃げた。



 ヨゾラとガルグの戦いの火蓋が切って落とされようとしていたのだった。

次回からガルグとの戦いが始まります。

お楽しみに。

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