第三十八話 不意なる急襲
久しぶりの投稿ですが、熱量を持って書ければいいかな。と思う次第です。
フィレアとエルシーヤが激闘を繰り広げている最中、ライドは、というと。
ソールワン族を逃しながら、看守達を穿ち抜いていく。
(早く逃さないと………!! バミューダがなんとかしてくれてるからいいけど、俺だけじゃ逃がすのは限度がある!! ボス、早くエルシーヤをぶっ倒してくれ、じゃないと………戦意を削げねえ!!)
援護射撃をしても、心許ないくらいであり、早いことの決着を望んでいたライドなのであった。
その頃、フィレアサイドは、というと。
エルシーヤが2本目を出してきたことで、流石のフィレアでも防戦一方となっていた。
(さっきとは違う………!! コイツは本気だ、私も気を引き締めなければな………!!)
フィレアは槍をグルッと回し、反撃に転じようとするが、エルシーヤのスイングスピードも相まってなかなか差し込めなかった。
反撃し、なんとか差し込んだものの、警棒で止められ、更にエルシーヤはそこから大きく回転し、フィレアに攻撃を叩き込む。
当たれば電流が流れるのだが………どういうわけか、電流が流れない。
フィレアは右腕一本で止めていたのだ。
だが電流が流れていない原因がエルシーヤには不明だった。
そのワケは______。
「………敵地に乗り込むのに、貴様の対策をしないバカが何処にいる?」
「………なるほど、ゴムの手甲か………考えたな、この私を倒すためにわざわざ準備をしてきた、というわけか………」
だが、ここでフィレアに異変が。
(チッ………折れたな、これは………咄嗟だったからな、まあ仕方ないとして………だからこそこの次の攻撃で決める!!)
フィレアは槍を構え直し、一息を吐いた。
「………今ので貴様の攻撃パターンは読めた………ここで決めさせてもらう、エルシーヤ!!」
「ほう………よほどの自信のようだな、フィレアよ………来い、貴様のような反逆者を仕留めてこそ、看守長の役割なのだからな………」
2人が同時に踏み込む。
エルシーヤが攻撃を仕掛け、フィレアは捌きつつ、隙を窺う。
そして5撃目を見た時に、フィレアは勝利の一筋を見出した。
(斜めに振り下ろす、つまりは………側面から柄で弾き………!!)
痛みを押し、ボコ、と警棒を弾き飛ばしたあと、槍を突きの型に構え直し、左足を前に出して身体を捻った。
(エルシーヤは右利きだ、さっきも食らったのは左だった………だが右よりは遅かった、だから取る策は一つ………!!)
フィレアは螺旋状に槍を捻り、エルシーヤは大きく上に警棒を振りかぶった。
(相討ち上等で空いた心臓部を穿ち抜く!!!)
右足を大きく蹴り出して間合いを一気に詰め、その勢いのままエルシーヤの心臓をぶち抜いた。
しかし一方で、右の目辺りに警棒を喰らい、一時的な神経麻痺で右側面の視界が遮られた。
「………まさか………この私が………討たれるとはな………」
エルシーヤはそう言い、膝を突いた。
「………だが覚えておけ、フィレア………王の側近は私よりもずっと強い………王となれば別格だ、それを………覚えておけ………」
フィレアは槍を引き抜く。
そしてエルシーヤはドサッと倒れ伏した。
「………私にはみんながいる………王の強さはよく知っているさ………だからこそ、力を合わせ、討たねばならないのだからな………」
フィレアは槍を背に納め、脱出口へ向けて走り出していった。
(………ライドは無事だろうか………全員で逃げねば、作戦として成立しない………バミューダはともかく、ライドが捕まれば最悪革命の計画が漏れる………それだけは避けねば、な………)
ライドのことを心配しながらも、フィレアは作戦遂行のために動き出していったのであった。
そして、ライドに視点は移る。
どうやら一通り、ソールワン族を逃し終えたようで、あとはフィレアと合流を待つだけだった。
(バミューダも上手くやってるし、順調だな………あとは俺もボスと逃げて………)
フィレアの姿が見え、ライドがそこに目をやった、その時だった。
ズドーーーーーーン!!! という、大きな音と共に、ライドの右膝が撃ち抜かれた。
たまらず地面に叩き伏せられたライド、だが射出された方向に、ボウガンを精一杯放ち、反撃した。
「ライド!!!! しっかりしろ!!!! 何が起きた!!??」
ライドは駆け寄ってきたフィレアの方を向き、デバイスを取り出した。
「………頼む、ボス………!! 俺はもう………無理だ、助かる見込みが………ない……!!」
「何を言っているんだ、ライド!! お前は大切な………!!」
ライドはフィレアが助けようとしたところ、首を横に振った。
「………アンタだけでも………!! 逃げてくれ、ボス………!! 今の俺じゃ、足手まといになるだけだ、だから………!! みんなに伝えてくれ………!!」
デバイスを手渡し、ライドは息絶え絶えにこう伝えた。
「………『あとは頼む』、それだけ伝えてくれ………!!!」
フィレアはライドの決死の目を見て、無言で頷いた。
そして脱出口へと向かって走り出していったのであった。
(すまない、ライド………!! お前の犠牲は無駄にはしない………!!)
フィレアはライドのデバイスを握りしめながら、必ず革命を成功させる、そう誓っていたのであった。
ライドは尚も反撃を仕掛けていくも、弾切れが来てしまった。
「クソッ………ここまでかよ………!!」
ライドが力尽きて倒れ伏せた後、目立つほどの金髪を携えた男がライドの前に立った。
「………貴様が賊か………惜しいな、貴様はもう助からない………狙撃の腕は帝国でもそういないからな………」
皇帝側近の「ブリューナク」がそう呟く。
ブリューナクは右手をバッ、とやり、部下に指示した。
「コイツを連行しろ。舌を噛み切れぬように猿轡も嵌めておけ。拷問にかけ、コイツの裏を調べる。」
「ハッ!!」
ブリューナクの部下はライドを連行し、城の地下にある拷問室へと連れて行かれたのであった。
(………ぜってー喋るもんか………!! みんなのためにも、絶対に喋んねえで死んでやるよ………!!)
ライドの目からは光は消えていなかった。
皆のために犠牲になる、その覚悟が表れていた。
次回で章の終幕です。
次回はグロ注意なので、よろしくお願いします。。。(俺も本音は書きたくない、ここだけは)




