第四十四話 「英雄」と呼ばれる日
謝罪
ギマラエスの部分をデラクルスと普通に間違えてました。
本当に申し訳ないです、修正しましたので、改めてご覧になられてください。
ヨゾラたち「イグノー」は、約1年の時を経て、「ソールワン大戦」に駆り出された。
どうやら帝国軍が大苦戦を強いられ、国民の生活にこれ以上は支障をきたすとの御通しで、痺れを切らした皇帝が遂に投入することを決めたようだった。
遂にきたかと言わんばかりに士気が挙がるメンバー、ヨゾラも静かに刀を研ぎ、戦に備えた。
とはいえ、まだ彼らは戦いを知らないため、いざ戦場に出てみると無鉄砲になるか、恐怖で脚が竦むかの2択だった。
その点冷静だったのは遊撃隊の3人、ヨゾラ、カトレア、そして隊長に任命された「ゴーマック」だった。
「ヨゾラ、奇襲………いけるかい?」
「ここで、か………カトレアの作戦通りとはいえ、無茶じゃないか? まだ数人も減っているわけじゃないぞ?」
「だからこそ流れを変える。俺が囮になるから………君は連携を断ち切ってくれ。」
ゴーマックが戦場から飛び出し、斬りかかる。
だがソールワンも甘くはなかった。
兵力は約7万と、帝国兵と比べれば決して多くはないものの、一人一人の戦闘能力が凄まじく、こども兵士相手では1人を相手にするだけでも討ち取れるかがわからない。
しかも連携力があるため、それが帝国を苦しめている要因だった。
「やっぱり、か………」
「カトレア、何かわかった?」
「ソールワンは1人の兵士を仕留めるのに3人も使ってる、しかもその繋ぎが早いから帝国将軍も容易く討ち取られてるんだと思う、2人が抑えて1人が仕留める、そういう形。」
「じゃあその仕留める側を斬ればいいってことでしょ?」
「うん………ただ、やれるかどうかは別。最低でも6人は犠牲にしなきゃいけない、それでもいい?」
「………シクイビルとの戦いで犠牲がつきものなのは痛いほど分かってる………その想いを私の刀に、仕込んでるワイヤーに乗せるだけだ。」
「………気をつけてよ。死んだら元も子もないから。」
ヨゾラとカトレアは拳を合わせ、ヨゾラは空中に飛び出し、仕込んだワイヤーを大きく伸ばし、柱に絡まって戦闘態勢を整えた。
ちょうどゴーマックが餌食になりかけたタイミングで、ヨゾラが仕掛けた。
(………ここだ!! 帝国に仇なす者は斬る!!!)
事前に伸ばしていたワイヤーを一気に収縮させ、本命の仕留める側のソールワン族の首を一瞬で刎ねた。
体勢が不利になったもう2人のソールワン族も瞬時にヨゾラは斬り捨てた。
「ヨゾラ!! 助かった!!」
「ゴーマック、隊列を錐系にして。力を流させて私が仕留める。」
「わかった!!」
ヨゾラは軽やかに跳ね、次々とソールワン族の首を斬り、屍の山を築き上げていったのであった。
戦況が一気に帝国に有利と傾いた時、ヨゾラはソールワン族本陣へと到着した。
しかもたった1人で。
大半のソールワン族が兵を退いていく中、司令官さえ討てれば勝てると読んだからだ。
(ソールワンの弱点も大体わかってきた………ただ退いている分、私の弱点も見えてるはず………一瞬で仕留めるしかないな………)
ヨゾラは一気に斬り込み、ソールワン族も一斉に迎え撃つ。
だがヨゾラは数万にも及ぶ軍隊相手でも物ともしない。
斬れ………斬れ…………斬りまくれ……………!!! ヨゾラはただ、無我夢中にソールワン族の首を、肉体を切り裂いていった。
琥珀色の目からは血が迸り、銀の髪や白い肌、服には返り血による鮮血に染まっていた。
それだけ周囲が見えなくなるくらい、ヨゾラは集中していたのである。
たった1人の少女相手に次々と死んでいく仲間達。
ソールワン族にはもはや、悪魔や死神にしか写っていなかった。
約30分後、ヨゾラは司令官を討ち取り、ソールワン族本陣にいた約3万人を全滅させた。
他のソールワン族の軍隊が戻ってきた時、屍の山に佇むヨゾラが恐怖を誘い、撤退及び降伏させたのであった。
後日、ヨゾラは公爵の称号が与えられ、田舎町のエディアの領を与えられ、「英雄」と持て囃されながらもゆったりと余生をカトレアと共に過ごすのであった。
だが、その3年後、ヨゾラに転機が訪れる。
それは15歳のある時、帝国からの要請を受け、「ジャポナ帝国」との首脳会談へ向け、外交官としてジャポナを訪れた時だった。
ヨゾラが帝国に反旗を翻すキッカケとなる景色が、そこには広がっていたのである。
ここだけの話ですが、シンバラエキア帝国は中国をイメージして書きました。
また、ジャポナも日本をイメージして書く予定ですので、そちらの面でもお楽しみください。




