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第五十八話 世界に誇れる国へ向かう道

最終回まで、この回含めてあと3話。

ラストの衝撃の展開、ご覧ください。

 ヨゾラは戦いの最中、アーシュラの剣を分析していた。


(斬撃は見えなかった、だが感じたのは“空気を切り裂く音”だった………つまりは鎌鼬だ、ゾルも、そこら辺に肉塊で転がっているソールワンの死体も………それにやられたんだ………私でなければ即死は免れられん………対して私は遠距離攻撃が無いわけではないが実戦向きとは言えん………どうやってあの剣を潜り抜ける………?? まずそこから始めなければいけないな………)


ヨゾラは敢えて距離を置き、刀を防御の型「川流(かわながれ)」に構える。


攻撃をさせてから攻めるという、軍人として適切な判断をヨゾラはしていたのである。


そして想定通り、アーシュラが攻撃を仕掛けていった。


「来ぬ、か………ならば余の方から仕掛けるとしようか………」


アーシュラは容赦なく、見えない斬撃を連続して解き放った。


ヨゾラでも視認できない攻撃ではあったが、それでもヨゾラはノーダメージのまま受け流していった。


だがしかし、耳と鳥肌の感覚に頼らねばならないので、ヨゾラの体力を奪うには、集中力を削ぎ落とさせるには十分だった。


(強い………!! 見えないだけではなく、連発して襲い掛かってくる………!! 下手に時間を使うわけにはいかない、皇帝の援軍も………両翼が落ちたにせよ、いずれやってくるはず………!! 長期戦は避けないとならないのに………!!)


ヨゾラの表情が少しずつ険しくなっていく。


珍しく、焦りも垣間見せていたのである。


「フハハ………どうした、ヨゾラよ………貴様の想いはその程度か? 守ってばかりでいては何も生まれぬぞ?」


「………何が言いたい? アーシュラ………!!」


ヨゾラの声色が、やや怒気を帯びる。


与太話など、している暇はヨゾラにはないのだから、この期に及んで語りかけるアーシュラには心底苛立ちを覚えていたのも事実だった。


「統治とは………ただ国の体裁を守っているだけで良いのか………? 違う………ただ民に寄り添えばいいのか………? 違う!! この国の行く末は『()()()()()()()()()()』よ!!! 世界の全てを我が帝国の手中に収め!! この星の人類をシンバラエキア人のみにする!! それこそが最高の『楽園』だと思わぬか、ヨゾラよ!!」


「………なるほどな………そのためなら人の命など、どうでもいいというわけか………反吐が出るものだな、それで民を救えるのか? 本当の意味で幸せを掴めるのか………?? 貴様の独善にはもう………!! 民は憂鬱で仕方がないのがなぜ分からない、アーシュラ!!!」


連撃を幾度も受け流しながらも、対処が段々と出来る様になっていたヨゾラは少し落ち着きを払ったような思考で、「民が幸せになれない」とアーシュラの野望を一蹴した。


「貴様のしていた事がどれだけ………恨みを買っているのか、民を苦しめるのが何故見ようともしないんだ………!! それで世界に誇れる国であろうものか!!!」


「………何を言っているんだ、貴様………()()()()()()()毒されたのか? あんな島国の、尊大とは縁遠いあの劣国に、か………?」


「そうだ………私の目指す理想は………!! ジャポナのような、平穏で………!!民全体が温かい国だ!! 自然も街並みも何もかも、心が洗われるような美しい国だ!!! このシンバラエキアを、世界に誇れるような国に仕上げることだ!! そのためには最も不要な貴様を討つしか道はないんだ、アーシュラ!!」


「フハハ………なるほどな、崇高な理想だな、ヨゾラ!! だが出来もせぬ理想を掲げたところで!! この余を討てねばその理想すら推し進められん!! 理想とは、強者と勝者のみが口にしていい“現実”なのだ!!」


「そうだな、勝ったやつが正義、それが世の理だ、何も間違っていないさ、だが出来もせぬ理想なんかじゃないぞ、私の理想は………!! 私が理想を口にする時は!! 『()()()()()()()()()()()()()()』しか口にしないからな!!!」


「何とでも言うがいい………!! 死ねば何も成し遂げられぬからな!! 余の血肉になるといい、ヨゾラよ!!!」


(本気で決めに来る気だな、アーシュラは………!! だが生憎見切った!! 私もここで終わらせるしかないようだな………!! この一瞬、愉しむのみだ!!)


アーシュラが剣を構えた瞬間、ヨゾラも一気に決めまいと駆け出した。


唸り声と共に、アーシュラが斬撃を放った。


(この剣は異形だ………今は絶滅してもういない伝説の異形・『セラフィム』の羽を抽出したものだろう………!! だが変則性はない、一直線に来るだけだ、二刀心眼で斬るだけだ!!!)


ヨゾラは軽くジャンプし、クロス状に刀を構え、刀を動かす事なく斬撃を斬り裂いた。


「なっ………!!??」


アーシュラは動転を一瞬したものの、直ぐに構え直す。


「終わりにしよう、アーシュラ………!!」


ヨゾラが振りかぶって一気に二刀を振り下ろした。


アーシュラも突きで応戦する。





両者同時に攻撃が命中した。





だがしかし、ヨゾラは刀を折られ、腹を深々と貫かれ、ヨゾラは吐血した。





勝負あったかに見えたが、()()()()()()()()()()()()()()のである。

次回、最終回前話。

どのような結末を迎えるのか、必見です。

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