第三話 アリバヴァの実情
アリバヴァはシンバラエキアの闇がてんこ盛り。
超ドス黒いです、話としては。
登場人物紹介はライドです。
ライド (男)
革命戦線組織ゲバラ隊員
16歳
163センチ
48キロ
弓使い
好きな食べ物 魚介類全般
趣味 紅葉狩り
明るい茶髪に丸い目という童顔が特徴の隊員。
弓の腕は相当で高い命中率を誇る。
5年前に両親を謂れのない罪で国に殺されたことがキッカケで革命を志すようになる。
乗り物の扱いも一流クラスで任務の時は運転手として欠かせない。
明るい性格で無邪気なタイプでメンバーにはとても可愛がられている。
しかし不正を効かせるものには冷酷非道。
ヨゾラは部下に業務命令を終えた後、コンドル家暗殺の依頼主のところへ足を運んだ。
報奨金のことについてだ。
いつもの格好ではなく、あくまで暗殺業者「マド」として迎え入れてもらった。
少し世間話を済ませた後、報奨金200万バラキを受け取って依頼主の元を後にした。
歩くこと数時間。
ヨゾラは「シンバラエキアの商売の街」と言われる「アリバヴァ」に到着した。
ここには武器や食料品、日用品など様々な商品を取り扱っているが、賄賂や禁止薬物などが濫用されている街でもある。
つまり不正まみれだ。
今回のターゲットのジャレットもその1人に過ぎず、闇が深く根付いているのがアリバヴァの実態なのだ。
髪をポニーテールに結ったまま街を歩いていると、長い緑髪の少女に声を掛けられた。
「ヨゾラおっそいわよ! もう夜よ!?」
キリアだった。
どうやら工具を買っていたところらしいが、ヨゾラを見かけて思わず声を掛けたのだろうか。
「キリアか……ごめん、遅くなった。」
ヨゾラは正直任務中なので本名で呼ぶのは勘弁してもらいたかった。
しかし、コードネームを知っているのはライドとゾルだけなので、キリアが本名で呼ぶのは無理はない。
幸い周囲に人はいなかったので、ヨゾラがここにいるとバレることはなかったのだが。
「まったく……待ちくたびれたのはこっちよ! で……? 仕事は終えたの?」
「私の分は終えた。あとキリア、今は『マド』と呼んでもらえないか? 私に国家叛逆の嫌疑がついてしまったら困る。」
「ハイハイ、わかったわよ……それで? 見てきた感想は? アンタから見て。」
「……私はここにあまり来たことはないが……薄汚い目がする。色んな意味で。」
確かにヨゾラの言う通り、一見すると煌びやかな街なのだが、商人が物を買ってもらった時も意地汚らしい目をしていたのは事実だった。
「……とりあえずジャレットの屋敷まで行かない? 私は買い物済ませるから。」
「そうだな。」
こうして2人は工具屋を出てジャレットの屋敷へと向かっていった。
変装が完了した2人。
ヨゾラはいつものようにペスト対策マスクとポニーテールを服の中に隠す暗殺スタイル。
一方キリアは頭に白い鉢巻を巻いて手にはバンテージを巻いたスタイルだった。
2人はジャレットの屋敷の真向かいに立っていた。
「さて……後はどう乗り込むか、だけど……てかマド、何よその格好。」
「私はシンバラエキアの公爵なのは聞いた通りだと思うが……」
「だからってその格好はセンスないでしょ……似合ってないわよ……」
「いくらセンスがないとはいえ、顔を晒すわけにはいかないからな。私の仕事スタイルだ。私が暗殺業務に関わっていると知られたら公爵剥奪だけではない、最悪誅殺される。そうすると私の部下だけでなく領民にも迷惑をかけるし、お前たちにも何かと不都合だからな。革命を起こすには……私が『ヨゾラ』だとバレないのが前提条件になる。」
「色々考えてるのね、アンタは。……マドを勝手に敵対視していた私がバカみたいじゃない……」
「お前に関しては無理はないだろう。任務の時だけ協力してくれれば十分さ。……! アレは……」
ヨゾラは何かを見つけた。
どうやら褐色肌の男が何か小さな紙袋を持って客と取引をしている。
キリアも発見したようで、驚いた顔をしていた。
「アレってまさか……ソールワンじゃない!! あの売人の男……!!」
「……キリアが言うなら間違い無いだろうな……シンバラエキアに媚びを売って生き延びたやつもいるんだ、ソールワンには……しかもそういう奴は大抵奴隷として買われていることが多い……つまり雇われだ……。」
ヨゾラがふと見ると、キリアは歯軋りをして握り拳を作っている。
見たくないものを見てしまった気分なのだろう。
「まあ無理はないが……おそらくジャレットの雇われだろうな。キリア、怒りの矛先は……ジャレットに向けろ。」
「そう……ね。でもどうする? アイツは……」
「放っとけ。そもそもターゲットじゃない。……目的は『ジャレットの暗殺』と『製造及び委託業者を叩くこと』だろ?」
「そうよね、マド……ところで、どう乗り込む? 本題に戻るけど……」
「私に任せておけ。……刀の柄にワイヤーを仕込んでいる。『シクイビル』を素材にした奴で最大で50キロメートルまで伸びるし、伸縮自在なんだ。だから刀にしまえる。」
シクイビルは、南方に生息している異形で、人や大型哺乳類を襲って血を吸う大型の蛭だ。
最大で40メートルにもなる蛭なのだが、加工次第ではヨゾラの仕込みワイヤーのように数十キロメートル単位にまで伸ばすことが可能なのだ。
「それはいいとして……どうするの? 私は……」
「私にしがみつけ、キリア……同時に乗り込まないと任務の連携が取れない。」
ヨゾラに言われるがままにキリアはヨゾラの体に捕まった。
ヨゾラはワイヤーをジャレットの屋敷の門にまで伸ばして絡ませた。
「じゃ……行くぞ?」
そして刀に仕込んだスイッチを押し、ヨゾラとキリアは自分達の体を飛ばした。
バシュン! シャーーーーーーーー!!!
風を切る音と共に瞬く間に門に到着した。
中に入った直後、4人の門番に発見された。
「何者だ!!」
門番が銃を構え、撃ち落とそうとする。
もうワイヤーを収納したヨゾラは銃の弾道を見切り、瞬く間に門番の首を切り捨てた。
4人の首を切り落とすのに掛かった時間は僅か30秒。
門番の体は血を噴き出してその場に倒れた。
これを見たキリアはというと。
「速い……見えなかった……」
口を大きく開け、呆気に取られていた。
「流石『屍のヨゾラ』……桁が違うわ……」
「だから今はそれで呼ぶなキリア……いいから入るぞ。」
こうして2人は悠々と屋敷に侵入していったのだった。
次回は殲滅戦です。
ガチグロ描写が多くなるんで、心臓の弱い方は見ないでください。
登場人物紹介はキリアです。
また来週金曜日!