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第四十七話 「もし私が死んだら」

今回から最終章・『帝国討伐編』です。


こっから更にグロも、謀略も加速していきますので、ラストスパート、よろしくお願いします。

 さて、3日後、ゲバラ一行は………というと。


ヨゾラ、バミューダ以外のメンバーはシンバラエキアのほぼ最北端に位置している山岳地帯・『スーチュア』へとやってきていた。


「………思ったより寒いな、ここは………話にゃ聞いていたが、想像以上だぜ………」


「まあそういうな。過酷な地だからこそ、幾ら帝国といえど情報は行き届いていない筈だ。それに、シルバー殿が取り付けてくれた恩もある。今は革命軍全軍が集まっているんだ。」


「………よく集められたよな、こんなところによ………ま、帝国のアホどもの意表を突くなら最適だろうな。」


「そういうことだ。とりあえず領主に挨拶に行こうか、ゾル。」


そういうわけで、フィレアとゾルは、スーチュア領主の元へと訪れていくのであった。




「お久しぶりです、我が師・『キャイオン』将軍。」


フィレアは屋敷に入るなり、キャイオンと呼んだ女性に深々と頭を下げる。


「…………フィレアか。シルバーから話は聞いている。しかしこうして会うたのは、実に8年ぶりか………まったく、無茶をしたな? その様子だと。」


「ええ、まあ。師匠もご健在で何よりです。」


キャイオンは、帝国に先代の皇帝の代より仕える将軍ではあったが、今の皇帝を「暗君」と呼ぶほど訝しんでいる女性将校であり、年齢は50半ばとのことだが、フィレアよりも肌に傷がなく、非常に若々しく見える。


ゾルですら、一瞬圧倒されるオーラをキャイオンは放っていた。


「本当に、ここまで来たものだねぇ。あの暗君にガキがいないのが幸いだよ。そうでなければ………革命は終息しないばかりか帝政が続くのは自明の理だからな。フィレアが革命を起こそうとしているのを聞いて、私も動いたまでよ。」


「感謝いたします、師匠。」


「ところで………ヨゾラはどうした? 貴様の部下ではないのか、彼奴は。」


「ああ、アイツなら………城の警備にあたり、城の内部の情報をバミューダと共に得ている最中です。」


これを聞き、キャイオンは不敵に笑った。


「確かに良い手だ。向こうはヨゾラが裏切るはずがない、そう思っているようだ、未だに………な。それくらい人を見る目が帝国側には皆無なのだ。だから私たちのような者の謀反にも気付けぬ。シルバーもそこそこ動いておったようだが………私にもコネはなくはないさ。人脈を使い、掻き集められるだけ、有志を掻き集めた。想定の数万はいるはずだ。」


「心強い、さすが我が師………ですが先生、当初は挟み撃ちにする予定でしたが………ヨゾラのエディア軍が要塞を守るように仰せ仕ってるため、エディアの方から攻める軍隊がいない、一方だけでは帝国は対処してくるでしょうから………ここをどうしたものかと思案している最中です。」


「ふむ………ならここにソールワンと、その他の民族の配置をしておくが良い。ただそうなると………指揮官はゾル、貴様が執れ。」


「俺が、か………任せておけ、キャイオン将軍。これでも軍を引き連れた経験はある。助けたソールワンは俺のことを慕っている奴もいるから、引き連れるくらいなら任せろ。」


ゾルはキャイオンの指示を喜んで引き受けた。


フィレアはキャイオンに促され、外で待機している兵士たちに向かい、拡声器を高々と掲げた。


「皆のもの、寒い中よく集まってくれた………心より感謝する。まずこの軍の目的を話す。この軍は………帝国を打倒するための軍だ!! そしてシンバラエキアを平和な国へと作り替えること、これが私の理想の、最終目標なんだ………皆、着いてきてくれるか!?」


兵士たちは、フィレアの言葉に活気が付く。


「ここから王都までは丸2日掛かる!! だが兵糧の確保は大丈夫なようだ!!! 我々はこの2日、ルートに従って進軍し!!! そして3日目、一気に帝国の寝首を掻く!!!! 帝国への不満は皆それぞれあるだろう!? だったら示せ!! 帝国崩壊の意思表示、そして新たに生まれ変わるシンバラエキアを作り上げるのだ!!!」


この言葉に、兵士のボルテージが最高潮へと達したのであった。




 進軍の準備をすべく、荷物や食料を整理していた時、フィレアのデバイスが鳴った。


「ヨゾラか? どうした。なにか分かったか?」


『一応は理解はできた。明日あたり、城全体の地図を送っておくよ。それを活用してくれ、ボス。』


「ああ、いつもすまないな。」


『それとボス………もし私がこの戦いで死んだら………頼みたいことがある。』


「頼みたいことか? まったく、ヨゾラが死ぬわけが…………いや、一応聞こう。何があるか分からないからな。」


『………私が憧れ続けた………ジャポナのような国を作ってほしい。それが私が遺す遺言だ。もし生きてたら………その時はボスの治世を手伝っていくさ。』


ヨゾラの意外な頼みに少し困惑したが、フィレアはこれを了承した。


「ヨゾラ、皇帝を斃せるのは君しかいない。どんな結果になろうとも………皇帝だけは絶対に討ってくれ。それまでは死ぬな。」


『………優しいな、ボスは。ありがとう。国を引っ張るのは、やはり貴方のような人の方が向いている。』


そう言って、ヨゾラは電話を切った。


その2日後、革命軍は城近くの森に身を隠し、その刻を待っていくのであった。

次回は石垣攻略です。

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